CloudFrontの署名付きCookieと署名付きURLの主な違いは、アクセス制御の方法とユースケースにあります:
署名付きURL
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動作方式:
- 各リソース(ファイル)に対して個別のURLを生成
- URL自体に認証情報が含まれる
- 例:
https://d1234.cloudfront.net/images/photo.jpg?Expires=1598888000&Signature=abc123...
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ユースケース:
- 特定のファイルへの一時的なアクセス提供
- ダウンロードリンクの共有
- 個別のコンテンツごとに異なるアクセス権限が必要な場合
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制限:
- 各ファイルごとに別々のURLが必要
- URLが長くなりがち
- キャッシュの問題が発生する可能性あり(クエリパラメータが異なるため)
署名付きCookie
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動作方式:
- ブラウザにCookieを設定し、そのCookieを使って複数リソースへのアクセスを許可
- CloudFrontにリクエストを送る際に自動的にCookieが送られる
- 一度認証されると、指定したパターンの全リソースにアクセス可能
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ユースケース:
- 保護された一連のファイル(例:会員サイトのコンテンツ全体)へのアクセス
- ユーザーが複数のファイルにアクセスする必要がある場合
- HLSビデオストリーミングなど、多数の小さなファイルへのアクセス
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利点:
- 一度設定すれば複数のファイルにアクセス可能
- URLは変更されない(標準のCloudFront URL)
- キャッシュ効率が良い
実際の違い(技術的な観点)
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スコープ:
- 署名付きURL:単一のファイルに対して有効
- 署名付きCookie:パターン(例:
/members/*
)に一致する全てのファイルに有効
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実装場所:
- 署名付きURL:URLを生成してユーザーに提供
- 署名付きCookie:サーバーサイドでCookieを設定する必要がある
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ブラウザの互換性:
- 署名付きURL:全てのクライアントで動作
- 署名付きCookie:Cookieをサポートするブラウザのみ
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URLの長さ:
- 署名付きURL:署名情報がURLに含まれるため長くなる
- 署名付きCookie:標準のURLを使用
多くの場合、実際のシステムでは両方の技術を状況に応じて使い分けることがベストプラクティスです。