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サンプルで学ぶ!PromQLで自在にグラフを描こう (Prometheus + Grafana)

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背景

PrometheusとGrafanaを使ってリソース監視を始めてみたはいいものの、Grafana Dashboards | Grafana Labsにあるダッシュボードはなんかしっくり来ない。しかも、どれも微妙にクエリが違っててどれが正しいのかわからない!

ならば自分でちゃんとクエリを書いてみよう!ということで書いてみます。ここで紹介する3種類のクエリをマスターすれば、だいたい応用が効くと思います。

参考

基本的なことですが、Grafanaでグラフを書くときに入力するクエリ文は、PrometheusのPromQLです。(最初Grafanaのクエリ構文だと思ってた…)

node-exporterのメトリクスは、curlしてみるとヘルプもついてきます。デモサイトもあるのでこちらでもOK

Grafana Templating

GrafanaのTemplating機能を使って、クエリに変数を埋め込みます。以下の変数を定義している前提で記述します。

変数名 説明 サンプル値
node クエリの対象とするノード。Prometheusが自動的に付けるinstanceラベルに対して使用することを想定 localhost:8080
interval クエリで表示する値の単位時間 5m

CPUの使用率

スクリーンショット 2017-11-09 16.39.44.png

クエリ

avg(irate(node_cpu{instance="$node",mode!="idle"}[$interval])) without(cpu)

概要

指定インスタンス($node)の、単位時間($interval)内での1秒ごとのCPU使用率の平均を表示します。また、idleに関しては空きを示すため表示しません。

Prometheusの生データ抜粋

# HELP node_cpu Seconds the cpus spent in each mode.
# TYPE node_cpu counter
node_cpu{cpu="cpu0",instance="docker104:9100",job="node",mode="iowait"}	1.57
node_cpu{cpu="cpu0",instance="docker104:9100",job="node",mode="system"}	42.51
node_cpu{cpu="cpu0",instance="docker104:9100",job="node",mode="user"}	74.37
node_cpu{cpu="cpu1",instance="docker104:9100",job="node",mode="iowait"}	5.13
node_cpu{cpu="cpu1",instance="docker104:9100",job="node",mode="system"}	34.1
node_cpu{cpu="cpu1",instance="docker104:9100",job="node",mode="user"}	72.7

node_cpuメトリクスには、各インスタンスのCPUごとにCPU使用時間(秒)がmode単位で格納されています。

クエリ解説

  1. 欲しいデータは指定インスタンスのmodeidleでないCPUの使用時間の直近$interval分間のデータです
    • node_cpu{instance="$node",mode!="idle"}[$interval]
    • この時点で、modeの数 x CPUコア数 のレコードが返り、valueとして$interval分間のデータが配列で格納されています
  2. 返ったデータを、1秒ごとの平均増加値に直します
    • irate()
    • この時点で、modeの数 x CPUコア数 のレコードが返り、valueが1秒ごとの平均増加値に変換されます
  3. すべてのCPUの平均を取ります
    • avg() without(cpu)
    • without句には、集計関数を適用するときに無視したいラベルを指定します。今回はcpu,instance,job,modeというラベルがあり、cpuを無視してモードごとの平均を取ります。結果的に、すべてのcpuの平均を取ることになります

avg

avg演算子は、レコードごとに格納されたスカラー値の平均値を返します。レコードのvalueが配列(Range Vector)の場合は適用できません。

rate()irate()

rate()irate()関数はどちらも、ある時間範囲で取得したデータが、1秒あたり平均どれだけ増加しているかを計算します。

あくまで増加量のため、この関数を適用すべきメトリクスはnode_cpuhttp_requests_totalなど、何らかの合計値を保持するもののみになります。

rate(v range-vector) calculates the per-second average rate of increase of the time series in the range vector.
irate(v range-vector) calculates the per-second instant rate of increase of the time series in the range vector.

Query functions | Prometheus

withoutby

without句は上述の通り、指定したラベルを無視して集計関数を適用します。実際にwithout(cpu)を実行した場合の生データは以下のように、cpuラベルが欠落した状態になります。

{instance="docker104:9100",job="node",mode="user"}	0.0005000000000002558

by句は逆に、指定したラベルに絞って、つまり他のラベルを無視して集計関数を適用します。by(mode)を実行すると、mode以外のすべてのラベルが欠落した状態になります。

{mode="user"}	0.0005000000000002558

今回はラベルが4つで、instancejobラベルは固定です。つまり、cpumodeしか返されるレコード中で変化しないため、値だけ見ればwithout(cpu)by(mode)は同じ結果になります

CPUのコア数

スクリーンショット 2017-11-09 16.38.52.png

以下のクエリはどちらも同じ値を返します。

count(count (node_cpu{instance="$node"}) by(cpu))
count(node_cpu{instance="$node", mode="system"})

概要

CPUのコア数を直接返すメトリクスはありません。node_cpuメトリクスは上述の通り、CPUごとに使用率を返すため、これを利用して計算します。

クエリ解説

count(count (node_cpu{instance="$node"}) by(cpu))
  1. 指定インスタンスの直近のnode_cpuメトリクスを取得します
    • node_cpu{instance="$node"}
    • この時点で、modeの数 x CPUコア数 のレコードが返り、valueとして直近のデータがスカラー値で格納されています
  2. CPU単位で、メトリクスの数を取得します
    • count() by(cpu)
    • この時点で、system,userなどのCPU使用率データの個数がCPUごとに返ります。この個数は目的の値でないので無視します
  3. CPUの数を数えます
    • count()
count(node_cpu{instance="$node", mode="system"})
  1. 指定インスタンスのmode="system"となるメトリクスを取得します
    • node_cpu{instance="$node", mode="system"}
    • この時点で、CPUコア数分のsystem使用率が返ります
  2. CPUの数を数えます
    • count()

空きメモリ量

スクリーンショット 2017-11-09 16.39.59.png

( avg_over_time(node_memory_MemFree{instance=~"$node"}[$interval])
  + avg_over_time(node_memory_Buffers{instance=~"$node"}[$interval])
  + avg_over_time(node_memory_Cached{instance=~"$node"}[$interval])
) / node_memory_MemTotal{instance=~"$node"} * 100

概要

空きメモリ量は、Linuxカーネル3.14以上であればnode_memory_MemAvailableメトリクスが使用可能ですが、そうでないホストがあることを考慮しています。

クエリ解説

繰り返しとなるため以下の部分のみ解説します。

avg_over_time(node_memory_MemFree{instance=~"$node"}[$interval])
  1. 指定インスタンスの直近の$interval分間のnode_memory_MemFreeメトリクスを取得します
    • node_memory_MemFree{instance=~"$node"}[$interval]
    • この時点で、1レコードのみ返り、valueに$interval分間のすべてのデータが配列で格納されています
  2. 取得されたvalueの平均値を取得します
    • avg_over_time()

avg_over_time()

ある時間範囲で取得したデータの、それぞれのデータの平均を取りたい場合はavg_over_time()を使用します。上述のrate()系がサンプルでたくさん出てくることもあり、わかりにくいですが、こちらは単純に時間範囲の平均を計算できます。

まとめ

Prometheusのメトリクスにはデータ型があり、一口に「平均」といっても計算の仕方が複数あります。また、メトリクスも現在値を示すものと合計を示すものがあるため、このあたりを理解すればサクサク書けるようになれそうです。

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