この記事はニッセイ情報テクノロジーPS事業推進室 アドベントカレンダー2024の1日目の記事になります。
最近、アジャイルやプロダクトの本について聞かれる機会が増えたため、ウォーターフォールが中心の固い開発のメンバーがアジャイルやプロダクト開発を行う際にお勧めの書籍を10冊厳選して紹介します。それではよろしくお願いします。
①SCRUM BOOT CAMP THE BOOK
アジャイルを勉強したいときに、はじめに読む1冊はどれか? と聞かれたらお勧めしたい1冊になります。マンガの物語形式で具体的なシステム開発の現場でどのようにスクラム開発を実施すればよいかイメージアップしやすく、スクラムを経験しているような臨場感を持って読むことができます。
スクラムの「なぜ」「どうやって」に答えるだけでなく、現場で直面する課題や疑問にも触れており、実際の仕事で使えるヒントが詰まっています。
チームの進め方やコミュニケーションの工夫、失敗から学ぶ方法など、現場で役立つ具体的な事例も豊富。スクラムを単なる理論としてではなく、「どう活かすか」を具体的にイメージできるのが、この本の魅力です。
アジャイルの世界に一歩踏み出したいけれど、何から始めればいいかわからない人にこそ、この本を読んでほしいです。読めば、「アジャイル、やってみたい!」という気持ちが湧き、すぐにでもスクラムを始めたくなるはずです。
②ふりかえりガイドブック
「自分はアジャイルはあまり関係ないので書籍紹介されても読まないかな」と思ったあなたにこそ読んでほしい一冊です。
開発プロセスにおける「ふりかえり」を、単なる形式的な作業ではなく、チームの成長を促進する強力なツールとして活用する方法を具体的に教えてくれます。この本の魅力は、なんといっても豊富な具体例と実践的なテンプレートが満載なことにあります。
初心者から熟練者まで、どんなチームでもすぐに活用できるアイデアが詰まっています。
「どう進めればいいかわからない」「盛り上がらない」「改善が続かない」といったふりかえりのよくある課題に対して、解決策が提示されています。「より良い開発をおこないたい!」「働きやすいチーム環境を整えたい」と思うなら、この本は最良のパートナーになるでしょう。
このガイドブックを読んで、まず立ち止まるところからふりかえりを始めて下さい!!
③カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
「アジャイルやふりかえりは興味があるけど、自分の立場だとできない」と後ろ向きになっているあなたにこそ読んでほしい一冊です。
この本は主人公が一人で始めた小さな改善(カイゼン)が、仲間を巻き込みながらチームや組織全体に広がり、大きな変化を生み出していく過程が描かれているストーリー本です。
フィクションでありながら、作者が経験した内容を元にしている事もあり、圧倒的な現場感を感じて読む事が出来ます。
「どうやってチームの協力を得るか」「既存の壁を乗り越えるにはどうするか」といった具体的なアクションが、ストーリーを通して自然に学べます。また、エンジニアに馴染み深いツールや技法がたくさん登場するため、読後すぐにでも実践に移せる実用性も抜群です。
特に、組織の中で「自分ひとりで変えられることなんてない」と思っているエンジニアにとって、希望と勇気を与えてくれる内容です。一人から始められる改善が、やがてチームや組織を越境する力を持つことを、この本は生き生きと教えてくれます。
「小さな一歩が大きな変化を生む」を実感したいすべてのエンジニアに、この本を強くおすすめします。”それで、あなたは何をしている人なんですか?(本書引用)”
④エンタープライズアジャイル開発実践ガイド
今までの本を読んだあなたはすぐにでもアジャイル開発を始めたくなっているでしょう。ただし、ウォーターフォール開発が中心のエンタープライズ企業でアジャイルを実施する上では、いくつかの壁があります。そんな壁についてリアルに紹介してくれているのが、『エンタープライズアジャイル開発実践ガイド』です。
アジャイルが個人や小さなチームでは成功しても、 大企業や複雑なプロジェクトでは「どう進めればよいかわからない」 と悩むシステムエンジニアにとって、必読のガイドブックとなっています。
この本は、エンタープライズ規模でのアジャイル導入に特化しており、フレームワークや手法の選定、導入時のステークホルダーの巻き込み方、スケールさせる際の課題や解決策までを網羅。組織全体にわたる文化の変革や、チーム間の協力を円滑に進める方法も具体的に解説されています。
エンタープライズでアジャイルを進める際のあるある事象が本当によくまとまっていて、読んでいてドキッとします。
⑤正しいものを正しくつくる プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について
上記④までの本を読んでアジャイル開発を実施できるようになったSIerが次に突き当たる壁として、「そもそも正しいプロダクトとは何か?」という根本的な問いが出てきます。
