先日、日本で一番有名なプログラマーであるMatz氏(まつもとゆきひろ氏)の特別講演に参加したのでその内容をここにまとめます。
##講演について
日時:2019年12月21日14:00~16:00
場所:渋谷ソラスタ15F
主催:サポーターズCoLab運営事務局
主題:「若手エンジニアが市場価値を上げるために必要なこと」
##参加したきっかけ
サポーターズ主催でエンジニアを対象にした講演会の案内をよく目にしていました。時間が合えば何かに参加したいと考えており、私自身WEBエンジニアに転職したばかりなため、今後どのようなステップを踏んで自分の価値を高められるのかなぁ?と、ぼんやりと考えている最中にMatz氏の講演情報がメールで届いたので迷わず申し込みました。その内容を下記にまとめてみます。
##講演内容
######一般的に考える市場価値
エンジニアに限らず、まずは「市場価値」について考えていきたい。
市場価値が「高い」と思っている場合、一体どのような利点があるのだろうか。
*あえて**「思っている」**という書き方の理由はのちに説明しています。
【市場価値が高いと思っている→給料が上がる】
一般的に個人の市場価値が上がれば、給料は上がるとされている。つまり市場価値はお金に直結するものであると考えられている。
【市場価値が高いと思っている→心理的余裕が生まれる】
個人として価値が高まれば、心に余裕ができるとされている。いつでも辞められる気持ちでいると、ストレス耐性が身につくとともに心理的余裕を持った上でお仕事に取り組むことができるのだ。つまり「今の会社以外でも働ける力」を身につけて、逃げ場をもつことが心身的にも大切だという。たしかに選択肢が一つしかない場合と、複数ある場合では心の余裕度合いに大きく差があるように思う。
######Matz氏が考える市場価値
ところがMatz氏は**「市場価値が高いと思っている」のようにあくまで客観的な価値そのものではなく、主観的な判断を基準にしている点に注目ポイントがある。
主観的判断をする理由は市場価値とは他人からの評価**であるため自分ではコントロールできないものだと認識しているからである。つまり他人の内心を隅々まで読めないのと同じように、他人が決める自分の市場価値は分からないものなのだ。わからないものを考えるよりも、自分がわかる範囲であれこれと工夫していけば市場価値は高まるはずであると考えている。
だから私たちが自分の市場価値を高いと思うには、少し視点を変えて他人の目に自分がどう映るのかを考えなければならない。Matz氏は自分を相手にどう魅力的に見せるかを考えて行動するべきだという。
######自分をどう魅力的に見せるか
①目線を変えてみる
「もしあなたが入社したい企業の面接官だとしてどんな人を欲しいだろうか?」のように自分ではない他人の目線で想像してみることをオススメする。そうすることで理想の姿に対して今の自分は何が足りていなくて、また何が身についているのか考えるきっかけになる。理想に近づけるように穴埋めをしていくことで自ずと自分の魅力は相手に伝わる。
世界的に有名な本『7つの習慣』の中にある「win-win」についてこのような記述がある。取引の場面においてどのくらい双方の損得パターンはあるだろうか。「win-win」、「win-lose」、「lose-win」、「lose-lose」の4パターンが考えられる。が、実はこの本によると持続可能な答えは2つしかない。「win-win」もしくは「No Deal」である。もし片方でも損害を被るなら取引をしない選択をすべきだとしている。
つまり、自分と企業にとってもwin-winの関係を築けるようにはどのような能力が必要だろうか考えてみようということだ。loseになる可能性があるのなら取引をしたくないというのが企業の本音ということを忘れてはいけない。
②先入観を取り払う
どんな人でも自分より優れたところがあることを忘れてはいけない。キリスト教の黄金律に「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」とある。人への思い込みを取り払って真心で他人と接すれば必ず魅力的に見える。
③情報発信する
「人はあなたを見つけられるだろうか?」自分に問うて欲しい。何もしていないと誰にも探し出してもらえないので、Twitter,Qiita,Quora,GitHubなどで発信してみてはどうだろう。魅力的に見せるために自分でまず動いてみることが肝心。
④自分を知る
自分にはどのような魅力があるのか、まずは自分を知る作業から取り組むのも良い。自分は何ができるのかインベントリー(棚卸し)を行う。自分の得意なこと、好きなこと、興味、傾向、経験など文字におこしてみることで自己認知力を高めてみる。
⑤Connecting the dots
2015年スタンフォード大学の卒業式でのスティーブ・ジョブズのスピーチを知っているだろうか。特に「Connecting the dots」をここで取り上げたい。バラバラの点と点(経験や知識)を繋げて線に、そして3つ以上繋げて面にしていくことで独自の価値が生まれるというものだ。彼は大学中退後もカリグラフィー(日本でいう書道)の授業に潜り込み文字の美しさについて学んだ。その経験がデザインや製品開発にいてかなりの影響を及ぼしたため今のAppleがある。このようにどの経験が身を結ぶかは誰にも分からない。だから得意なことや好きなこと(dots)をたくさん増やして、それぞれの組み合わせが新たなあなたの魅力に繋がる。
⑥人間はストーリーが好き
人間は物語に共感する。その人がどんな過去を歩んできて、今は何に取り組んでいて、この先何をしたいのか。一つの線としてその人の人生を理解できると関心を持ってもらいやすい。そのためには自分語りが大切になる。具体的には芸人さんではないけれど、ネタ帳を作ってみよう。そこには成功談も失敗談もたくさん記録しておこう。
##まとめ
簡単ではありますが講演の内容をまとめてみました。自分の価値は誰かが決めるので自分で意識する必要はなくて、むしろ自分ができる範囲で自分の魅力を高めることが結果的に市場価値を上げる、と教わったので今回語られた「自分をどう魅力的に見せるか」に取り組んでみようと思います。ありがとうございました。