いくつかのユーザー会で各社の事例をヒアリングしたうえで、社内でTableauユーザーの育成方法について考える機会があったため、これを個人的な所感も含めて整理してみました。規模や拡大状況によって最適な方法は異なるため、必ずしも1つの方法が他の方法より優れているわけではありませんが、各方法の特徴やポイントを比較することで、自社に最適なアプローチを選択するための参考にしていただけるかと思います。
意識すべきポイント
Tableauの学習・育成を進める際に重要なことは、「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」 という点です。つまり、強制的に教育を進めても、学ぶ側のモチベーションや実際の業務で活用できるかどうかは、結局のところ本人の意欲や適性に依存する部分が大きいということです。無理に教育を押し付けても時間の無駄になりがちなので、適切な環境やモチベーションを整えることが成功のカギとなります。
各育成方法の比較
以下に、Tableau学習者のアサインと育成方法をいくつかのパターンに分けて比較しました。
1. アサイン | 2. マス向け | 3. 1to1 | 4. 折衷案 | |
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概要 | アサインされた人が仕事として行う | 有志を募る社内セミナー | イケてる人を選出、パワーユーザーを育てる | 有志に限定ワークショップBootCamp形式 |
メリット | 仕事として行うため、コミットできる | 文化があれば、集まって大規模に進めることが可能 | 個別に丁寧に育てることで確実に広がる | 定期的に実施することで参加者が増え、確実にアウトプットが作れる |
デメリット | スケールしづらく、少数精鋭でないと成立しない。異動や退職時のリスクが大きい | 文化がない場合、参加者が少なく成果が上がりづらい(例えば500名が参加しても実際に活用するのは2~3名) | スケールの速度が遅い | 運営コストが比較的かかる |
1. アサイン方式
- 概要: 特定のメンバーをアサインし、彼らに業務としてTableauを学ばせる方法です。例えば、データ分析の担当者や新しい業務に必要なスキルとしてTableauを学習させるケースです。
- メリット: アサインされた人は業務として取り組むため、コミットメントが高くなります。自分の担当業務として学ぶことで、学びが実践に繋がりやすいです。
- デメリット: アサインされるメンバーが限られるため、スケールがしづらく、組織全体に広げるのは難しい場合があります。また、異動や退職などでリスクが大きくなりがちです。
2. マス向け方式
- 概要: 社内で有志を募り、大規模な社内セミナーや勉強会を実施する方法です。多くの社員が参加する形式で、一定の文化が根付いていれば広く浸透させることが可能です。
- メリット: 文化があれば集まる人が多く、大規模に進めることができます。組織全体に広げやすいですが、その成果が一部に留まる可能性もあります。
- デメリット: 文化がないと参加者が少なく、実際に学んだ内容を活かす人が少なくなることがあります。例えば、500名が参加しても、実際に活用するのは数名にとどまることがあります。
3. 1to1方式
- 概要: 特定のメンバーを選出し、個別に丁寧にTableauのスキルを育成する方法です。特にパワーユーザーを育てて、社内での活用範囲を広げることを目的とします。
- メリット: 1人1人を大事に育てることで、口コミや口伝で確実に知識を広めることができます。育成が行き届くため、学習効果が高くなります。
- デメリット: 個別での学習になるため、スケールの速度が遅く、数多くの社員に迅速に広めることが難しいです。
4. 折衷案
- 概要: 1to1方式とマス向け方式の中間を取った形式で、有志を募って限定的にワークショップやBootCampを開催する方法です。複数回行い、参加者が増え、一定のアウトプットを作り出すことを目指します。
- メリット: 定期的に実施することで参加者を増やし、確実に成果物(アウトプット)を作ることができます。個別育成の要素を取り入れつつ、ある程度スケールさせることが可能です。
- デメリット: 運営コストやリソースの確保が比較的かかるため、長期的に続けるには一定の体制が必要です。
最適な方法を選ぶために
上記の方法に優劣はなく、会社の規模や現状の文化、リソースに合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。どの方法を選んでも、教育の強制は避け、学ぶ意欲を引き出すことが重要です。個人的には、折衷案が最もコストパフォーマンスが高いと感じており、適切な運営とアウトプットを作ることで確実に成果を出せると思います。