32
20

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

Cascadeur でモーションを作るための覚え書き

Posted at

今回作ったモーション、工程毎でやったことを知見としてまとめます。

Cascadeur って?

物理挙動を即時反映しながら調整できる、アニメーション作成ソフトウェアです。フレーム間の動きを滑らかに繋げたり、ポージングの調整を行うなど、様々な工程において AI(機械学習ではない)の力を感じさせてくれる、とても強力なツールだと思います。

カスケーダーと読む。多分。

動画を参考にモーションをトレースする

まずは動画を見ながら、モーションの動きを頼りに作っていくのが簡単です。

チャンネル内の動画はトレスフリー・アレンジフリーです。
イラストやゲーム、アニメなどへの利用はご自由にどうぞ〜
(ご利用いただいた旨を紹介いただけたら嬉しいです!)

大変ありがたいことに、参考にできる動画が多数公開されています。前後左右のカットもあるのが嬉しい!ちなみに Cascadeur 公式チュートリアル でも使われています。

今回はこちらの動画を使います。

リファレンス動画をインポートする

00c68f4429068f7cbd8832b62f068a94.gif
動画をインポートすると、連番化された画像に変換されます。キーフレームがどこにあるのか、どの程度の尺間で作っていけばよいのか、などの指標になります。
b6dc78f74c9375637e856e1c8184bfd4.png
File Import Reference video を選択します。Source から動画を選択し、ロードされると以下項目が設定できるようになります。

  • Frames path 連番化された画像の配置フォルダ。それなりに枚数が作成されるので、長い場合は From To で調整しましょう。
  • From To 動画尺の指定。Timestamp [Frame Number] が右に表示されるので、必要なフレームで抜き出します

実行するとアウトライナに MeshObject(0) というプレーンメッシュが追加されます。見やすい位置やスケールを調整しましょう。尺を調整したい場合は、MeshObject(0) を選択して再度インポートすれば更新されます。

最初のポーズを作成する

まずは 0 フレーム目のポージングを作成していきます。

オートポージングリグを使おう!

Cascadeur の特徴である、物理計算を元にポージングが反映されるリグです。

とても分かりやすいプレゼン動画!数種類のリグがプリセットで用意されていますが、まずはオートポージングで動かすのが簡単です。

ポーズに必要なポイントを固定する

9985b82ec994c51256b5ec463b26d834.png
オートポージングリグでは、固定された(キーが打たれた)ポイントを元にポーズが計算されます。固定されていないポイントでは、ニュートラル(自然体)な位置回転が適用されます。これらは青色/緑色で色分けがされており、Shift + Z で切り替えができます。
3f5a79cb833946ee5df5b20e297cd0da.gif
右足を動かしたときのポーズ計算の違い。腰のポイントを固定すると、上半身や左足の動きが制限されていることが分かります。
6541ce74ae87f00f691e88d75d289c04.png
違和感を感じたら一旦ポイント固定を消してみる。固定されたポイント(画像では顔の向き、腰の位置、左右の手の位置)により、(この場合は左手が前に出ているので、ヘソの向きは少し右寄りに)自動でポージングを計算してくれます。
まずは大まかにどんなポーズにしたいのか、主要なポイントを入力しつつポーズを作っていきます。そのあとサブポイントで調整、という具合で進めるとよさそうです。固定してもしなくてもポージングにほとんど変化がないポイントは外しておくと、次のキーフレームへの繋がりがスムーズになります

使い分けが大事

オートポージングはラフな作業に適していますが、細かい作業には向いていません。ブラッシュアップではポイントコントローラー、手のポージングではボックスコントローラーを使うのがよさそうです。

Pivot で動かす

「腕全体で回したい」「つま先を固定しつつ足を持ち上げたい」など、とある基点を元に回転させたい場合。
765e37337fde0a22d73468aa38edf92d.gif
動かしたいポイントを選択します。支点となるポイントを右クリックで選択すると、枢軸として作用します。「ポイントを指定位置に持っていき、回転を調整する」よりも自然な動作が作れます。

