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研究でスマートウォッチを選ぶなら?ウェアラブルデバイス選びのポイントを解説

Last updated at Posted at 2024-12-23

はじめに

近年,研究目的でスマートウォッチを活用する場面が増えています.現にkatolabでは,3種類のスマートウォッチがいつでも測定できるように完備されています.スマートウォッチを利用すれば,心拍数や睡眠パターンなど,日常生活での生体データを簡単に収集できます.しかし,スマートウォッチ選びを間違えると,研究結果に大きな影響を与える可能性があります.本記事では,スマートウォッチ選びの際に考慮すべきポイントや具体的な製品の特徴を紹介します.Qiitaは初めて書くので読みにくいところもあると思いますが,ご容赦ください.

スマートウォッチ選びのポイント

参加者に配慮する

研究対象者がスマートウォッチを実際に装着する際には,デバイスの適合性,使いやすさ,デザインといった要素に十分配慮する必要があります.まず,デバイスを装着しても快適であることが重要です.長時間装着することを考慮し,違和感や不快感が生じないものである必要があります.また,スマートウォッチの操作が簡単であることも求められます.特に,研究対象者が技術に不慣れな場合でも直感的に使用できる設計が望ましいです.さらに,デバイスの外観にも注意を払うべきです.目立たず,日常生活の中で自然に溶け込むデザインであれば,参加者が快適に使用できるだけでなく,研究への協力意欲も向上する可能性があります.

研究デザインに合わせた選択

研究の目的や収集したいデータの種類に応じて,適切なスマートウォッチを選定することが重要です.特に重要なのは,測定基準を明確にし,それに基づいてデバイスを選ぶことです.たとえば,心拍数を正確に測定する必要がある場合には,心電図センサーを搭載したApple Watch Series 10のようなデバイスが適しています.このモデルはFDA承認のセンサーを備えており,高い精度が期待されます.さらに,選定の際には複数のデバイスを比較した検証研究を参考にすることも有効です.これにより,研究目的に最も適したデバイスを客観的な視点で選ぶことができます.

バッテリーの長さ

研究でスマートウォッチを使用する場合,バッテリー寿命は重要な考慮事項です.特に,参加者が特定の日数にわたりデバイスを装着する必要がある場合,その期間を問題なく測定できるバッテリー性能が求められます.たとえば,Garmin Vivosmart 5は1回の充電で最大7日間持続可能であり,長期間のデータ収集に適しています.一方で,Apple Watchは高い機能性を備えていますが,バッテリー寿命が短く,毎日の充電が必要となるため,運用上の工夫が求められます.デバイスを選ぶ際は,必要な機能とバッテリー寿命のバランスを考慮することが大切です.

予算の制約

研究費用に制約がある場合,スマートウォッチのコストも重要な選択基準となります.その際,以下のような工夫が考えられます.例えば,参加者がすでに所有しているApple Watchを活用することで,新たなデバイスの購入費用を抑えることができます(あんまり聞かないけど).また,Fitbitなど,比較的安価で手に入るデバイスを採用するのも有効です.ただし,デバイスによってはスマートフォンとの互換性が限られる場合があるため、注意しましょう(例:Apple WatchはiPhone専用であり,Androidデバイスでは使用できません).予算と互換性を慎重に検討し,最適なデバイスを選びましょう.

データアクセスの利便性

研究において収集したデータを効率よく管理・分析することはとても大切です.そのため,スマートウォッチ選びの際にはデータアクセスの利便性を考慮することが重要です.デバイスごとに提供されるツールやプラットフォームの特徴を比較し,自分の研究に最適なものを選びましょう.
例えば,Apple ResearchKitは専用アプリを開発できるため,研究のニーズに応じた柔軟なデータ収集が可能です.ただし,アプリ開発にはプログラミングの知識が必要な場合があり,開発能力に自信がない場合は慎重に検討する必要があります.一方,Garminと連携可能なLabfrontは,ノーコードでデータ収集や管理が行えるため,技術的なハードルを下げつつ効率的に運用できます.特にデータ管理に時間を割きたくない場合に適した選択肢です.さらに,Fitbitと連携するFitabaseは,データの集約と分析に特化しており,研究者が大規模なデータセットを効率的に管理できるプラットフォームです.Fitabaseを利用すると,Fitbitから取得したデータ(例:心拍数や歩数など)が自動的に整理され,研究者が必要とするフォーマットで提供されます.これにより,手作業でのデータ整理の手間が大幅に軽減されます.これらの選択肢を検討する際には,技術力,予算,データの利用目的を踏まえ,最適なプラットフォームを選ぶことが重要です.操作性が高く,データへのアクセスがスムーズな環境を整えることで,研究全体の効率が向上し,より正確な結果を得ることに繋がります.

