はじめに
昨今話題のAIですが度々LLMエンジニアという言葉を耳にします。
果たしてどんなエンジニアなのか、具体的な業務内容、どんなスキルを持つのか、紹介していきたいと思います。
LLMとは
LLM(Large Language Model)は「大量のテキストデータで学習された、自然言語を理解・生成できるAIモデル」のことで特徴としては以下になります。
- 単語や文脈を統計的に理解する
- 人間が書いたような文章を生成できる
- 要約、翻訳、質問応答などができる
- 数十億〜数千億のパラメータ(モデルによっては数兆規模)を持ち、これにより高度な言語理解と生成能力を実現している
代表的なLLMとしてGPTシリーズ(OpenAI)やPaLM(Google)、Claude(Anthropic)等があります。
LLMエンジニアって何?
LLMエンジニアとは大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)を活用・開発・運用するエンジニアのことで、chatGPT、PaLM、ClaudeのようなAIモデルを使用してサービスを作ったり業務に組み込んだりする専門家を指します。
LLMエンジニアの業務例
アプリケーション開発
- 社内チャットボット開発(社内マニュアルから回答)
- メール要約・自動返信ツールの作成
- 顧客対応のAIエージェント開発(LLM × CRM連携)
-
- 質問応答(QA)機能付きの文書検索アプリ「=RAG構成(後述)」
RAG (Retrieval-Augmented Generation) 構成の開発・運用
- LLMの知識を補完するための外部データソース(ドキュメントストア、データベース、Web APIなど)を選定し、必要に応じてデータの前処理やインデックス作成を行う
- 質問内容に基づいた関連性の高い情報を効率的に検索するシステムの構築
- 検索された情報をLLMへの入力プロンプトに適切に組み込むロジックの開発
- 検索精度、応答速度、生成される回答の品質などを向上させるために、RAGの各要素を調整を行う
プロンプト設計(Prompt Engineering)
- より正確に出力するためのプロンプトの改善
- "System Prompt" の設計(役割や応答のスタイル、制約事項、文体の指定)
- 「○○なときに××と答える」などプロンプトテンプレートを構築
- テスト自動化でプロンプト精度を検証(LLM-as-a-judge:LLMにLLMの出力を評価させる手法)
LLMのファインチューニング
- 特定のタスクやドメインに特化したLLMを構築するために適切な学習データセットを収集・作成・整備する
- 準備したデータセットを用いて、LLMを追加学習(ファインチューニング)させる
- ファインチューニングされたLLMの性能を評価し、期待するレベルに達しているかを確認する
最新技術の調査・研究
- LLM関連の最新論文や技術動向のキャッチアップ、新しいモデル、アーキテクチャ、評価手法などの学習
- 新しい技術や手法を試し、実用化の可能性を探る
LLMエンジニアに求められるスキルと知識
求められるスキルや知識は多岐に渡りますが主要なものを上げていきます。
基礎知識として以下への理解
- 自然言語処理 (NLP)
- トークン化、埋め込み (Word Embedding, Sentence Embedding)、言語モデルの基本概念
- テキスト分類、固有表現抽出、質問応答、機械翻訳などの基本的なNLPタスクの理解
- 機械学習 (ML) 、深層学習 (DL)
- 教師あり学習、教師なし学習、強化学習の基本的な概念
- ニューラルネットワークの基礎(パーセプトロン、多層パーセプトロン、CNN、RNN、Transformerなど)
- 損失関数、最適化アルゴリズム、正則化などの学習に関する基本的な知識
- 大規模言語モデル (LLM)
- Transformerアーキテクチャの詳細な理解
- 事前学習 (Pre-training) とファインチューニング (Fine-tuning) の概念と手法
- LLMの評価指標(Perplexity、BLEU、ROUGEなど)
- 代表的なLLMのアーキテクチャと特性
- プログラミングスキル
- PythonはLLM開発における主要なプログラミング言語であり、データ処理、モデル構築、API連携などで必須
- 機械学習・深層学習ライブラリ
- PyTorch、TensorFlowなどの主要な深層学習フレームワークの習熟
- Hugging Face Transformersライブラリの利用経験(モデルのロード、学習、推論など)
- データ処理・分析ライブラリ(Pandas、NumPy、Scikit-learnなど)
AIの資格
最近では三菱商事が2027年度からAI資格取得を管理職昇格要件とする方針を発表するなどAI人材の育成が企業にとって重要になりつつあります。
人工知能(AI)の資格としてどんなものがあるか代表的なものを紹介します。
- G検定(ジェネラリスト検定):AIの基礎知識を問う
- E資格(エンジニア資格):AIの実装・応用スキルを問う
- Pythonエンジニア育成推進協会認定試験:PythonのAI・機械学習関連スキルを問う
- 統計検定: 統計学の知識・活用能力を評価(AIの基礎となる数学)
- 情報処理技術者試験(応用情報技術者試験など):情報技術全般の知識を問うが、AI関連も範囲に含まれる
例えばG検定だとAIの基礎知識、動向、リテラシー、数理、統計知識などが出題されているようでした。
調べてみた感想
AIが発達し始めて将来エンジニアの仕事がなくなるというような意見を聞いたことがありますが、個人的には今後言語や分野関わらずAIは取り入れて、そのAIを技術面でどう扱うかが重要になり職業としてはなくなることはないのではと感じています。その中でもAI特化しているのがLLMエンジニアという印象です。
弊社でも業務にAIを導入し始めており、私はCursorというAI機能を搭載したコードエディタを使用しています。
この技術変化に乗り遅れないためにもAIについて日々キャッチアップを行なっていきたいです。
プロダクトに向き合い、ユーザーとつながる開発を。
ネットネイティブでは、そんなエンジニアを歓迎しています
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