1. はじめに
本稿は、私のプロジェクト(ベテラン1人、開発経験が半年未満の若手2名)で4ヶ月前から実施している「アウトプット勉強会」の実施方法を紹介します(投稿日は2019/7/2です)。
私は過去に新人8人くらいの育成に携わりましたが、この勉強会を実施してから、若手が驚くほど成長しました。なぜ今までこれをやらなかったのかと後悔しています。
この「アウトプット勉強会」の形式は、「書籍編」と「設計・実装編」の2種類があります。本稿では「書籍編」の方法を説明します。「設計・実装編」については、以下の記事を参照ください。
毎朝15分の勉強会で若手の設計力がメキメキアップした話
2. 前提
一般的に、書籍は一人で黙読するよりも、何かしらのアウトプットを伴った方が学習の質・効率が高いと言われています。例えば、書籍でインプットした情報を、自分の言葉に変換して人に説明した方が、一人で黙読するよりも学習の質・効率は上がります。
以下、参考サイトです。
仕事ができる人がやっている「圧倒的に結果が出るアウトプット術」
インプットとアウトプットの本当の意味|飛躍的に創造性を高める方法
勉強の質・効率を上げる!成果を出すためのインプットとアウトプット法
3. 勉強会の実施方法
3.1 概要
上記の特性を用いて、「読んだ書籍の重要ポイントを自分の言葉で人に説明する」というアウトプットを実施します。なお、「書籍の内容をまとめた資料を作成する」などは、資料作りに時間がかかり、「毎日無理なく継続する」には不向きと判断したため、お手軽なアウトプット方法としています。
3.2 事前準備
参加メンバーは、事前に書籍の決められた範囲(30ページ程度)を事前に読んでおきます。毎日無理なく継続できる量として、30ページ前後としています。
また、翌日のアウトプット担当者を事前に決めておきます。
3.3 時間
毎朝15分間で実施します。私のプロジェクトは、朝会15分の直後にアウトプット勉強会15分を実施しています。
3.4 実施内容詳細
その日のアウトプット担当者が、書籍の対象範囲について、自分が重要だと思った点を自分の言葉で説明します。他メンバーも自分が重要だと思った点を都度、コメントします。
この「自分の考えをアウトプットする」ということが重要です。例えば「報・連・相」の書籍で、「悪い報告ほど早くする」ことの重要性をコメントしたメンバーは、明らかにその点に対する意識が変わりました。
3.5 勉強会で利用した書籍
以下の3冊を実施しました。3冊でかかった期間は1ヶ月半程度です。上2つは、どのプロジェクトでも役立つ内容だと思います。
4. 効果
若手2名(開発経験は半年未満)のプロジェクトメンバーとベテラン1名(私)で実施しました。その効果の一例を以下に挙げます。
- 過去の新人にも同じ書籍を読んでもらったことがありましたが、それと比べて、書籍の内容がしっかり身に付き、行動も変わりました。
- 「報・連・相」の書籍を読んで、報告・相談される相手の立場を考えて、必要なタイミングおよび詳細度で報告・相談をしようとする姿勢がとても強くなりました。
- 「リーダブルコード」の書籍を読んで、他人が読んで分かりやすいコードを自分が考える最善を尽くして書く姿勢がとても強くなりました。
- 入社1年目のメンバーは「得た知識を他人に説明することで、その知識がより定着することも身をもって体験できた」と言っていました。
5. まとめ
書籍の理解を促進するための勉強方法として、毎朝15分で書籍の内容を自分の言葉で説明する勉強会は、お手軽で効果がある方法だと思います。
また、「アウトプット勉強会」の形式は2種類あり、もう1つの「設計・実装編」の形式の方がより大きな効果がありました。そちらについては以下の記事を参照ください。
毎朝15分の勉強会で若手の設計力がメキメキアップした話
2020/8/26 追記
上記の他、1年以上かけて様々な成長するための施策を実施しています。以下の記事にまとめていますので、ぜひ参照ください。
1年以上かけて生産性倍増+成長し続けるチームになった施策を全部公開
上記手法を活用して Lightning Review というレビュー支援ツール を作ったりしています。
Twitterでも情報発信しています → @kojimadev