はじめに
数年前、私は社外のコミュニティに参加する前は以下の状態でした。
- 技術記事の投稿経験なし
- 社外での勉強会の参加経験なし
- 社外での発表経験なし
そんな私が、コミュニティに参加した後は、人生が劇的に変わり、エンジニアとして楽しく成長できるようになりました。
現在の私は「ハピネスチームビルディング」というテーマで Software Design というIT月刊誌で連載していますが、そうなったのもコミュニティに参加していたからです。
本稿では、コミュニティに参加することで、楽しく成長しやすくなる話を書きます。
楽しく成長するために刺激し合う仲間は重要
ITエンジニアが成長するために「記事を書く」などの発信活動は有効と言われています。
その発信活動のモチベーションを高めるために、刺激し合える仲間をたくさん作りたいと思っても、自分の会社の文化が発信活動に積極的でないなどで、身近な仲間を作りづらいことがあります。
そこでオススメなのが、自分と同じものを目指す社外のコミュニティに参加する事です。
(Slackなどで常にコミュニケーションがとれるコミュニティをオススメします)
例えば、「個人開発のWebサービスでマネタイズするぞ」と思っている人なら、そういう人たちが集まるコミュニティに参加することで、一緒に頑張ったり、刺激し合ったり、自分の背中を押してくれたりします。
人は一緒にいる人の影響を受けやすいため、自分の尊敬する人たちが集まるコミュニティに所属すると、その人達の影響を受けて、その人たちと同じ行動をするようになります。
たとえば私の場合、「発信活動をたくさんやっている人たちが集まるコミュニティ」に所属しているので、尊敬する人たちが「技術記事を書きました」「個人開発のWebサービスを公開しました」「OSSを公開しました」「カンファレンスで発表しました」などの活動をたくさんしているのを見ることで、それに刺激を受けて自分ももっと発信活動をやっていこうと思えました。
成長を加速させるきっかけに
恥ずかしながら、コミュニティに参加する前の私は、エンジニアとしての成長が停滞していました。
その要因は以下の2つです。
- チームの中で一番開発経験が長く他メンバーを教える立場であり、自分がチーム内で一番活躍できるので、自分が成長する必要性を強く感じていない「お山の大将」となっていた。
- 社外のエンジニアがどれだけの知識やスキルを持っているか考えたこともなく、チーム内で活躍できることだけで得意になって、自分がどれだけ知識とスキルが足りないか気付いていない「井の中の蛙」状態だった。
コミュニティに参加すると、上記の要因での成長の停滞は解消されます。
自分よりも知識やスキルの高い人たちから社外でどんな開発をしているのかの話を聞くことで、今の自分では「チーム内」で活躍できても「他の会社」では活躍できない人材だと思い知らされて、もっと成長しないとヤバイという気持ちになるからです。
成長しやすい価値観に変わる
私はコミュニティで尊敬する人たちと交流する事で、エンジニアとして成長しやすい価値観に変わりました。
以下は私がコミュニティに入る前と入った後の価値観の変化の一例です。
① 仕事の時間以外で社外の勉強会に参加するのは嫌
→ コミュニティの人がよく勉強会に参加しているので、それを真似して参加してみたら、興味あるテーマでの勉強会は楽しい
② OSSやサービスを作って公開するのは限られた天才のみ
→ コミュニティの人がよくOSSやサービスを公開しているので、それを真似してやってみたら、意外と作って公開するのは簡単で楽しい
③ 情報は自分で調べるしかない
→ コミュニティのSlackの分報で困っていることをつぶやいてみたら、コミュニティの皆が助けてくれるし、色んな知見を気軽にシェアしてくれる
④ 凄いエンジニアの人達とは一生かかわる事がない
→ コミュニティ内で凄いエンジニアが気軽に会話やフィードバックしてくれる。尊敬する人からの助言はとても心に染みて頑張ろうと思える。
フィードバックがもらえる
会社の仕事以外のエンジニア活動として、自分が頑張ったことに対して、なんらかのフィードバックが得られることは、モチベーションを維持する上で重要になります。
たとえば、仕事以外のプライベート時間で頑張って以下のいずれかの活動をやったとします。
- 技術記事の投稿
- 個人開発のWebサービスを公開
- OSSの公開
- 社外で発表
- 自分で社外勉強会を主催
上記の活動の価値を理解して同じような活動を行っている人からすれば、上記はとても素晴らしい活動だと理解されます。
