背景
Tableauを導入する際、システムやデータの検証作業は非常に重要なステップです。しかし、過去に人事部門へのパッケージシステム導入を支援した際の経験から、システム部門出身でない方にとっては「検証」といっても何をどう進めればよいか分からないという課題を感じました。また、他社の事例を見ても、初心者向けにTableauの設定方法を教えるサポートは多い一方で、検証方法を体系的に教える機会は意外と少ないようです。
そこで、私の経験をもとに、初心者向けのハードルでTableauの検証方法をまとめました。これからTableauの導入・運用を行う初心者の方に、少しでもハードルを下げていただければと思います。
Tableau検証方法
以下、初心者の方でも実践しやすい3つの検証方法を紹介します。
検証方法1:理論値との比較
概要
Tableauの出力が正確かどうかを確認するために、元データ(例:Excelファイル)を基にした理論値と比較するのが最も基本かつ正確な検証方法です。具体的には、明細データをベースに、Tableauで設定したフィルタや集計条件と同じ条件を元データ側で再現し、同じ集計結果が得られるかどうかを確認します。
具体的な検証手順
- 元データ(Excelなど)を開き、Tableauで使用しているのと同じフィルタや集計条件を設定します。
- Tableauのビジュアライゼーションの値とExcelの計算結果を比較し、一致するかを確認します。
- 差異があった場合は、Tableauの設定を再確認し、フィルタや計算が正しく適用されているかを見直します。
この方法は最も正確な検証方法であり、特に重要なデータや信頼性が求められる場面では必ず行うべきです。
メリット・デメリット
- メリット:最も正確に検証が行える。
- デメリット:正解データが存在しない場合には使えない。
検証方法2:閾値前後の確認
概要
理論値との比較が難しい場合には、閾値の境目や条件が切り替わる箇所での動作を確認するのが有効です。例えば、ある数値が一定の閾値を超えた時にレコードがフィルタリングされる仕様であれば、その閾値ギリギリの値で意図通りのフィルタリングが行われるかどうかを確認します。
具体的な検証手順
- フィルタや計算フィールドに使用されている閾値付近のデータを見つけます。
- Tableau上でその閾値前後のデータに対してフィルタや条件が適切に適用されているかを確認します。
- 条件分岐が正しく行われていない場合は、条件設定やフィルタ設定に問題がないかを確認します。
注意点
この方法はロジックに依存するため、そもそも条件設定に誤りがある場合には気づきにくいという点に注意が必要です。そのため、可能であればまず理論値との比較を優先し、こちらの方法は補完的に使用するのが良いでしょう。
メリット・デメリット
- メリット:正解データがなくても検証が行える。
- デメリット:条件設定に問題があっても気づきにくい。
検証方法3:極端なケースへの注意
概要
データ分析やビジュアライゼーションの開発では、**極端な値(null値、ゼロ、非常に大きな値など)**が想定外の結果を引き起こすことがよくあります。特にTableauでは、nullや欠損レコードの扱いが難しいことがあり、これらを考慮せずに集計や計算を行うと意図しない結果になることがあります。
具体的な検証手順
- データソースにnullやゼロの値が含まれていないかを確認します。
- 極端な値が含まれる場合は、Tableauのフィルタでnullを含むようにしたり、レコード数を確認します。
- Tableauで極端な値が意図通りに処理されているか、特に計算フィールドやフィルタが正しく動作しているかを確認します。
注意点
特に平均値や中央値を用いた計算では、nullや極端な値が含まれていると、正しい結果が得られないことがあります。また、数値だけでなくカテゴリデータにもnullが含まれることがあるため、こうしたレコードをきちんと処理することで信頼性が高まります。
メリット・デメリット
- メリット:極端なケースに対してのチェックを行うことで、ロジックの漏れを防ぐ。
- デメリット:特になし
検証方法の優先順位
基本的には、1. 理論値との比較を最優先に行い、極端な値のチェック(検証方法3)を行うと良いでしょう。理論値がない場合に限り、閾値前後の確認(検証方法2)を使用することで、検証の精度と効率を高められます。
まとめ
初心者にとって検証作業は、設定方法と同様に重要ですが、手間がかかりがちです。しかし、上記の手順を踏むことで、Tableauを使用したデータ分析が正確で信頼性のあるものになります。特にシステムに慣れていない方でも、これらの方法を取り入れることで検証作業を無理なく行えるようになるでしょう。ぜひTableau初心者の方は参考にして、データの正確性を高めてください。