スマートウォッチの精度比較

Apple Watch,Garmin,Fitbitの3種類のスマートウォッチに関する精度を文献を参考にして比較します.比較対象としてApple WatchとFitbitはkatolabにあるため,利用可能なデバイスを選定しました.Garminに関しては,企業のインターンシップで実際に活用し,その際におすすめされた機器であったため,比較対象に加えました.

各デバイスの精度について,以下の測定値を基に比較します.なお,文献を参考にしており,%表記と数値表記が混在していますが,ご了承ください.

項目 Apple Watch Garmin Fitbit
心拍数 (運動中) 平均1.3BPM過小評価 1.16-1.39%の誤差(例:100 BPMで1.16-1.39 BPMの違い) 平均9.3 BPMの過小評価
カロリー消費 誤差範囲: -6.61%~53.24% 6.1-42.9%の誤差 平均14.8%の誤差
歩数 平均0.9-3.4%の誤差 平均23.7%の誤差 平均9.1-21.9%の誤差
睡眠の認識 睡眠の認識精度97% 睡眠の認識精度98% 睡眠の認識精度は約7-67分の過大評価
心拍変動の誤差 平均9.6ms過小評価 平均22.4ms過小評価 特に記載なし

カロリー消費の測定においては,Apple Watch,Garmin,Fitbitのいずれのデバイスでも,誤差が比較的大きいことが分かります.Apple Watchは通常,誤差範囲が-6.61%~53.24%の間であり,精度にバラつきがあります.Garminでは6.1%~42.9%の誤差範囲が見られ,特に測定結果に広範な誤差があるため,カロリー消費の正確な測定には注意が必要です.このように,カロリー消費の測定にはいずれのデバイスでも課題があります.

心拍数の測定については,Apple WatchとGarminが比較的高い精度を示しています,Apple Watchは運動中に平均1.3 BPMの過小評価がありますが,誤差は小さく,信頼性のある測定が可能です.Garminの心拍数測定も1.16%~1.39%の誤差で安定しており,精度が高いと言えます.対照的に,Fitbitは運動時に平均9.3 BPMの過小評価があり,他の2つのデバイスに比べて精度が低いため,特に心拍数測定には注意が必要です.

精密なデータ収集を求める場合

Apple Watchは,心拍数や心電図など,健康データの測定精度が非常に高いことで知られています.特に,医療関連の研究や臨床データの収集においては,その高精度なセンサー性能が大いに役立ちます.運動中の心拍数やカロリー消費,睡眠の認識など,正確な生体データが必要な場面に最適なデバイスです.

長期間のデータ収集を重視する場合

Garminは,バッテリー寿命が非常に長いため,長期間のデータ収集を行いたい場合におすすめです.最大7日間の使用が可能で,充電の手間を最小限に抑えながら,連続的なデータ測定が行えます.特に,日々のアクティビティや健康管理を長期間にわたって継続的にモニタリングしたいユーザーに向いていると思います.

コストを抑えたい場合

Fitbitは,コストパフォーマンスに優れた選択肢として,特にデータ管理や分析を効率的に行いたい場合に最適です.Fitabaseと連携することで,収集したデータを簡単に管理・分析でき,効率的な健康管理が可能となります.低価格でありながら,高い機能性を持つFitbitは,予算を抑えつつも十分なデータ収集と分析を実現したい方におすすめです.

おわりに

スマートウォッチの選び方は,研究の成功に直結する重要なステップです.デバイスの特性や精度,予算,データアクセスの利便性を総合的に考慮して,最適なデバイスを選定しましょう.選定するにあたって調べたことは,学会発表などで説明する際に,活きてくるはずです.本記事が,ウェアラブルデバイス選びの参考になれば幸いです.ぜひコメント欄などで,おすすめデバイスや選び方のポイントがありましたら教えてください!

参考にした文献

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