振り返りの場で、つい「問題」や「解決策」を出すことに意識が向いてしまっていませんか?
この記事では、現場で実際に感じている「モヤモヤ」を向き合うべき「問い」に変換する「KMQT」という手法やそれを実践して感じた、モヤモヤを吐き出すことに大切さや問いに変える意義を紹介します。
KMQTとは
KMQTとは株式会社MIMIGURIの瀧さんが提唱している振り返りの手法です。
"もやもや"を問いに変えるふり返り「KMQT(ケモキュート)」で、チームのイシューを探り、メンバーの関係性を育む|瀧 知惠美@デザインの実践と研究の狭間
チームのふり返り:KMQT(Keep/Moyamoya/Question/Try) Template | Miroverse
KMQTでは以下の4つのカテゴリで振り返りを行います。
- Keep:よかったこと、続けたいこと
- Moyamoya:気になっていることや違和感を感じることなど「もやもや」すること
- Question:「もやもや」をもとに、向き合ってきたいことを問いにする
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Try:次にやっていきたいこと
KPTとは違い、MoyamoyaやQuestionを挙げること、Tryを無理にあげなくても良いことが特徴的です。
もやもやを吐き出すことの意味
もやもやを抱えているということは、「自分が大切にしている価値観が脅かされている」サインと捉えられます。
そのままにしておくと見過ごされてしまいがちなもやもやを言語化することで、個人個人のケアにもつながりますし、チームとしてもそのひとの大切にしている価値観を認識できる場にもなります。
もやもやを言語化できずに、「まぁいいや」と諦めてしまうとチームの中で様々な見えない損失が生まれてしまうことがあります。
- 違和感が蓄積され、どこかで爆発してしまう
- チームの関係性が凝り固まってしまう
- 他者やチームに対して諦めが出てしまい、短期的にジャッジメントをしてしまう
- わかりえなさと向き合う力が育たなくなる
- 異なる価値観をアンラーンできずに、不確実なことや未知なことに耐えづらくなる
もやもやを言語化していくことで、個人でのケアやチームでの学びにもつながる可能性があります。
もやもやをすぐに解決するのではなく、問いとして抱えてことの重要さ
ネガティブ・ケイパビリティという考え方
もやもやを問いに変換し、課題解決を急いで行わないというKMQTの思想はネガティブ・ケイパビリティという概念とも関係しています。
これはイギリスの詩人ジョン・キーツが提唱し、後に精神分析家ウィルフレッド・ビオンが再定義した概念で、不確実なこと、未知なことを許容し、すぐに結論をづけず、その状態を受け入れる能力のことを指します。
もやもやを問いに変換することで、それが好奇心を刺激するような未知なものへと変わり、新たな発想につながるかもしれません。
生成AIでもわからないようなチームの現場で起こる問いをチームで探求していくことにわくわくしませんか?
KMQTを実践してみて感じたこと、探求したいこと
- Tryを出し、それを達成しなければいけないという窮屈さから開放された
- もやもやを問いに変換することで、課題を構造的に見たり、前提を疑うことで本質を捉えられやすくなった
- 問いを次の振り返りまでにどう忘れないようにチームとして意識していくかの仕組みが必要
- Tryを出さないという思想に納得できない人がいる可能性もあるので、きちんと説明する必要がある
- もやもやから問いに変換する考え方をスムーズにするための足場かけ
- ファシリテーターが事前に説明しておく
- 例を用意しておく
- 問いが更新されていく中で、過去の問いにはどう向き合うか
まとめ
振り返りを「解決の場」から「探究の場」へ。
問いを持ち帰るという文化がチームに根づくと、長い目で見たときに、技術的な課題解決だけでなく、関係性やチーム文化の成熟にもつながると感じています。
KMQTを自分たちのやり方に合わせてアレンジしながら、今後も実験的に続けていきたいと思います。