ブロッキングを作成する

ブロッキングってなんやねん、って人向け

7395af84ba14950f1452ef8bee203f1d.png

キーフレームを探す

db3749b9a22e0f7bdd53b6090af21360.png
ふむふむ・・・。私はアニメーターではないので、アドバイスというには遜色があるかもしれませんが、以下の点を意識しています。
e5ee464ff6aae11d6c9e8cf37bdfb280.gif

  • 足の接地や手の動きが切り替わるフレーム
  • 動きが止まり、ポージングが印象的になるフレーム

430183df68dfa3a577db1ab30d53c50b.gif
(ゼェゼェ・・・)
大まかにキーフレームを作成します。細かい調整は後回しで、まずは全体感の作成です。

インターポレーションの適用

545ca5b0535d005b3982c46562a66956.png
トラック全体を選択(タイムラインのトラック名をクリック)し、タイムライン上部の Interpolation on intervalBezier clamped に変更します。キーフレーム間のポージングを繋いで補完する機能です。
1ddb510be4577ecfffa4748ac1ad0f30.gif
これだけでもかなり、モーションらしくなってきたんじゃないでしょうか?

腕には FK を適用する

フレーム間が補完されて滑らかな動作になりましたが、腕は想定通りに動いていません。
これは IK の働きによるものです。タイムラインのトラックは通常 IK で設定されています。

IK と FK の概略

3188b7fae9b57414ef743bbced62c379.png

172035ab4200ff6a0ca99cc14c681546.png
トラックを開いて、Arms を押すと、全フレームが選択されます。上部の IK となっている箇所を FK に切り替えます。

腕部位はとりあえず、全フレーム FK で OK

d725fab2d2401bfe9554bf9558805e00.gif
上手く回転するようになりました。
88c132f116dce1e5ebe15b7cf820898e.png
しかし、細かく見ると変なポージングのフレームが存在するので、補完が上手くいくように調整します。特に武器を振るなど、「素早く」且つ「綺麗な軌跡を描く」部分は中間フレームを足す必要があります。

フレーム間を可視化する機能

時間軸でどういった変化が発生しているのか、可視化できる便利な機能です。

Ghost(残像)の表示

f6f0f167d90fa323ca6606458e06a6c7.png
前後のフレーム(またはキーフレーム)を残像として表示します。次に取るべきポーズ、位置間隔のおおよその目安とすることができます。
それぞれのボタンは「表示フレームの指定」、左右の数値は「フレーム数の設定」。右上の鍵マークはキーフレームのみをフィルタすることができます。
特に「接地した足の踏ん張りがある」「頭部は激しく動かさない」など、前後のフレームで位置を合わせるときに重宝します。

Trajectory(軌跡)の表示

bf9312a2cf86ec02fda6d931e0113013.png
指定したフレーム間で、ポイント位置の軌跡を表示します。「勾配なくなだらかな軌跡に」「フレーム間の間隔を調整」することで自然な動きに近づきます。

伸びきった破綻を修正する

e5ee464ff6aae11d6c9e8cf37bdfb280.gif
少し無理なポージングをする際、手や足先などが伸びきって破綻してしまう場合があります。
こうしたエラーは後述の Auto Physics で問題になりがちなので先に潰します。腕を伸ばす場合は、肩の位置を調整する、などするとよさそうです。中間含め、全てのフレームで問題がないか確認してください。

Auto Physics の適用

a700e950bede3992cb1f1490c40f3471.png
ここまで来たらいよいよ Auto Physics の適用です。各部位の軌跡やポージングを、いい感じに整えてくれる機能です。
2a8f41ca2396f67e5cecfb97a8a28e08.gif
左が元の、右が適用後。腰の動きなど、滑らかなカーブで修正されているのが分かります。
68747470733a2f2f71696974612d696d6167652d73746f72652e73332e61702d6e6f727468656173742d312e616d617a6f6e6177732e636f6d2f302f34313130352f66626264323366302d663664342d313164362d323538622d6233313135646438306362302e706e67.png
Physics settingsGhost offset を OFF にして、元のメッシュ位置と重ね合わせます。適用するとどうなるのか、全フレームでチェックしてください。問題なければ Snap to Auto Physics を押し、各フレームに物理計算を適用します。

