はじめに
スマートフォンやノートPC、ゲーム機など、今やあらゆる機器がWi-Fiにつながる時代。
「2.4GHzと5GHz、どっちがいいのか?」と悩む人も少なくありません。
実はWi-Fiには複数の周波数帯が存在し、それぞれに特徴や用途、将来性の違いがあります。
この記事では、Wi-Fi周波数の基本から、2.4GHz帯と5GHz帯の違い、6GHz帯の最新動向、さらに電波法による管理についてまで、順序立ててわかりやすく解説します。
1. Wi-Fiに複数の周波数帯がある理由
Wi-Fiでは現在、主に以下の3つの周波数帯が使われています。
- 2.4GHz帯:古くから利用されており、遠くまで届きやすい
- 5GHz帯:高速通信に向いており、混雑も少ない
- 6GHz帯(Wi-Fi 6E):最新の高速・多接続向け帯域
なぜ分ける必要があるのか
理由 | 説明 |
---|---|
干渉の回避 | Bluetoothや電子レンジなどと重なる帯域(特に2.4GHz)では混信が起こるため、周波数を分けて回避する必要がある |
用途ごとの最適化 | 距離が必要なデバイスは2.4GHz、高速通信が必要なデバイスは5GHzや6GHzを使用する |
資源の有効活用 | 電波は限られた資源のため、帯域を効率よく分け合う必要がある |
2. 2.4GHz帯と5GHz帯の違い
基本的な比較
特徴 | 2.4GHz帯 | 5GHz帯 |
---|---|---|
到達距離 | 長い(壁越しにも届きやすい) | 短い(障害物に弱い) |
通信速度 | 遅め(〜100Mbps程度) | 速め(〜800Mbps以上) |
混雑状況 | 混みやすい | 比較的空いている |
干渉しやすさ | 高(他機器と帯域が重なる) | 低(専用帯域を使う) |
体感の違い
- 動画視聴:5GHzのほうがスムーズに再生されやすい
- オンラインゲーム:5GHzはラグが少なく快適
- 家の中の電波状況:2.4GHzは壁越しでもつながりやすいが、5GHzは届きにくくなる
3. 電子レンジとWi-Fiの関係
電子レンジは食品を温めるために2.45GHzの周波数を使用しています。
これはWi-Fiの2.4GHz帯とほぼ重なるため、電子レンジ使用中は2.4GHzの通信が不安定になる可能性があります。
一方で、5GHz帯は異なる周波数のため、電子レンジ使用時でも安定した通信が可能です。
4. 6GHz帯(Wi-Fi 6E)の登場と展望
6GHz帯は、次世代のWi-Fi規格であるWi-Fi 6Eで使用される新しい帯域です。
特徴
- 5GHz帯より広く、より多くのチャンネルを利用可能
- 混雑が少なく、安定性が高い
- より低遅延・高速な通信が可能
日本での状況(2025年時点)
観点 | 現状 |
---|---|
利用開始時期 | 2022年に電波法で開放 |
対応ルーター | 高価格帯中心、一部の上位モデルに限定 |
対応端末 | Pixel、Galaxyなど一部のハイエンドスマホや最新PC |
IoT家電の対応 | ほぼ未対応(2.4GHz/5GHzが主流) |
5. 2.4GHz帯は今後なくなるのか?
現時点では、2.4GHz帯が完全に廃止される予定はありません。
2.4GHzが残る理由
- 省電力でIoT機器(センサー、スマート家電)に最適
- 壁を通りやすく、家全体に届きやすい
- 古い機器との互換性維持
将来的には、5GHz・6GHz帯が主流となり、2.4GHzは「低速・省電力向け」として補助的な位置づけになると考えられています。
6. 電波法とは?なぜ周波数に制限があるのか
電波法の概要
電波法は、日本における電波の利用を公平・安全・効率的に行うための法律です。
1950年に制定され、現在は総務省が管轄しています。
主な目的
目的 | 内容 |
---|---|
公平な利用 | 周波数帯を用途ごとに分配し、混乱を防止 |
干渉の防止 | 同じ帯域での通信による混信・妨害の回避 |
安全の確保 | 緊急通報や航空無線などの重要通信の保護 |
技適マークと規制
- 日本で使用される無線機器は「技適マーク」の取得が必要
- 海外製品や非認証機器を使うと、電波法違反となる可能性あり
- 違法な電波発信は、不法無線局として摘発対象となることもある
おわりに
Wi-Fi周波数は、単なる数字の違いに見えて、実は用途、性能、安全性すべてに関わる重要な要素です。
周波数帯 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
2.4GHz帯 | 広範囲・低速・干渉多め | スマート家電、古い機器 |
5GHz帯 | 高速・安定・壁に弱い | スマホ、PC、ゲーム機 |
6GHz帯 | 高速・最新・要対応機器 | 高性能ルーター・スマホ(今後普及見込み) |
電波は見えないインフラですが、正しく知って使うことで、通信環境を劇的に改善することができます。
Wi-Fi機器を選ぶ際は、こうした周波数の特性や将来性を意識してみてはいかがでしょうか。