Tableauは直感的な操作で強力なデータ可視化ができるツールですが、初心者にとってはつまずきやすいポイントや、誤解されがちな部分もいくつかあります。私自身もこれらのポイントでつまずいた経験があり、事前に知っておけば対処もしやすいと感じたので、Tableau初心者にとって理解しておくべき「よくあるミス」をまとめました。この記事が、トラブル発生時に原因の特定や解決の手助けになればと思います。
よくあるミス1:Tableau DesktopとTableau Onlineの違いに注意
ポイント
TableauにはデスクトップアプリであるTableau Desktopと、ブラウザで操作するTableau Onlineの2つの使用環境があります。この2つは、UIやボタン配置が異なるため、初心者の方が操作に戸惑う原因になることが多いです。
ミス例
多くのTableau操作解説記事やチュートリアルは、Tableau Desktopを前提としているため、オンライン環境(ブラウザ版)で同様の操作をしようとしても「説明通りのボタンが見つからない!」という事態がよく起こります。例えば、ブラウザ版には一部の機能が表示されなかったり、設定項目が異なる位置にあるため、同じように操作できないことがあるのです。
対策
操作をする際には、自分がどの環境で操作しているかを意識し、チュートリアルや解説記事に記載されている画面と合わない場合は、「もしかして、デスクトップ版前提の操作かも?」と疑ってみると良いでしょう。
よくあるミス2:フィルタの効果範囲とLOD計算の注意点
ポイント
Tableauでは、ビジュアライゼーションにフィルタを適用して、表示されるデータを絞り込むことができます。しかし、初心者の方にとっては、フィルタの範囲が意図通りに適用されていないと感じることがあるかもしれません。特に、Level of Detail(LOD)計算を利用する際には注意が必要です。
ミス例
Tableauのフィルタ設定は、ビジュアライゼーションの表示内容にのみ影響する場合があり、集計に使用するLOD計算にはフィルタが適用されないことがあるため、意図しない数値が表示されることがあります。例えば、売上の合計や平均を求める際に、フィルタ条件で特定の製品のみを含むつもりが、LOD計算の結果にはそのフィルタが反映されず、計算結果に不整合が生じることがあるのです。
対策
LOD計算の詳細な設定方法については別記事で解説するとして、ここでは「フィルタ設定が計算に影響しないこともある」ことを知っておくと良いでしょう。フィルタの効果範囲や、適用されない場面に備え、計算に必要な条件をLOD計算内で設定しておくことが重要です。
よくあるミス3:結合条件のデフォルト動作に注意
ポイント
Tableauでは複数のデータソースを結合して使用することができますが、その際の結合条件については、初心者にとって少し混乱を招きやすい仕様があります。
ミス例
Tableauで2つのデータソースを結合する際、結合条件に一致しないレコードがある場合、デフォルトでは一致しないレコードは表示されません。例えば、1つ目のテーブルに「商品A,100」と「商品B,200」、2つ目のテーブルに「商品A, 日本産」というデータがあった場合、「商品B」のレコードは表示されなくなります。
対策
結合を行う際には、どのデータが結合条件に含まれているかを把握し、結果としてどのレコードが含まれないのかを確認することが大切です。全てのデータを表示したい場合は、結合条件の見直しや、異なる結合方法(左結合や外部結合など)を使用することも検討しましょう。
よくあるミス4:抽出データの更新忘れ
ポイント
データ量が多い場合や頻繁にデータの更新が行われる場合、Tableauのデータソースを「抽出」に設定することでパフォーマンスを向上させることがあります。しかし、初心者の方にとって、この「抽出データ」が最新状態でないまま利用されることが原因で、意図しない結果を得ることがあるのです。
ミス例
例えば、最新の売上データに基づいてビジュアライゼーションを作成するつもりが、抽出データが古いために実際のデータと異なるレポートが生成されることがあります。抽出データは設定によって定期的に更新される場合もありますが、頻繁な更新が必要な場合には適切に設定しておかないと、分析結果がずれてしまいます。
対策
抽出データを使用する場合は、定期的に手動で更新するか、更新のスケジュール設定を確認しましょう。リアルタイム性が求められるデータ分析には、データソースを「Live接続」にしておくことも有効な対策です。
まとめ
Tableauには初心者にとってつまずきやすいポイントがいくつかありますが、これらをあらかじめ知っておくだけでも、原因不明のトラブルに悩まされることが減るでしょう。本記事で紹介したよくあるミスや対策を参考に、Tableauの弱点を把握し、トラブルシューティングや操作に役立てていただければ幸いです。