1409
735

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

30代後半になって初めて発信活動を始めたら人生が変わった話

Last updated at Posted at 2022-03-07

はじめに

2年半前の私は、IT系の会社に勤めている30代後半の平凡なサラリーマンでした。
その時点では、社外での発表経験なし社外での勉強会の参加経験なし技術記事の投稿経験なしでした。

そんな私が発信活動を始めたことで人生が変わりました
今は凄く楽しいエンジニアライフになり、以下のような事が起きました。

  • 複数のITエンジニア向けコミュニティに所属して楽しく交流
  • Serverless LT初心者向け」というコミュニティを立ち上げて運営
  • Developers Summit 2020 KANSAI でベストスピーカー賞1位を受賞
  • ITエンジニア向けの月刊誌「Software Design」で連載記事を執筆

すべては発信活動を始めた事がきっかけでした。
発信活動を始めると素敵な事がいっぱいあると知ってもらう事で、発信活動を始めるきっかけになれば幸いです。
(長いので要点を知りたい人は太字のみお読みください)

2022/5/26 追記
以下に楽しく成長するために、誰でも始められる具体的な方法として、こちらの記事の内容を包含する記事を書いたので、よろしければそちらを参照ください。

まず技術記事を書こうとしたがネタがない

ITエンジニアが成長するために学んだことをアウトプットすることは、本当にたくさんのエンジニアが推奨していますし、脳科学的にもインプットした事はアウトプットした方が身につくと言われています。
とにかくエンジニアとして成長するためには、技術記事を書く事が良いと言われています。
ということで、2年半前、私が最初に取り組んだ発信活動は、Qiitaへの技術記事の投稿でした。

でも、私は最初、なかなか技術記事が書けませんでした。
書きたいと思うことと同じ内容の記事がすでに世の中にあるので、書くネタがないのです。
(ちなみに、その後、技術記事の投稿経験のない社内の若手20人に聞いたところ、皆そんな感じでした)

どんな技術記事でも価値があるという考え方

そんな私が、技術記事を書くネタがなくて困って、インターネット上のITエンジニアの技術記事に関する考え方について色々読んで分かった事は「自分なりの視点で書いた記事なら、どんな記事も価値がある」という事です。

分かりやすいように具体例となる記事を紹介します(私の後輩T君の記事です)。
image.png
上図の記事内容は、「C#の型スイッチ」という機能を説明した記事であり、同じ内容を扱った記事は、世の中にすでに存在します(例えばこちら)。

でもこの記事は、他の人への価値が十分にあります。
この記事は「C#の初心者の視点から見た記事」になります(タイトルにもC#初心者と書いています)。
この視点が、とても重要です。
記事内に書かれている「この機能は地味だけど便利」という視点が、同じ初心者にとって価値があるかもしれません。

そもそも人により前提知識が異なるため、同じ記事でも
「分かりにくい」「得る知見は無かった」「刺さらない」と思う人と
「分かりやすい」「良い知見を得た」「刺さった」と思う人がいます

だから、同じ技術を扱った記事でも、それが色んな視点で複数あった方が、より多くの人に刺さる可能性が高まります。
つまり、自分なりの視点で書いた記事なら、どんな記事も世の中に貢献していると言えます。

ちなみに世の中には、自分にとって価値の低い記事が増えることで、自分にとって価値の高い記事の検索性が下がることにネガティブなことを言う人もいますが、それは気にしなくて大丈夫です。
「多くの情報から自分に適切な情報を探す」のは探す方の責任という意見が多いですし、自分なりの視点で一生懸命に書いた記事を非難する人は、ほぼいないと思います。

この考え方に至ったおかげで、私は他の人と重複するネタで投稿する事を気にしなくなりました。
とにかく自分を成長させるという目的で、自分なりの視点で自分の考えを書いた記事を投稿しました。
そうして投稿し続けることで、少しずつ役に立つ記事が書けるように成長できて、結果的に他人に貢献することにも繋がりました

技術記事を書いてみた効果

技術記事を書いてみて痛感したことは、今まで自分は技術記事を読んで、分かった気になっていたということでした。
人に説明しようと思って書いてみると、実は全然理解できていなかったということに気付きました。
記事を書きながら理解し直すことで、やっとそれが「使える知識」になりました。

だから、記事にLGTMが1件も付かなくても気にしませんでした。
技術記事を書く主目的は「その技術を理解して自分を成長させるため」でした。
(LGTMがいっぱい付くと凄く嬉しいです!ただ、LGTMが無くても気にしないという意味です)

そうして技術記事を投稿し続けていると、情報をインプットするモチベーションが上がりました。
それまで「なんとなく情報を収集していた」のが「記事を書くために」という視点で「人に説明するために自分なりの解釈」をしようと試みながら情報をインプットするようになりました。

