Tableauの費用対効果の説明のヒント ~成果創出編~
Tableauの費用対効果の説明は、特にユーザー会などでしばしば議論になり、説明する側としても難しい点があります。今回は、その中でも成果創出という視点に焦点を当てて、どのように費用対効果を説明すればよいかをまとめてみました。
成果創出の視点で費用対効果を考える
費用対効果を議論する際、ただ「目の前の人が喜んでくれるか」や「使ってくれる人が多いか」という視点で捉えるのではなく、分析・可視化を通じてどれだけの成果を生み出せるかという視点を持つことが非常に重要です。これを意識することで、単なる作業効率の向上にとどまらず、実際に経営にどう貢献するかというゴールに近づくことができます。
私は以前、目的設定を簡単に行ってしまっていたこともありますが、その結果として最終的な成果を見落とすことが多かったと感じています。分析結果を出すことだけに意識がいきがちですが、その結果が経営指標や会社の戦略にどう影響を与えるかを考え直すことが大切です。
DIVAフレームワークを使った目的設定
ここで紹介したいのが、データ分析の仮説を立てるためのDIVAフレームワークです。このフレームワークでは、データ分析の目的を整理する際に重要なのは、**得られる価値(Value)と得られる成果(Achievement)**を明確にすることです。
- Value(価値): 作成した可視化(Viz)が直接的に生み出す成果を指します。例えば、営業データの可視化によって、特定の営業チームがどの製品を優先的に売るべきかを把握できるようになるといった、具体的な利点です。
- Achievement(成果): 可視化が最終的に経営指標にどのように影響を与えるかを指します。たとえば、営業戦略の改善により売上がどれだけ増加するか、利益率がどれだけ改善されるかという結果です。
ValueとAchievementの違い
作り手の視点では、どうしてもValue(作った可視化がどれだけ使いやすいか、正確か)に目が向きがちです。しかし、Achievementの観点から見ていくことで、最終的にどれだけの利益向上に繋がるかを意識し、優先すべき分析課題やプロジェクトを判断できます。
例えば、営業データの分析で「どの製品が売れるか」を可視化することはValueとしては非常に高いですが、これが営業戦略全体を改善し、最終的に利益にどれだけ貢献するかという視点を持つことで、より戦略的なリソース配分ができるようになります。
経営指標への影響を意識する
特に重要なのは、Achievement(成果)の視点を持つことで、Tableauによって得られた成果が単なる作業効率化にとどまらず、会社全体の経営指標や戦略にどう貢献するのかを明確にすることです。
作り手としては、時に「分析結果が素晴らしいものだ」と思い込んでしまうこともありますが、実際にはその成果が会社の戦略や経営指標にどれだけ寄与するかが最も大切なポイントです。利益向上、コスト削減、戦略的意思決定にどう繋がるかを常に意識して作業を進めることが、費用対効果を最大化するために重要です。
リソース配分を意識したプロジェクト選定
DIVAフレームワークを用いて、ValueとAchievementを踏まえてより効果の高いプロジェクト選定を行うことで、限られたリソースを効率よく配分できます。Tableauの設定や分析可能な人は社内で限られていることが多いため、どのプロジェクトにリソースを投入するかを、経営指標への影響を基に優先順位をつけることが非常に重要です。
例えば、ある営業チームの売上分析が必要だとしても、それが全体の利益に与える影響が小さい場合、そのプロジェクトに時間をかけることが費用対効果に見合わない可能性があります。一方で、全社的な利益改善に直結する分析であれば、リソースを優先的に割くべきです。
まとめ
Tableauの成果創出における費用対効果の説明は、単に「どれだけ効率が上がったか」を示すだけでは不十分です。重要なのは、その成果が経営指標や戦略にどれだけ貢献するかを明確にすることです。DIVAフレームワークを使って、得られる価値(Value)と経営指標への影響(Achievement)を整理し、リソース配分を最適化することで、費用対効果を最大化できると考えています。分析の目的を整理し、実際の成果がどのようにビジネスに貢献するかを意識することが、成功に繋がるでしょう。