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【財務分析】ソフトバンクはどんな状況なのか (1)

Last updated at Posted at 2020-04-17

1.はじめに

4月13日のソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)の2020年3月期の決算発表で、7500億円の最終赤字になるとの発表がありました。(下記の写真参照)孫正義社長の攻めの経営で、躍進を続けてきたソフトバンクですが、純粋に財務分析で、その中身を理解してみたいと思うようになりました。
財務分析の初心者なので、勉強内容を共有しながら、数回に分けて記事を掲載致します。

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1.1.ソフトバンクの売上高順位

日本企業の売上高ランキングで、ソフトバンクがどの位置にいるのか調べてみました。なんとなく国内50位中には入っているのではないかと思っていましたが、なんと日立製作所より上の9位でした。
1位は、売上高が30兆円のトヨタ自動車。2位は16兆円の三菱商事です。1位と2位との売上高の差が14兆円ですね。
3位は、本田技研工業。最近、軽自動車がメインの印象がありましたが、自動車業界ではトヨタに継ぎ2番目の大手です。
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1.2.リーマンショックの直後の日立の大赤字

10位の日立製作所ですが、11年前に7000億円の歴史的な赤字を出したことがあります。当時、傘下にあった半導体メーカのルネサスエレクトロニクスの不振もあり、創業以来の最悪の水準と言われ、最終的に社長が3年で交代することになりました。日立は、創業以来、社長の平均任期が10年以上だったので、だった3年で交代されたことを見ると、7000億円の赤字がかなりインパクトが大きい数字でした。

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2.財務分析

財務分析は、国貞克則さんの「財務3表分析シリーズ」で勉強しています。

2.1.使用ソフト

財務分析スキルを身に着ける方法として良いのは、企業の決算発表資料を見ながら、直接に貸借対照表などの財務諸表を直接に書くことだと思います。その時、参考にしていた本がこちらの本です。企業の決算発表資料の数字を入力するだけで、自動的に貸借対照表と損益計算書をプロットしてくれるソフトが付いています。複数の企業のデータを入力し、財務情報を比較することも可能で、とても便利でした。

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2014年に発行された本でもあり、現在では中古本としか手に入ることができません。
しかし、このソフトを作った会社が、アップデートを続けて、現在はVectorで「財務が見え~る」というソフトとして提供しています。(シェアウエア:2,852円)一つの特徴は、EDINETとTNetから直接にデータを持ってくることが可能であることです。この機能については、後ほど説明します。

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2.2.財務分析のポイント

企業の活動を三つのフェーズに分けて考えることができます。

フェーズ1:ビジネスに必要なお金を集めます。
お金の出所は二つです。自己資金と他人から借りたお金です。

フェーズ2:集めたお金をビジネスに投資します。
車を作るために、工場を建てることをイメージしてみてください。集めたお金で、不動産と設備の固定資産を買いますね。投資とは、資本を資産に変えることとも言います。

フェーズ3: ビジネスから売上高を作り、利益をあげます。

これらの活動は、実に財務3表で現れます。
1.お金を集めた内容:貸借対照表の右側の「負債と純資」としてに現れます。
2.投資した内容:貸借対照表の左側の「資産(=流動資産+固定資産)」としてに現れます。
3.利益を上げる内容:損益計算書の「当期純利益」として現れます。

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この三つの活動を縦の図にすると、下記のようになります。

自分のお金や他人のお金を集め、資産に変える。

その資産を利用して売り上げを立てる。

売上から利益を上げる。

とうい流れです。シンプルですね。

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2.3. 四つのKPI(Key Performance Index)

国貞さんの本によると、この過程で注目する指標が下記の四つがあると説明されています。

2.3.1. ROE

企業が自分のお金でどれほど利益をあげたかを見る指標です。企業活動の始まりと終わりのお金をチェックします。要は、自分のお金でいかに効率的にビジネスを行い、利益を上げているかを見ます。日本上場企業の平均は8%と言われています。

経営効率を見る指標として使います。
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2.3.2. レバレッジ比率

集めた資本の中で、他人から借りたお金と自分のお金の比率を表す指標です。要は、資本の中で返済必要があるお金はいくらあるかが分かる数値です。よって、借金が大きさが分かる指標ですので、企業の安定性を判断する指標で、安全面では100%以下であることが望ましいです。

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2.3.3. 総資本回転率

これは投資の結果として現れる資本が売上高にどう変わったかを見る指標です。つまり、1年間の売上で資本が何回回収できるかが判断できます。
1.0から1.6くらいの間が目安です。
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2.3.4. 当期純利益率

売上に対する当期純利益を割合です。
当期純利益とは、売上高から売上原価や販売費、営業外損益、特別損益、法人税などを差し引いたものです。企業の優良さが判断できる指標で、目安として4%を超えると非常に優良な企業と言えます。
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2.4. 分析事例

ソフトバンクを分析する前に、「信長の野望」で有名なコーエーテクモホールディングス(以下、コーエー)の財務分析を行います。分析といっても、今は、決算資料を見るだけですが。
ちなみに、創業者の襟川陽一さん(ペンネーム:シブサワコウ)と襟川恵子さんは、2019年の日本長者番付で34位にランクされています。

コーエーの創業者、襟川陽一、襟川恵子さん(1970年代の写真)
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「財務が見え~る」ソフトを起動し、EDINETでコーエーを検索します。2020年2月にコーエーの第三四半期の発表があったので、それを選択します。

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数字を確認し、クリックすると、貸借対照表と損益計算書がプロットされます。

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そして、数字のチェックのため、コーエーの発表資料の数字と比較します。売上高~当期純利益の数字が一致するのでOKとします。

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貸借対照表の形を見ると、かなりの優良企業ですね。よく見るのが、貸借対照表の右側に突出している有利息負債です。全体の資本+負債の中で、利息が発生する負債がどれぐらいあるかをまず見ます。コーエーの場合、この部分が非常に少ないため、負債による経営圧迫が小さいことがわかります。

そして、右側の損益計算書を見ます。なんと粗利が46.7%です。
これは、あまり見たことない数字です。素晴らしい。

今日は、簡単にコーエーの四つのKPIを見てみます。

KPI コーエーテクノホールディングス 目安
ROE 7.7% 日本上場企業の平均は8%
レバレッジ比率 1.09 安全面では1.0(100%)以下であることが望ましい
総資本回転率 0.19 1.0から1.6くらいの間
当期純利益率 36.4% 4%を超えると非常に優良

ROEは、日本企業ほ平均レベルと言えます。
レバレッジ比率は1.09。
総資本回転率が低いですね。ちなみにニンテンドーは0.7程度でした。ゲーム業界は低いのが特徴ですかね。なんか資本が多いのかな。
当期純利益率がすごいですね。4%超えると非常に優良と言われるのに、その10倍に近い36.4%です。やはり信長の野望で儲けていますね。

3. まとめ

  1. ソフトバンクの7000億円の赤字が気になり、財務3表で中身を分析することにしました。
  2. 国貞さんの本と、「財務が見~える」というソフトを使います。
  3. コーエーテクモホールディングスを調べてみたら、思った以上すごい会社であることがわかりました。

参考資料

1.ソフトバンクグループ、7500億円の最終赤字 20年3月期 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57990620T10C20A4I00000/

2.日立の09年3月期は最終赤字、創業以来最悪の水準 https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-36211920090130

3.日本長者番付 by Forbes Japan https://forbesjapan.com/feat/japanrich/

4.襟川陽一、襟川恵子インタビュー https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/koei

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