また、それまでは、技術記事を読む時に、それを書いている人の事を想像した事はなく、ただ必要な知識を収集するという視点でしか見ていませんでした。
でも、自分が技術記事を書く側の経験を積むと、それを書く人がどれだけの事を調べて書いたのかの背景や、その人が他にどんな記事を書いているかなど、多くの人に読まれる記事を書くエンジニアの人たちに、興味を持つようになり、以前よりも技術記事を読む事が楽しくなりました。
あと、自分の記事にコメントしてくれた人が書いている記事は、興味を持って読みました。

だから、技術記事を投稿する事で、以前よりも「多くの情報を楽しく理解」するようになりました

その結果、面白そうなコミュニティやイベントの情報を見つけたりなど、自分をさらに成長させてくれるキッカケに出会う事ができました。

コミュニティへの参加

以前よりも「多くの情報を楽しく理解」することにより、面白そうなIT系コミュニティを見つけたので参加しました。
コミュニティに参加することで、エンジニアライフは圧倒的に楽しくなって、成長も加速します

これはちゃんと理由があります。
1人で頑張るよりも、仲間がいた方が楽しいからです。
例えば、会社の同僚や先輩に突然「発信活動やりましょう!」と言っても、そこに同調して一緒にやってくれる人は、なかなかいないと思います(そういう話はよく聞きます)。

だから、一緒に頑張ったり、刺激し合ったり、自分の背中を押してくれる仲間を、自分に近いコンテキストの人が集まるコミュニティの中で作るのは理にかなっています

刺激し合える仲間が出来ることでモチベーションはぐんぐん上がります。
例えば、私はコミュニティに参加してからの半年間で、以下のように価値観がガラっと変わりました

  • 仕事の時間以外で社外の勉強会に参加するのは嫌 → 興味あるテーマでの勉強会は楽しい
  • OSSやサービスを作って公開するのは限られた天才のみ → 作って公開するのは簡単で楽しい
  • 情報は自分で調べるしかない → 困っている事があると誰かが助けてくれるし、色んな知見を皆が気軽にシェアしてくれる
  • 凄いエンジニアの人達とは関われない → 気軽に会話できるし、何かチャレンジしたり発信すると皆がポジティブフィードバックしてくれる

ちなみに、私がお世話になっているコミュニティは、入った順に紹介すると 運営者ギルドEngineering Manager Meetupエンジニアと人生コミュニティ です。

社外イベントでの発表

コミュニティで仲の良い人が「LT発表をやってきた」という話を楽しげにしていて興味が湧いたので、社外イベントでの発表にチャレンジしてみました。
私が初めての社外イベントで無事に発表できたのは、コミュニティの皆が、迷っている時に背中を押してくれたり、初めての発表資料を事前にレビューしてくれたりしたからです。
1回目が1番敷居が高いので、勇気を出して1回目をやって本当に良かったと思います。

社外イベントでの発表は、技術記事でいいねをもらうのとは、また違って、顔の見える人からフィードバックをもらえたりなど、新たな刺激になります。
そして、社内に閉じこもっていた自分にとって、どれだけ自分が「井の中の蛙」だったのか思い知りました(良い意味で)
それがさらなる成長のキッカケになりました。

そして、やって分かったのは、社外イベントは参加するだけより発表した方が100倍楽しいということでした。
(私は1回目の発表後、1年間で7回くらい発表しました)

ちなみに、こういうイベントに参加するエンジニアは、優しい人ばかりなので、意地悪な事を言ってくる人はいなくて、ポジティブなフィードバックがたくさん得られます。

だから発表するデメリットは無いですし、ITエンジニアで社外イベントの発表経験がない人は、絶対に1度やってみた方が良いと凄く強く思いました
その想いが本気で強くなったので、実際に発表初心者が気軽に発表しやすいコミュニティを立ち上げました
このコミュニティでは、月に1回、発表初心者向けの少人数のLT大会を開催しています。
よろしければ、ぜひご参加ください → こちらがコミュニティのページです
image.png

カンファレンスの公募セッションに応募する

社外イベントの発表を繰り返して、自分の発表が聴いてくれた人の役に立つという実感が得られると、段々と参加者がより多く集まるイベントで発表したくなってきました。
そして「カンファレンス」と呼ばれる1000人くらいの規模で参加者が集まるようなイベントの公募セッションに応募しました。

