1.はじめに
電子回路の基板を作るとき、専用のCADを使うと部品のライブラリー管理は、複雑は配線を整理してくれてとても便利です。
世間的には、Eagle CADとKiCADのシェアが高いです。個人的には長く使ってきただけの理由で、これまでEagle CADのライセンスを購入して使っています。
しかし、今年1月よりEagle CADのライセンスの形態が大きく変わったため、その内容を整理したいと思います。
2.変更の背景
Eagle CADを提供しているAutodesk社は、Fusion360という3D CADも手掛けています。
3D CAD市場は、Solidworks社のシェアが圧倒的に高いです。Solidworsのライセンスは購入+更新モデルで、購入は、1本3995ドルです。毎年の更新料は1295ドルです。
そこで、Autodesk社は、Solidworksが買えない個人ユーザー、大学研究機関、スタートアップを対象に、Fusion 360を比較的に安い価格で提供してきました。Fusion360のライセンスは、サブスクリプションモデルで、毎年 495ドルがかかります。
去年の12月までは、Eagle CADとFusion 360は別々の製品となっており、お互い連携ができるものの、購入は別々になっていました。
それを今年の1月より、Fusion 360にEagle CADを統合することにしました。正確には、Fusion 360にEagle CADを取り入れる形で、Fusion 360のライセンスを購入すると、Eagle CADも使えるようにしました。その反面、単体のEagle CADライセンスを購入することはできなくなり、結果的にFusion 360を買わざるを得ない状況にもなったわけです。
Autodesk社にとって、Eagle CADのユーザー層を取り入れてFusion 360のシェアを拡充したい思惑が見られる措置だと思います。
3.変更内容
上記のAutodesk社のライセンス政策変更により、ライセンス価格も大きく変わりました。
Eagle CADユーザーの観点からすると、下記の表になります。
Until 2019/12 | Until 2019/12 | After 2020/01 | |
---|---|---|---|
ライセンスタイトル | Eagle Standard | Eagle Premium | Fusion360 + Eagle Premium |
機能 | レイヤ数4、基板領域160cm^2 | レイヤ数16、基板領域 ∞ | レイヤ数16、基板領域 ∞ + 3D CAD |
年間ライセンス費用 | 16,500円 | 86,900円 | 61,000円 |
2019年12月までは、Eagle StandardとEagle Premiumという二つのライセンスを提供してきました。1年間のライセンス費用は、それぞれ16,500円と86,900円でした。Hobby向けの個人ユーザーの場合、ほとんどEagle Standardを利用していたと思います。
2020年1月より、Eagle StandardとEagle Premiumという区別を取りやめて、Fusion 360に従属するEagle Premiumのみにしました。
年間ライセンス費用は、61,000円です。
既存のEagle Premiumユーザーにとっては約25,000円も安くなりましたが、既存のEagle Standardユーザーにとっては、約45,000円が高くなり、使う予定が未定の3D CADが付いてくることになります。
まとめ
- 2020年1月よりEagle CADのライセンスが大きく変更されました。
- 既存のEagle Premiumユーザーにはお得な内容です。
- 既存のEagle Standardユーザーには不利な内容です。
- この記事をお読みになった方の中に、Fusion 360のユーザーが入らっしゃったら、Fusion 360のすゝめのコメントを頂けないでしょうか?Fusion 360に入るために、一押しがあればと思います。
参考資料
1.[Autodesk EagleCAD + Fusion360 License Price]https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/subscribe?plc=F360&term=1-YEAR&support=ADVANCED&quantity=1
2.[Eagle CAD no longer stand alone program, Autodesk now includes Eagle with Fusion 360]https://www.reddit.com/r/PrintedCircuitBoard/comments/eo23rk/eagle_cad_no_longer_stand_alone_program_autodesk/