しかし、そうでない人からすると、その活動がどれくらいの難易度でどれくらいの価値があるのかよく分かりません。
従って、自分の身近な人(友人や社内の同僚)に、自分が頑張った活動を共有しても「へー」という感想しか出てこないことはよくあると思います。
その点で、自分と同じものを目指すコミュニティであれば、その頑張りをちゃんと理解してくれる上で、フィードバックを得られることが多いです。
例えば、頑張った結果「iOSDCのレギュラートークのプロポーザルが通った!」ということになったとして、そもそも iOSDC というカンファレンスを知らない人からするとその価値が理解されませんが、iOS 関係のエンジニアが多いコミュニティの中ではその価値が理解された上で「凄い!」「おめでとう!」などのポジティブフィードバックが得られます。また、プロポーザルを出す過程においては助言がもらえることもあります。
私の場合は、記事を書いたり社外発表をしたことをコミュニティのSlackの分報でつぶやくと、コミュニティの人たちがフィードバックをしてくれることがよくあります。
これがあるのとないのとでは大きく違います。
短期的な活動ならフィードバックがなくても問題ありませんが、何年間も楽しく継続するためには、刺激し合える仲間がいた方がモチベーションを維持しやすいです。
図は私が所属している「エンジニアと人生コミュニティ」でのフィードバックの例です。
コミュニティの探し方
コミュニティの探し方はいろいろありますが、まず最初は「connpass」という以下のサイトで興味のある勉強会やイベントに参加してみる事がオススメです。
コミュニティによっては、Slackのワークスペースへの参加を促すものがあります。
Slackがあるとイベントのない時でも繋がりができるのでオススメです。
ただこの時、「このコミュニティに参加し続けるか分からない」という気持ちだと、なかなかSlackに参加する勇気が出ないと思います。
でも大丈夫です。
どの管理者も「試しに一度参加してみて」と思っているので合わなかったら抜けても大丈夫です。
もし興味を持つコミュニティがあれば、試しに参加することをお勧めします。
コミュニティの具体例
以下に私が所属しているコミュニティの中で、Slackの分報があって、コミュニティの人とコミュニケーションが取りやすいものを紹介します。
エンジニアと人生コミュニティ
発信活動に対する知見や刺激が多く、発信することの背中を押してくれるコミュニティです。
技術記事を書いたり、カンファレンスで発表したり、OSSを公開したりなど、様々な発信活動をすることによる成功を見ることで、発信活動に対するモチベーションが上がります。
運営者ギルド
個人開発で、Webサービスやアプリを作りたいと思っている人にオススメのコミュニティです。
Webサービスの運営者が、どうやってマネタイズするかなど、様々な知見を共有し合っています。
皆が新しいチャレンジを楽しみながらどんどん行っています。
Unityゲーム開発者ギルド
Unityを使ったゲーム開発・運用に関するあらゆる知見を共有できるコミュニティです。
UnityのスキルアップやUnityで個人開発を頑張ろうとしている人にオススメです。
コミュニティに入ったらやると良いこと
Slackがある場合は、とにかく投稿してみることをオススメします。
皆の投稿を見ているだけでも十分に価値はあると思いますが、投稿した方が個人的には100倍くらい楽しいです。
「コミュニティの具体例」に挙げたような「分報」があるコミュニティの場合は、自分の分報チャンネルを自分でつくって、自分が頑張って活動していること(こんなWebサービスを開発中とか、こんな技術を勉強しているとか)をとにかく投稿してみると良いと思います。
(いずれのコミュニティも、分報チャンネルの作り方などが書いてある Readme があるので、基本的にそれに従ってやればOKです)
そうすると、「このへんに苦戦しています」という投稿に対して、コミュニティの人たちから助言がもらえたり、自分がやった活動に対してポジティブフィードバックがもらえたりすることが多いです。
まとめ
コミュニティに参加することで、尊敬する人たちの影響を受けて楽しく成長しやすくなると思います。
本稿がそのきっかけになれば幸いです。
なお、本稿はコミュニティのメリットの「前編」であり、「後編」を以下に書きましたのでそちらも参照ください。
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