はじめに
clockworkのPicoCalcを注文したのをきっかけにRaspberry Pi Picoで動作するBASICインタープリタMMBasicを含めて環境としてPicoMiteの存在を知り、PicoCalcが届くまでRaspberry Pi PicoにPicoMiteをインストールしてMMBasicでのプログラミングを試した。
私の環境はMacBook Proを使用しているのでmacOSでの説明となる。
手順
下記の手順でRaspberry Pi PicoでPicoMiteを利用できるようになる。
- 必要なソフトウェアのインストール
- Raspberry Pi Pioc用のファームウェアのダウンロードとインストール
- Raspberry Pi Picoと通信するためのデバイスファイルの確認
- シリアル通信ソフトウェアをつかってRaspberry Pi Pico上のPicoMiteと通信し、操作する
macOSでの準備
PicoMiteのMMBasicでプログラミングするにはRaspberry Pi PicoとMacをUSBシリアルケーブルで接続し、シリアル通信ソフトウェアを通して操作する。
macOSの場合、ターミナルやiTerm2でminicomやscreenを使ってRaspberry Pi Picoと通信する。ちなみにWindowsの場合、Tera Termなどのシリアル通信ソフトウェアを使用する。
minicomのインストール
ここではシリアル通信ソフトウェアとしてminicomを使用する。minicomはmacOSには入っていないので別途インストールする必要がある。ここではbrew
を使ってインストールする。brew
はすでにンストールされているものとする。
$ brew install minicom
ファームウェアイメージのダウンロードとインストール
ファームウェアイメージのダウンロード
Raspberry Pi Picoで利用できるPicoMiteのファームウェアはGeoff's ProjectsのサイトのBASIC for the Raspberry Pi Pico & Pico 2のからダウントーどする。
ページの下部のDownloadsの**PicoMite firmware V6.00.01 (includes the above manual).**のDownlaodリンクをクリックする。
ダウンロードされたファイルPicoMite_Firmware.zip
を展開するとFirmware
フォルダにRaspberry Pi PicoやPico 2で利用できるファームウェアファイルがある。
PicoMite_User_Manualより抜粋した下表を参照。
単体の試す場合はRaspberry Pi Picoの場合、PicoMiteRP2040を、Pico WならPicoMiteRP2040にくわえて、WebMiteRP2040が利用できる。Raspberry Pi Pico 2ではればPicoMiteRP2350を、Pico 2 WならPicoMiteRP2350にくわえて、WebMiteRP2350が利用できる。WebMiteはWiFiを利用できる。。
Firmware | CPU | Touch | Ketboard/Mouse | Video Output | WiFi | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
LCD Panel |
PS2 | USB | VGA | HDMI | Internet | ||
PicoMiteRP2040 | RP2040 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2350 | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2040USB | RP2040 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2350USB | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2040VGA | RP2040 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2350VGA | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2040VGAUSB | RP2040 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteRP2350VGAUSB | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteHDMI | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
PicoMiteHDMIUSB | RP2350 | ✓ | ✓ | ||||
WebMiteRP2040 | RP2040 | ✓ | ✓ | ||||
WebMiteRP2350 | RP2350 | ✓ | ✓ |
ファームウェアイメージのインストール
ファームウェアイメージをRaspberry Pi Picoへの転送は、次の手順で行なう。
- Rapberry Pi Picoの基板上にある
BOOTSEL
ボタンを押したままUSBシリアルケーブルでMacと接続する。 - しばらくするとMacに
RPi-RP2
という名前のドライブがマウントされる。 - この
RPi-RP2
ドライブにインストールしたいファームウェアイメージをドラッグアンドドロップする。 - ファームウェアイメージのコピーが始まり、完了するとRaspberry Pi Picoが自動的に再起動される。このさいに「ディスクの不正な取り出し」というメッセージが表示されるが特に問題はない。
- Raspberry Pi Picoのボード上のLEDが
以上でRaspberry Pi Picoへのファームウェアイメージのインストールは完了。
シリアル通信でPicoMiteを操作
ファームウェアイメージのインストールが完了したのでMacからRaspberry Pi Pico上のPicoMiteと通信し、操作する。
デバイスファイルの確認
ターミナルを起動し、コマンドls /dev/cu.usb*
を実行してRaspberry Pi Picoと通信するためのデバイスファイルを確認する。次に示すlsコマンドを実行し、/dev/cu.modem2101
のようなデバイスファイル名が表示されればよい。
$ ls /dev/cu.usb*
/dev/cu.usbmodem2101
※デバイスファイルの名前はここでは/dev/cu.usbmodem2101だが、利用するポートや環境により異なるので注意すること。
シリアル通信ソフトウェアでPicoMiteと接続
minicomがデバイスファイル/dev/cu.usbmodem2101
を使い、ボーレート115300bpsでRaspberry Pi Picoと通信するに次のコマンドで実行する。
$ minicom -D /dev/cu.usbmodem2101 -b 115200
オプション | 意味 |
---|---|
-D | 接続した機器と通信するデバイスファイル名を指定する |
-b | 通信のボーレートを指定する |
接続に成功するとminicomのウェルカムメッセージ、使用しているデバイスファイル名が表示される。ここでReturn
キーを押すとPicoMiteのプロンプト記号>
が表示される。
プロンプトではコマンド、1行で完結するBASICのコードを入力できる。
BASICの1行コードを実行
ありきたりだが`Hello World!"と表示させてみる。
> PRINT "Hellow World!"
Hello World
For文を使って1から10までの整数の和を求め、表示するコードは文をコロンで区切って1行で入力する。
> Sum = 0 : For I = 1 To 10 : Sum = Sum + I : Next I : Print Sum
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- プロンプトから入力されたBASICの命令文は即座に実行される。
- For文などの複数行にまたがる命令はコロンで区切って1行で入力する。
- プロンプトは昔の8ビットマシンとは異なりコマンド実行のためのものでBASICのプログラム入力には使えない。
- BASICのプログラムの入力にはPicoMite内蔵フルスクリーンエディタを使う。
以上でRaspberry Pi PicoでPicoMiteが動作するようになった。BASICのプログラムの入力方法などは別に説明する。