NTTデータ先端技術株式会社の原田です。
2023年8月29日~31日に開催されました Google Cloud Next '23 の Opening keynote のざっくりとした感想の記事となります。
このシリーズは Microsoft Ignite および AWS re:invent との横並びで、トップ (≒CEO) の keynote を取り上げて記載しています。
Google Cloud Next とは
「Google Cloud Next について教えてください。」と Vertex AI に聞いてみたところ最初は、
Google Cloud Next は、Google Cloud Platform(GCP)の年次カンファレンスです。
とだけの素っ気ない回答でしたので、続いて「Google Cloud Next についてもっと詳しく教えてください。」と聞いてみたところ、
Google Cloud Next は、Google Cloud Platform(GCP)の年次カンファレンスです。2017年に初めて開催され、それ以来毎年開催されています。Google Cloud Nextは、GCPの最新技術や製品について学ぶことができるイベントです。また、GCPの専門家や他のユーザーと交流する機会もあります。Google Cloud Nextは、GCPのユーザーや開発者にとって必見のイベントです。
とのことでした。
Google では他に Google I/O と言う年次イベントもありMicrosoft のイベントと並べると、
Microsoft | イベントの内容 | |
---|---|---|
Google Partners Summit | Microsoft Inspire | パートナーのエクゼクティブ向け |
Google I/O | Microsoft Build | 開発者向け |
Google Cloud Next | Microsoft Ignite | ITプロフェッショナル向け |
と言う感じでしょうか。
全体の流れ
全体の流れとしては、まず Google の AI に対する取り組みの概要とパートナーシップの説明があり、そのあとサービスごとのセクションで最新情報の話とそれに紐づくデモがセットになる形で進行されていました。
タイムチャートはこんな感じ。
セクション | 開始 | 時間 |
---|---|---|
Sundar Pichai : AI とパートナーの話、どっちかと言うとパートナ紹介メイン |
01:40 | 7分30秒 |
Thomas Kurian : 引き続きAI とパートナーの話、Vertex AI がメイン [32:15] と [41:50] にデモ |
09:10 | 39分50秒 |
Aparna Pappu : Duet AI と Goggle Workspace の話、[52:50] にデモ |
49:00 | 8分50秒 |
Brad Calder : Duet AI と アプリケーション開発の話、[59:45] ・ [63:50] ・ [68:30] ・ [72:00] にデモ |
57:50 | 17分20秒 |
Kevin Mandia : セキュリティの話、[80:20] にデモ |
75:10 | 10分5秒 |
Thomas Kurian : クロージング |
85:15 | 9分 |
各セクションの概要は↓にとてもわかりやくすまとまってます。
Vertex AI と Duet AI
セクションのかなりの割合が Vertex AI と Duet AI の話でしたので、自分の理解のためにもサービス内容について記載しておきたいと思います。
Vertex AI と Duet AI の違い
大きなくくりでは Vertex AI が開発者(デベロッパー)用で Duet AI が利用者(ユーザー)用と言う違いがあるようです。
Duet AI と IDE が連携するデモがありましたので混同しそうですが、Vertex AI は AI そのものを開発する Duet AI は AIを利用して開発する と言い換えるとちょっと理解できました。
Vertex AI とは
Google Cloud Next ’23 へようこそ!より引用します。
モデルや AI を活用したアプリケーションを構築するための開発者向けツールで、カスタムモデルの作成や、企業データを活用したカスタム検索、会話アプリを構築するための Vertex AI が大きく進化しています。
Duet AI とは
こちらも Google Cloud Next ’23 へようこそ!より引用します。
Duet AI は、Google Workspace と Google Cloud に統合された AI コラボレーターです。すべてのユーザーに文章作成やスプレッドシートでの支援、プロジェクト進行や会議の議事録作成、クリエイティブなビジュアル生成などの機能を提供する Duet AI in Google Workspace は、一般提供を開始します。Duet AI in Google Cloud は、コーディングや SRE エンジニアリング、データベース管理やデータ分析、サイバーセキュリティにおける支援を提供します。
利用者と言ってもかなりの幅と高さがありますね。
気になったワードのピックアップ
ここから個人的に気になったワードをピックアップしていきます。
[14:10] GKE Enterprise
GKE のマルチクラスタ管理と言うことはそれって Anthos? と言う裏が取りたくて調べましたら、こちらに、
GKE Enterprise (Anthos) technical overview
ってありました、納得。
[15:30] Google Distributed Cloud
Google Cloud をオンプレミスで実行するアプライアンスです。
Microsoft の Azure Stack、AWS の Outposts と同じところに位置づけられるものになると思います。
BigQuery や Vertex AI が制約なしで動けば次のステップが踏めそうですが、まだ仮想マシンかコンテナーの実行環境くらいにしかならないのがこの手のアプライアンスの現状ですね。
[19:00] NVIDIA CEO 登場
こちらにも登場されてました、各社 NVIDIA の抱え込みに必死な感じが伝わってきます。
[29:55] SEC-PaLM、Med-PaLM
その名の通り SEC-PaLM : セキュリティ Med-PaLM : 医療 向けの AI モデルの話がありました。
特に SEC-PaLM、一般的なセキュリティについては SaaS で対応できると思いますのでニッチなインシデントに適用できると面白いなと感じました。
[37:40] Digital watermark(電子透かし)
デモの内容はピンときませんでしたが、Opening keynote のなかで2回出てきてましたので力を入れている領域なんじゃないかと思います。
[52:50] Duet AI でプレゼンテーションを自動生成するデモ
このデモ AI にコンサルしてもらってる感じで面白かったです、更に自分の性格とかをパラメータで入力すると個性を出してくれるようにならないかな。
[79:20] G社、A社、M社の脆弱性件数の比較
G社が圧倒的に少ないとのこと、私はこの手の切り取り系の内容は品位を落としかねないので好きではないです。
Tokyo は
ここで Tokyo の Opening keynote を視聴しての感想を記載しておきます。
- まず基本的な構成は同じ
- 説明的なスライドの投影が多く、話自体よりもそっちがメインコンテンツの印象
- 中外製薬とZOZOのセッションに時間が割かれていて、逆に以外のパートナーの紹介は控えめ
- デモは淡々としている
あと米国で発表されたけど日本ではまだリリースされていないものもあって、さらっと流してましたが苦労してそうでした。
おわりに
一番の感想は、強いメッセージ性は込められておらず事実ベースでフラットに淡々と進行していくと言うことでした。
セクションごとにスピーカーも変わるので事業説明的な雰囲気もあり、デモは総じて盛り上げようとしていてコミュニティみたいな感じ、そして全体通してパートナー推し。
私自身が技術者としての Google 属性を備えていないのもあり Microsoft との違いは結構感じました。
でもこれらの特徴は日本には合ってると思います、すごく良くまとまった公式記事が上がってるのも日本向きですね。