結論
そんなものはない。代わりにCRBリポジトリを使え。
はい、ちょっとでも詳しい人にはタイトルを見て「何言ってんの、この人?」と言われそうだったので、最初に答を書きました。
詳細
経緯
ネットに書かれた手順の通りにパッケージをインストールしようとして、yum/dnfに「そんなパッケージはない」と怒られることは(それなりに)あると思います。だいたいそういう場合は、標準では有効になっていないリポジトリにそのパッケージがあります。で、親切なページには「powertoolsを有効にしておくこと」とか非標準のリポジトリの名前が書いてあって、さらのそのためのコマンドも書いてあったりするので、普通はそれに従いますよね。が、それではうまくいきません。
$ sudo dnf config-manager --set-enabled powertools
Error: No matching repo to modify: powertools.
「え?書いてある通りやったはずだけど。"powertools"の綴りが間違ってるかな。そんなわけないよな」とか考え始めると(底なし)沼ですね。
文書読め
Rocky Linuxも結構ちゃんと文書を作ってくれているのです。その文書を読みましょう。リポジトリ関連のことはRocky Linux Repositoriesに書いてあります。
Repository | repoid | Rocky 8 | Rocky 9 |
---|---|---|---|
PowerTools | powertools | Yes | No |
CRB | crb | No | Yes |
(https://wiki.rockylinux.org/rocky/repo/#base-repositories の表より必要な部分を抜粋)
Notes on: CRB
CRB is "Code Ready Builder" - PowerTools was a carryover from CentOS, which is still the equivalent of CRB in RHEL. crb will be the repository name going forward in Rocky Linux and other derivatives.
(参考訳と解釈)CRBは"Code Ready Builder"の頭文字を並べたものです。PowerToolsはCentOSからの借り物であり、RHELでのCRBと同等です。Rocky LinuxはCentOS互換ではなくRHEL互換なのですから、crbという名前を使う方が筋が通ってますよね。他のRHEL互換を謳っているものもそうするのではないでしょうか。
で、うまくいかなかった手順の書かれたサイトを改めて見直すと"on Rocky Linux 8"とか"also be used for CentOS8 and RHEL8"とか書いてあるわけです。そりゃRocky Linux 9でうまくいくわけがありませんね。
ということで、気を取り直してpowertoolsと入力していたところをcrbにして再挑戦です。
sudo dnf config-manager --set-enabled crb
このコマンド自体は何も表示してくれなかったので、成功したかどうかはこの時点では自信がありませんでした。が、その後、パッケージをインストールする過程でCRBも見に行っていたようですし、実際にそこからパッケージをインストールしてくれましたので、上のコマンドは有効だったのだと思います。
おことわり
恒例のお断りですが、この文章の内容は、筆者が所属している会社・団体とは一切関わりがありません。いわゆる「自主的な研究の成果の発表」というものです。
追記
ほぼ同じような時期に全く同じ落とし穴に落ちた方がいるようです。
ということで、私の十八番の「車輪の再発明記事」になってしまいました。ただ、こちらはRocky Linuxなので多少意味があるでしょうか。(まあ、Rocky LinuxもAlmaLinuxもできた経緯が経緯なので、「AlmaLinuxでそうだったらRocky Linuxでもきっとそうだよね」と多くの人には見当がつくのではないかと思いますが、、、)