マネジメントにおける広い分野で重要なポイントがわかりやすく書かれており、入門書としては私にはピッタリでした。
いくつか、章をピックアップして感想を述べたいと思います。
第3章 『チームをエンジニアリングする』
私は若手時代から小規模の会社でばかり働いていて、マネジメントなどのない状態、手本とできることがない中での業務が多かったので、今は自分が「やってみせて」を実現できることを強く意識していました。
しかし、それにこだわりすぎて本書での「6つのリーダーシップスタイル」の「先導型リーダーシップ」に走りすぎていたのだなと反省しました。
指示者の能力の限界が、組織の能力の限界になってしまうのです。
確かに先導型ではメンバーそれぞれがリーダーやマネージャーより高い能力がある部分を活かしきれいないし、現状で自分自身が蓋をしてしまっていた部分もあると感じました。
マイクロマネジメントになるべくならないように、やり方も業務を進める本人にしっかり検討してもらい、応援するべきだと思います。
第6章 『人材の成功にコミットする』
構造化面接はすでに自分自身が採用活動の中で実施していましたが、行動面接というのは参考になりました。
ついついサマリーを聞きたくなりますが、そうすると創作の入る余地があるのは確かになと思います。
評価については、一般論や考え方を学びたいと考えていたので、とても参考になりました。
例えば、「外的要因により成果が変動した場合はどう扱えばよいか」など。
成果評価・能力評価・情意評価の3つ要素群の扱いがイメージできました。
第7章 『技術とわたしのマネジメント』
技術を学ばないエンジニアは尊敬できませんが、マネジメントを学ばないマネージャーも尊敬できません。マネージャーも学び続けなければレベルアップはできないでしょう。
手厳しいなと思う反面、まったくその通りだなと感じました。
「人事評価の基本」で下記のようありましたが、プレイングマネージャーがプレイヤーとしての業務中心となり、マネージャーとしての職務を果たせていないのは、職務放棄とみなされるのかもしれません。
人事評価の結果は、被評価者の人生が変わるほどの影響を与えることもあるため、マネージャーは評価の責任を重たく感じることでしょう。「そのような重責は背負いたくない」というマネージャーがいるかもしれませんが、それは職務放棄でしかありません。企業は、企業として社員を評価する必要があり、評価者は直属の上司であるマネージャーが適任です。評価することの一歩目は、人を評価することに対する覚悟を持つところからです。
マネジメントと向き合う
技術の進歩に追いつくのが難しく、また学習してもきりがなくて逃げ出したくなります。
しかし、技術職として働くかぎり向き合うしかないと考えています。
スピードは遅くても、着実に一歩一歩前進するしかありません。
マネジメントについても、成果を感じにくく、ときに不毛な時間のように感じてしまう。
何が正しいかわからなくなる。
こちらも逃げ出したくなるものです。
しかし、マネージメントは誰かがその役割を担う必要があります。
その立場に立つ必要があるかぎり、これも同様に向き合う必要があるのでしょう。