はじめに
パーソルキャリア株式会社のインターンシップに行ってきたので、本記事ではインターンを通して学んだことを共有したいと思います。
インターンでは「デザインスプリント」と呼ばれるメソッドを活用し、既存プロダクトであるHiProDirectの新規機能の立案からプロトタイプの開発、ユーザ検証までを5日間で行いました。なおチームごとに担当するプロダクトを選ぶことができ、HiProDirectの他にdodaXを選んでいるチームもありました。
デザインスプリントとは?
デザインスプリントは、Googleのベンチャーキャピタル部門であるGoogle Venturesが提唱した手法で、5日間(40時間)でアイデアからプロトタイプの完成までを完了する課題解決のためのメソッドです。デザイン思考やアジャイル開発、ハッカー・ウェイの要素を取り入れ、ユーザーの声をフィードバックしながら、アイデアの価値を短期間で検証する点が特徴です。
HiProDirectとは?
HiPro Directは、個人が自分のスキルを活かして副業を始めたいと考える方、企業が特定のプロジェクトに適切な人材を求める方双方にとって、効率的で柔軟なマッチングを提供するサービスです。リモートワークが中心となっており、地域を超えた幅広い人材との連携が可能です。無料で利用できるため、副業に興味がある方や、特定のプロジェクトに適切な人材を探している企業にとって、非常に魅力的なプラットフォームです。
1日目
1日目は、問題を洗い出して課題を設定する日でした。
今回は既存のプロダクトの新規機能について考えるので、「チームメンバーが抱えるHiProDirectの不明瞭な点」「開発に携わっている社員の方が感じている課題」などへの理解度が上がるような質問を考え、実際にHiProDirectの開発に携わってる社員の方にインタビューすることができました。
質問例
- 社員の方が感じている課題に対する深掘りができる質問
- 資料に記載のあった○○率の定義
特にKPIに掲載されている○○率の定義が分からない場合は積極的に質問するべきだと思います。KPIは簡単に言うと「企業が成功するために重要とされる数値や目標を示すもの」であり、これを誤解していると今後の取り組みが無駄になってしまう可能性があります。
例えばHiProDirectにおける契約率という指標に関しては3つの可能性が考えられました。
- 企業と個人間の契約
- 企業とHiProDirect間の契約
- 個人とHiProDirect間の契約
これらがチームの中で曖昧になっていると議論が正しく前進しないと思います。
インタビューでは次の点を意識しました。
- 質問の領域や視点が偏らないようにする
- 自分が知りたいことを明確にしておく
- 事実を聴き、その裏にある背景や文脈を質問する
- 質問に優先度をつけて、残り時間を鑑みて効果的な質問からしていく
- 自分でわかったと思い込まない
2日目
2日目は、多くの解決策をスケッチする日でした。1日目で明らかにした課題と周辺情報などを元に、どのような解決策があるかをチーム全員で考えました。
1日目で明らかになった多くの課題を解決するうえで大事なことは、原因の本質を探すことです。
因果関係を考えながら「なぜ?」を繰り返す事で、点としてあった問題が、気づかぬ所で関連性をもって線としてつながることが往々にしてあります。線となった課題をまとめて解決できるような解決策を考えることで、原因の本質を潰すことができ、散在している課題をまとめて解決できます。
ここで失敗ケースとして、原因を掘り下げる過程で話が飛んでしまい前後の関係が妥当でなくなってしまったり、間に出てくる原因を見落としてしまうことがあります。このようなケースは一人で原因を追究するときに陥りやすい失敗なので、チームで原因を追究するときはチームメンバーと確認しながら行うといいと思います。
3日目
3日目は、解決案を選びアイディアを検証可能な仮説へ変える日でした。2日目に作成した解決策を基にPoCを実施し、解決案を改善しました。
PoC(読み:ピーオーシー/ポック)とは?
Proof Of Concept(プルーフ・オブ・コンセプト)の略で、日本語では「概念実証」と訳されます。新しい手法などの実現可能性を見出すために、試作開発に入る前の検証を指す言葉です。
実現したいサービスやプロダクトの簡易版を作り、実際に使用してみるPoCを繰り返すことで、立てた仮説が実現可能なものであるかどうか、具体的な検証が可能となります。検証は、製品の実現性を探るとともに開発時の改善点を洗い出すほか、「売上を達成できるか」などのビジネス的な観点からも行います。
2日目に作成した解決策を基にPoCを社員の方に向けて実施しました。PoCではチームからインタビュアーを1人選ぶのですが、私が立候補して任せて頂けることができました。
私がインタビューする際に重要視していたことは以下の2つです。
1つ目は一見全く役に立つ答えが得れそうにない質問をすることです。
一具体例として「最近使ったアプリで使いやすかったものは何かありますか?」と質問しました。この質問はHiProDirectの企業側ユーザーが「普段どのようなアプリを使っていて、どこに利便感を感じるのか」といったことを私のような違う立場、考え方の人間が理解するのに有益な質問だと考えました。
短期的に役立つものにならなくても将来的に役立つヒントになり得る場合が多くあると思いますし、もし何の役にも立たなかったとしてもその後のコミュニケーションの活性化に繋がります。
2つ目は質問を事前に考えすぎないことです。
PoCの目的はアイディアをよりユーザーに役立つものに改善することです。そのためユーザーがどのようなニーズを持っているのかを理解することが最優先になります。間違っても自分たちのアイディアの良し悪しだけを質問してはいけません。もしそこでユーザーがOKと言ったらアイディアの成長はそこで終わります。大事なことはユーザーのニーズの真髄を知ることです。 そのため、質問はコミュニケーションを通して作り、ユーザーのニーズの深掘りをしていきます。理想としては本人でさえ気づいていないような潜在ニーズや要望を聴きだすことを目指します。そのためYES/NOで答えれる質問ではなくWhy,Howなどの相手の考えを引き出せるような質問をするべきだと思います。
上記の2つを意識することで社員の方に「インタビュアーとしての素質を感じるインタビューだった」とレビューを頂くことができました!
4日目
4日目は、プロトタイプを完成させユーザーテストをする日でした。3日目で決定した解決案について、プロトタイプを作成しました。
プロトタイプの内容は企業秘密に触れそうなので省略。
5日目
5日目は、結果を共有する日でした。4日目で作成したプロトタイプを用いて、今回考えた企画のプレゼンテーションを行いました。
プレゼンテーションの内容も企業秘密に触れそうなので省略。
5日間を通して
5日間という短い時間でしたが、新規機能のアイディアの立案、プロトタイプ開発、審査員へのプレゼンテーションまで経験することができ、非常に濃密な時間を過ごすことができました。
ユーザー視点を深く考えすぎて、インターンが終わると毎回頭が痛くなっていたので、本インターンシップに参加する場合はお菓子を買っておくことをお勧めします
通常の学生生活や他のインターンシップでは得られない貴重な経験が積めるので、26卒以降の方はぜひ行ってみてください。
個人的にはチームメンバーにも恵まれて、非常に楽しい5日間を過ごすことができました!