この本は、単にプロダクトを効率的に作る方法論を語るだけでなく、その問いに焦点を当てています。市場やユーザーのニーズをどのように捉え、それをプロダクトに落とし込むべきか。そして、それをチームや組織でどう実現するか。これらを深掘りする 仮説検証の枠組みについて具体的なアプローチを提示しています。
「ただ作るだけではない、本当に意味のあるプロダクトとは何か?」を考えたいすべてのシステムエンジニアにとって、この本は行動の指針となる一冊です。読めばきっと、自分の開発に対する視点が広がるはずです。
⑥リーンマネジメントの教科書 あなたのチームがスタートアップのように生まれ変わる
大きな企業では「新規プロダクト検討」や「共創」等のキーワードで新規事業検討を行っている方も多いと思います。
ただ、それらの取組について上手くいっている事例の方が少ないのではないでしょうか?なぜこういった取組が上手くいかないのかヒントを与えてくれるのが本書となります。
ウォーターフォール型開発に慣れているエンジニアや、硬直的な組織構造に悩むリーダーにとって、既存の仕組みを「リーン」に変えるためのヒントが豊富に得られます。平易な文章で書かれていて大変わかりやすいので、エンタープライズでの新規プロダクト検討の際、最初に読む1冊としておすすめです。特に良いのが リファレンスとしての書籍紹介になります。
基本となるリーンスタートアップから押さえるべき本をたくさん紹介してくれていますので、そういった意味でも最初に読む1冊として良いと思います。
⑦ FEARLESS CHANGE アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン
今までの書籍で紹介したような良いやり方についても実際に職場に適用出来ないと意味はありません。ただし、そういった変化を職場に持ち込むことはかなり大変です。そんな時の心強いガイドブックが本書となります。
説得力のあるストーリーテリングから影響力の構築、効果的な仲間作りまで、アイデアを広めるための実践的な方法が網羅されています。
変革を恐れず、アイデアを形にしていきたいと考えるエンジニアにとって、この本は「アイデアを広める力」を磨く最良のパートナーとなるでしょう。
特にこの本の お勧めの使い方としてこの本を使った読書会があります。48のアイデアはどれも量が少ないため、その場で読んでディスカッションするのに最適です。組織に新たな変化の風を吹き込む事が出来ると思います。
⑧Joy,Inc. 役職も部署もない全員主役のマネジメント
上記のようなアジャイル、仮説検証を新たに進めていく際には、「組織」に向き合っていく必要が出てきます。
この本はそんな組織に向き合っているマネジメント層に「マネジメントの本質とは何か」を問いかける刺激的な一冊となっています。
米国のソフトウェア企業Menlo Innovationsが「喜び」を組織文化の中心に据え、社員全員が主体的に動く仕組みを築き上げた実践例が、具体的なエピソードを交えながら紹介されています。
この本は、「役職や部署」という枠組みに依存せず、全員が主役として働ける環境をどう作るかを教えてくれます。特に、ペアプログラミングをはじめとする透明性の高い働き方や、徹底したチーム重視の文化は、プロジェクトの多様性や複雑性が増すSIerにとっても応用可能です。
結果だけでなく、プロセス自体をチームで楽しむという新しい価値観が、現場にポジティブな影響を与えることを実感できます。 組織のGOALの解像度を上げるヒントとしてお勧めの一冊です。「喜び」がもたらす生産性と創造性を体感してみませんか?
⑨組織を芯からアジャイルにする
本書では、現場のチームだけでなく、経営層や部門間の連携といった「組織の芯」に働きかける重要性を説き、そこに必要な具体的なアプローチを提示しています。
多くの本で変革について「トップの重要性」を説いている中で、それだけでなく 現場やミドルからアジャイルの回転を行い、組織に芯を宿らせるといったことを書いていて、自分が組織変革を起こす一歩になれると非常に勇気をいただける内容になっています。特にミドル層には読んでいただきたい内容です。
「組織全体でアジャイルを成功させたい」と本気で考えるマネジメント層にとって、必読の一冊です。アジャイルを単なる手法から「組織の文化」へと進化させる旅に、ぜひこの本をパートナーとして加えてください。
⑩冒険する組織のつくりかた
最後の本はこれから発売される本になります。まだ読んでないので何とも言えませんが、トップダウンだけでなく組織の作り方の指針は上記アジャイルな組織とも方向性があっており、非常に読むのを楽しみにしています。
著者の安斎氏は「ワークショップ」や「学び」等が専門であり、経営コンサルファームとして大企業をたくさん見られているご経験からも、ヒントとなる内容が多く含まれている事を日々のvoicyからも確信しています。今一番読むのが楽しみな本です。
(出来れば本が出たら、会社で読書会やりたいけどやってくれる方いないかなー)
以上、おすすめの10冊でした。今回、会社でアドベントカレンダーを始めるという実績を解除できたので、次はぜひ読書会の実績も解除したいと思ってます。読書会に興味ある方は声をかけてください。また、皆さんのお勧めも紹介いただけるととても嬉しいです。読んでいただきありがとうございました。