049d63278a423fbde9d5e00711bf53c2.png
デフォルトでは Fixing interpolation on change interval が ON になっているので、全フレームが固定(緑色に)されてしまい、その後の修正を加えることが難しくなってしまいます。各キーフレームのみに適用する場合は OFF にしてください。

Auto Physics で荒ぶるときは

割とよく荒ぶる(見た目が崩れる)ので解決方法に悩まされましたが、大まかに次の2点が原因と言えそうです。

モーションの破綻がある

キーフレームではうまくポージングできていても、補完された中間フレームで破綻が発生している場合があります。前後のキーフレームでポージングを修正してください。肩や腰のポイントとの位置関係を見直すと、期待した動作になるかと思います。
24ae9f79603aaa830a06d8e800bfc85c.png
右足が伸びきった状態。前後のフレームで腰を落とす、右足を手前に引くなどするとよさそうです。

フルクラムポイントの判定

足の接地判定に誤りがある場合があります。いい感じに判定を取ってくれるのですが、たびたび期待と違う動作をするので確認が必要です。
86a6a585d61f4f5806321d7a906aa26c.gif
Auto Physics モードの時、タイムラインの上に以下の状態が表示されます。

  • 両足が接地していると緑
  • 片足が離れていると黄
  • 両足が離れているとオレンジ

792b67ee78580285544ce593f07098f7.png
接地面で緑のエリアが表示される。キーフレーム毎に確認して、この状態が一致していない場合は修正する必要があります。
84014d3de7d60e4ffd1218ce6b79c156.png
修正したいポイントを選択して、
64a9f3f9804a113a4c313ef3a0874a2b.png
Object propertiesFulcrum point の設定。Fulcrum state を「接地していたら Enforce」「接地していなければ NotFulcrum」に変更して状態を強制します。既定の Fulcrum は Cascadeur 側で判定してくれるモードです。多分。

基本的には上手く判定してくれるはずで、何かアニメの破綻がないか見直した方がよいかもしれません。

RootMotion を作成する

ゲームで Pawn を動かすためのモーションを作成します。

RootMotion の概略

0af5e1b2e942695d9e104c036cd12906.png

8b77cd99950ad95972de7caa5fe24f54.png

  1. Scene settings から Copier の設定を変更します
    1. RotateWhole を OFF(モーションによっては ON)
    2. PositionZ のみ ON。横軸の移動がある場合は X も ON、けどノイズが多いので手調整がよいかも。縦軸の移動も基本的には手付けになる。
  2. Fixing interpolation on change interval を OFF
    1. Auto Physics の適用 で触れたように、打たれたキーの Interpolation で調整されてしまうため
  3. 全フレームを選択し、アウトライナから Center of mass(重心)を選択する
  4. Edit Copy interval で区間内の値をコピー
  5. アウトライナから root を選択して、Paste Interval で張り付け
    bea0bb0e84c999b1bb2bd502451c4696.png
    重心位置で RootMotion がコピーされます。root は表示されないため、ジョイントリグモードで確認する。

ゲームにおいて RootMotion の動きはとても重要です。キャラ操作の触り感やスペックなどに強く影響します。大まかには pelviscenter of mass の位置で問題ありませんが、モーションによっては手動での調整が必要な場合もありそうです。

FBX 形式でエクスポート

File Export Fbx/Dae Without Meshes で完了!

参考

なんといっても公式のチュートリアルが参考になります。というかここに書いたことは全てチュートリアルから学びました。次は Secondary Motion について理解を深められたらいいなぁ。

最初に Cascadeur を触る人にオススメ。 今回のように動画をリファレンスにしつつ、一工程ずつを詳しく解説。 歩き動作、ループ再生の作り方の解説。
32
20
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
32
20

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?