もちろん、最初に応募した時は落選しました。
その当時は、初めての社外発表をしてからまだ半年だったので、そんな私がカンファレンスの公募セッションに当選するなんて、ほぼ無理で確率的には0%に近いと思っていました。
ほぼ無理だと思っていたのに、なぜ無謀なチャレンジをしたかというと、それでも応募さえすれば、当選する確率は0%じゃないと思ったからです。
「公募セッション」というのは、実力だけじゃなく、運も関わってくると考えました。たまたま有力な候補の人たちの応募が少ない時があるかもしれません。もしくは、他に応募した人たちの発表テーマが同じ傾向で偏って、自分が応募するテーマがユニークなものになるかもしれません。
だから、カンファレンスへの応募を繰り返しました。
さらに、当選確率を上げるために、応募する時点で作成しなくてもいい発表資料のドラフト版(45分の発表の場合は70ページくらいのスライド)を作って、そのスライドのURLを添えて公募セッションに応募しました。

でもカンファレンスに当選するのは難しくて、落選が続きました。
落選しても、その経験を次に活かす事が重要だと思って、発表するシナリオを改善したり、新しい発表ネタを作ったりしました。
そうやって、落選する経験を糧にして成長し、繰り返し応募し続ければ、いつか当選できるはずと考えました。

その結果、Developers Summit 2020 KANSAI というカンファレンスの公募セッションに運良く当選できました。
せっかく運良く当選できたので、人生で最高の発表をしようと考えて、2ヶ月間ほぼ全てのプライベートの時間を費やして自分が納得するまで資料の改善や発表練習を行った結果、ベストスピーカー賞1位を受賞できました。

なお、準備期間中に、なぜすべての時間を費やすほど頑張れたかというと、コミュニティのおかげです。
発表内容の一部について、他のエンジニアの人達から意見を聞きたいと思ってコミュニティで質問したら、たくさんの意見をくれましたし、準備を頑張っている事に対して、皆が応援してくれたりポジティブフィードバックをしてくれたりしました。
だから、準備期間中は大変でしたが、とても楽しい時間に感じました。

Software Design の連載執筆のチャンス

その後も、技術記事を投稿したり、社外イベントで発表したりなどを継続していました。
そうしたら、ある日の夜、ITエンジニア向けの月刊誌「Software Design」の編集部の人から連絡があり、連載記事の執筆を打診されました。

とても嬉しかったのですが、凄く不安がありました。
商業誌に記事を書いた事が1度もない自分なんかに連載記事が書けるのか、締め切りまでに連載用の複数のテーマ案と第1回の原稿の両方を達成できるのか、凄く不安でした

特に最初の締め切りまでが(私にとっては)かなりタイトに感じたので、執筆開始を1ヶ月延ばしてもらう事も考えましたが、それによって、連載でなく単発に変わってしまったり話が流れてしまったりしたら、せっかくのチャンスを逃すことになると考えて、覚悟を決めて承諾と返信しました。
この「不安 → 悩む → 覚悟完了 → 返信」までを1時間で行って、その日のうちに翌稼働日に編集部の人と打ち合わせをする事を決めました
そして、翌稼働日の打ち合わせまでに、連載用の複数のテーマ案を考えてもっていき、そこで色々と助言をもらって、なんとか締め切りに間に合わせる事ができました。

このように「チャンスがあったらチャレンジする姿勢」を持つ事ができたのも、コミュニティのおかげです。
コミュニティの皆の様子を見ていると、「チャンスがあったらチャレンジする姿勢」が凄く強くて、そしてそれが楽しそうに見えました。また、私が不安を持っている事を話すと、皆が背中を押してくれたり、執筆経験のある人が何でも相談に乗ると言ってくれました。
だから私は、1時間で決断できて、おかげで商業誌で連載執筆という良い経験が楽しくできています。

なお、連載記事は以下でWeb公開しています。

まとめ

ぶっちゃけた話、発信活動を始める前の十年以上より、発信活動を始めてからの2年半の方が断然にエンジニアとして成長できました
そして、たくさん成長できて、色んなエンジニアと楽しく交流できて、自分の発信活動が多くの人から役に立ったと言われるので、人生が凄く楽しくなりました

すべての始まりは、30代後半から初めての発信活動を始めた事でした。
だから私と同じように30代後半で、社外での発表経験なし、社外での勉強会の参加経験なし、技術記事の投稿経験なしであっても、発信活動を始める事は全然遅くないです。
1人でもこの記事で、発信活動を始めようと思ってくれた人がいたら、めちゃめちゃ嬉しいです。QiitaのコメントかTwiiterのツイートかDMで、その旨を教えてくれると、私が泣いて喜びます。
(そういう気持ちは形に残した方が強い決心になって、発信活動が継続しやすいのでWin-Winです)
Twitterはこちらです(kojimadev)

ここまで読んでくださった人にオススメのイベント

発信活動の中で難しいのが「初めての社外発表」だと思います。
だから私は、初めての発表がしやすいコミュニティを立ち上げて運営しています。
月に1回、発表の初心者向けのLT大会を開催しています。
どなたでも ご参加 大歓迎ですので、ぜひ参加してもらえると嬉しいです。

1409
735
11

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1409
735

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?