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ITインフラとクラウドの基礎

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はじめに

IT 業界において、インフラエンジニアの需要が高まっている昨今、クラウド技術の理解は必要不可欠となっています。本記事では、IT インフラの基本概念から最新のクラウドトレンドまでを体系的に解説し、初心者から中級者まで役立つ情報をまとめています。

目次

  1. IT インフラとは
  2. コンピューターの歴史とクラウドの誕生
  3. クラウドサービスの種類(SaaS・PaaS・IaaS)
  4. クラウド vs オンプレミス
  5. CI/CD とは
  6. ネットワークをクラウドで借りるということ
  7. 2025 年のクラウド最新トレンド
  8. 実例:WordPress でのクラウド活用
  9. まとめ

1. IT インフラとは

IT インフラとは、IT 分野におけるサーバ・データベース・ネットワークの総称です。これらは情報システムの基盤となる重要な要素です。

インフラエンジニアの役割

  • サーバ、データベース、ネットワークの構築・管理
  • インフラの設定ファイルや自動化スクリプトの作成
  • アプリケーション開発者とは異なり、システムの土台部分を担当

メリット

  • 安定したシステム運用が可能
  • スケーラビリティの確保
  • セキュリティの向上

よくある勘違い

  • 誤解: インフラエンジニアはプログラミングをしない
  • 実際: 自動化スクリプトや IaC(Infrastructure as Code)でコードを書く機会が多い

クラウドエンジニアとの違い

クラウドエンジニアは、クラウドサービスを専門にするインフラエンジニアの一種で、特に AWS、Azure、GCP などのクラウドプラットフォームに特化した技術者です。

2. コンピューターの歴史とクラウドの誕生

コンピューターの 4 つの時代

1. メインフレーム時代

  • 大型コンピューターを複数のユーザーが共有
  • 高価だったため、集中型のアーキテクチャが主流

2. クライアントサーバー時代

  • ユーザーそれぞれがコンピューターを所有
  • 分散処理とデータ管理が課題となった

3. Web コンピューティング時代

  • インターネットサービスの普及により多数のサーバーが乱立
  • サーバーの管理統合が課題となった

4. クラウドコンピューティング時代

  • ハイパーバイザーによる仮想化技術が実現
  • 1 台の物理サーバーに複数の仮想サーバーを構築
  • ユーザーが必要な時に必要な分だけサーバー資源を利用可能

クラウドの本質的メリット

  • 初期費用の削減
  • 従量課金制による柔軟なコスト管理
  • サーバー管理の統合と柔軟性

3. クラウドサービスの種類(SaaS・PaaS・IaaS)

クラウドサービスは、提供される機能レベルによって 3 つに分類されます。

SaaS(Software as a Service)

提供範囲: ネットワークからアプリケーションまでの全て

特徴:

  • パッケージ購入・PC インストールが不要
  • ブラウザでサービスを利用
  • 即座に利用開始可能

具体例: Slack、Gmail、Zoom、Google Drive、Microsoft 365

メリット:

  • 導入が簡単
  • メンテナンス不要
  • 最新機能の自動更新

デメリット:

  • カスタマイズ性が低い
  • データの所在が外部

PaaS(Platform as a Service)

提供範囲: ネットワークからミドルウェアまで

特徴:

  • アプリケーション開発・実行環境を提供
  • 開発者向けのサービス
  • 環境構築が簡単

具体例: Google App Engine、AWS Lambda、Azure App Service

メリット:

  • 開発に集中できる
  • スケーリングが自動
  • 運用負荷が軽い

デメリット:

  • プラットフォーム依存
  • 使用できる言語・DB に制限

IaaS(Infrastructure as a Service)

提供範囲: ネットワークとハードウェア

特徴:

  • 仮想サーバーを提供
  • 最も自由度が高い
  • 専門知識が必要

具体例: Amazon EC2、Azure Virtual Machines、Google Compute Engine

メリット:

  • 高い自由度
  • 既存システムの移行が容易
  • ハードウェア選択が柔軟

デメリット:

  • 運用知識が必要
  • セキュリティ対策も自己責任
  • 学習コストが高い

比較表

サービス 自由度 運用負荷 専門知識 導入速度
SaaS 不要
PaaS 中程度
IaaS 必要

4. クラウド vs オンプレミス

オンプレミスとは

システム運用に必要なソフトウェアやハードウェアを自社で保有・管理する方式です。

比較

項目 クラウド オンプレミス
初期費用 低い 高い
料金体系 従量課金 一括投資
拡張性 高い 制限あり
運用負荷 低い 高い
セキュリティ プロバイダー依存 自社管理
カスタマイズ性 制限あり 高い

現在のトレンド

多くの企業がオンプレミスからクラウドに移行していますが、「すべてが外部クラウドになるということはもともとない」とされており、実際にはハイブリッド構成が主流となっています。

5. CI/CD とは

CI/CDは、ソフトウェアの変更を常にテストし、自動で本番環境に適用できるようにする開発手法です。

CI(Continuous Integration:継続的インテグレーション)

  • 開発者による自動化プロセス
  • コードの統合を頻繁に行う
  • 自動テストによる品質確保

CD(Continuous Delivery:継続的デリバリー)

