エイチームライフデザインで開発グループのアシスタントマネージャーを務める髙木です。
マネージメントされる方々、チームをリードする方々において、悩ましいのはエンジニアのスキルが事業(ビジネス)視点でどのように活かされるかではないでしょうか。この視点が不明確だと、必要な人員数や体制を感覚に基づいて決めざるを得ず、育成面でもどこに注力すべきか判断に迷います。
ということで、この記事ではエンジニアのスキルの表現の難しさと、ビジネスとの接続について具体的な戦略を紹介していきます。
エンジニアスキルの特徴
ビジネス職の発揮するスキルは目に見えないソフトスキルが多いのに対し、エンジニアは扱える言語やサービスというハードスキルがメインです。私の中では、ビジネス職は魔法使いのイメージで、エンジニアは多種多様な武器を扱う暗器使いのイメージです。
エンジニアのスキルは具体的で、どの程度優れた武器(技術)を持っているかはわかりやすい一方で、それがビジネスにおいて有効かどうかは必ずしも明らかではありません。
ビジネスの現場ではそのスキルが事業にとってどのような価値を生み出すかが見えにくいため、ビジネス視点でのエンジニアのスキルの表現を難しくしています。
そこで、「ビジネスにおいてエンジニアがどのように関与しているか」を紐解くことがこの難しさを打開するキーだと考えます。
事業プロセスにエンジニアがどう関わっているか
どんなビジネスもバリューチェーンで考えることができます。弊社のようなWebサービスの場合、以下の流れでエンジニアが全プロセスを支えていることがわかります。
- 集客(SEOや広告):
- エンジニアはSEO最適化や広告技術を駆使して、デジタルチャネルの効率を最大化します。
- 獲得(コンバージョンを上げる):
- 顧客獲得に向けた施策を通じ、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、コンバージョン率を高めます。
- 接客:
- 顧客対話を支援するチャットシステムやカスタマーサポート機能を開発します。
- 販売・マーケティング:
- 販売促進やクライアントへの価値提供を強化する技術基盤を整備し、マーケティング活動を支援します。
事業において、各ビジネス職はプロセスごとの役割を担い、エンジニアはその横断的な支援をしています。
つまり各プロセスへの技術的支援がエンジニアの価値を形成し、どのプロセスでどのように関与できるかが重要なスキルの基準となります。
事業プロセスにおけるエンジニアのスキルの基準
事業プロセスにおけるエンジニアのスキル感は作業フェーズごとの習慣づいた行動を基準とします。
一般にエンジニアの作業フェーズは以下の通りです。
- 企画・要件定義
- 設計
- 開発
各フェーズでの行動を5段階などのスキルレベルとした場合
例えば、企画・要件定義ですと私たちのチームでは最大のレベル5では「事業課題を理解し、技術的な視点で解決策を提言できる」こととしています。
このようにスキルの基準を定めることで、プロセスごとの支援する力の過不足がわかり、後の育成方針の策定にも役立ちます。
育成に向けて、リポジトリ単位でのスキル網羅度をチェックする
エンジニアの技術力を発揮した成果物はアプリケーションやサービスです。
アプリケーションやサービスを更に細分化するとインフラ・バックエンド・フロントエンドなどのリポジトリとなります。
これらの機能が寄り集まってアプリケーションやサービスを成し、事業を支援していることになり、
エンジニアの技術力 → リポジトリ → 事業プロセスの支援 という体系に整理することができます。
このように整理することで、事業プロセスの支援の状況から、スキル感として課題のあるリポジトリはどこか、そのリポジトリを扱うために必要な技術スキルはなにかと特定することができるようになります。
最後に
散々書いてきましたが、結局のところは組織の形によってアプローチは異なると思います。
ただしどのような組織でも会社であり事業を行っている以上は事業としての目的・目標があり、
エンジニアが所属しているのであればそれを何らかの形で支援しているはずです。
全体の目的から技術スキルまで徐々にブレイクダウンしていくことで、本当に必要な・伸ばすべき・得るべき技術がなにかを特定することができます。
そしてそれはマネジメントとしてチーム運営をする面でも、1人のエンジニアとして自分のどのスキルを伸ばしていくかという点でも重要なものと考えています。
参考になれば幸いです。