  • ユーザーに継続的にアプリケーションを提供
  • 自動デプロイメント
  • リリースサイクルの短縮

メリット

  • 手作業の削減
  • 効率的な開発と運用
  • バグの早期発見
  • リリース頻度の向上

デメリット

  • 初期設定の複雑さ
  • ツール学習コスト
  • 適切な自動化設計が必要

6. ネットワークをクラウドで借りるということ

クラウドでネットワークを借りるとは、単にインターネット接続を得ることではありません。

VPC(Virtual Private Cloud)の概念

  • 自分専用の仮想ネットワークをソフトウェアで設計
  • 内部通信や外部アクセスを安全かつ柔軟に制御
  • 物理設備の配線やルーター設定が不要

従来との違い

  • 従来: 物理的なネットワーク機器の設置・設定が必要
  • クラウド: ソフトウェアによる論理的なネットワーク設計

革新性

パソコン一台で何でもできることが、クラウドネットワークの最大の革新です。データセンターレベルのネットワーク設計を、Web ブラウザから操作できます。

7. 2025 年のクラウド最新トレンド

7.1 AI とクラウドの融合

「AI を活用したクラウドコンピューティングは、インテリジェントな自動化を実現し、重要なワークフローを監視します」

具体的な活用例:

  • EC サイトでの商品推薦システム
  • 顧客クレーム対応の自動化
  • データパターンの自律的判断

メリット:

  • データ管理の高度化
  • 予測分析の精度向上
  • 運用コストの削減

7.2 サステナブルクラウド(グリーンクラウド)

「サーバーレスコンピューティング、コンテナ化、災害復旧戦略などのクラウド機能は、持続可能なソフトウェア開発を実現します」

取り組み内容:

  • 再生可能エネルギーの活用
  • エネルギー効率の高いデータセンター設計
  • カーボンニュートラルへの貢献

主要プロバイダーの対応:

  • AWS: IT トランスフォーメーションパッケージで CO2 削減量を可視化
  • Microsoft: Cloud for Sustainability で環境負荷データを可視化

7.3 セキュリティの強化

**SASE(Secure Access Service Edge)**の導入が進んでいます。

  • クラウド型セキュリティサービスの統合
  • ゼロトラストアーキテクチャの実装
  • 場所を問わないユーザー認証

7.4 マルチクラウド戦略

現在、マルチクラウドは「計画的マルチクラウド、自然発生的マルチクラウド、発展的マルチクラウド、先端的マルチクラウド、戦略的マルチクラウド、分散マルチクラウドの 6 つのタイプに分類」されています。

理由:

  • ベンダーロックインの回避
  • 各クラウドの強みを活用
  • リスク分散

7.5 エッジコンピューティングの普及

エッジコンピューティングは、データ処理をユーザーに近い場所で行う技術です。

メリット:

  • レイテンシの削減
  • 帯域幅の節約
  • リアルタイム処理の実現

活用分野:

  • IoT デバイス
  • 自動運転
  • AR/VR

7.6 サーバーレスコンピューティングの進化

特徴:

  • サーバー管理が不要
  • 実行時のみ課金
  • 自動スケーリング

2025 年のトレンド:

  • より多くの言語サポート
  • 実行時間制限の緩和
  • 複雑なアプリケーションでの採用増加

8. 実例:WordPress でのクラウド活用

WordPress とは

ブログやウェブサイトを簡単に構築できるツールで、世界中の Web サイトの約 40%で使用されています。

従来の課題

  • LAMP 構成のサーバーが必要
  • 独自ドメインの取得
  • SSL 証明書の設定
  • サーバー管理の専門知識

クラウドでの解決策

1. SaaS としての WordPress

  • WordPress.com
  • 管理不要、即座に開始可能

2. PaaS での WordPress

  • AWS Lightsail
  • Google Cloud Platform
  • 簡単セットアップ、自動更新

3. IaaS での WordPress

  • Amazon EC2 + RDS
  • より高い自由度とパフォーマンス

メリット

  • サーバー調達時間の短縮
  • 自動バックアップ
  • 簡単なスケールアップ
  • セキュリティ更新の自動化

デメリットと対策

  • デメリット: 設定の自由度が下がる場合がある
  • 対策: 要件に応じたサービスレベルの選択

9. まとめ

重要ポイント

  1. IT インフラの理解は現代の IT 人材に必須

    • サーバー、データベース、ネットワークの基礎知識
    • クラウドとオンプレミスの適切な使い分け
  2. クラウドサービスの選択は要件次第

    • SaaS: 即座に利用開始したい場合
    • PaaS: 開発に集中したい場合
    • IaaS: 最大限の自由度が必要な場合
  3. 2025 年は AI とクラウドの融合が加速

    • 自動化・最適化の進展
    • サステナビリティへの配慮
    • セキュリティの強化
  4. 継続的な学習が重要

    • 技術の進歩が非常に速い分野
    • 「2025 年から 2028 年にかけて、まずは投資対効果の高い用途での実証実験を進めることが推奨されます」

今後の学習方針

  • 初心者: まずは SaaS サービスの活用から始める
  • 中級者: PaaS での開発経験を積む
  • 上級者: IaaS でのインフラ設計・運用スキルを磨く

参考情報源


この記事は 2025 年 5 月 31 日時点の情報を元に作成しています。クラウド技術は急速に進歩するため、最新情報は各サービスの公式ドキュメントをご確認ください。

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