Tableauユーザーの中には、システム開発の経験が少ない方も多いと思います。システムのコンサルタント出身者として、属人化リスクを軽減するための取り組みを紹介します。他のシステムにおいても属人化の問題は頻繁に発生しており、私も可視化ツールを開発してユーザーに展開する中で属人化防止策を模索してきた経験があるため、参考になれば幸いです。
属人化へのリスクヘッジのアプローチ
Tableauでの属人化を防ぐためのアプローチを以下にまとめました。特に後継者への引き継ぎを意識し、理解しやすく、保守しやすい定義を作成することが重要です。
アプローチ1:難しく作らない
- 概要: 詳しくなるほど複雑で特殊な方法を使いたくなるかもしれませんが、後継者には負担となりがちです。目的達成に必要な最短ルートでの実装を意識することが大切です。
- 特に重要な点: Tableau Prepの工程は複雑化しやすいため、可能であれば事前にデータマートなどで処理し、SQLなど一般的な言語で加工するほうが、対応できる人が増えます。この方法で属人化を防ぎやすくなります。
- メリット: シンプルで理解しやすく、後継者が引き継ぎやすいVizの作成が可能になります。
- 留意点: 複雑な実装は避けるべきですが、単純化しすぎると必要な機能が実装できないこともあるため、バランスが重要です。
アプローチ2:資料に残す
- 概要: データカタログや仕様書などの形で、データソースやTableau定義を文書として残すことが重要です。定義の背景も補足し、後継者が変更の是非を判断しやすくすることがポイントです。
- 実施例: 使用したデータフィールドの意味、設定の意図、ビジネスルールなどをドキュメント化することで、後から見直しがしやすくなります。
- メリット: 資料として残すことで、後任者がVizの意図や背景を把握しやすく、属人化の防止に繋がります。
- 留意点: 資料の更新が滞ると、かえって混乱を招くことがあるため、定期的に見直しや更新を行う体制が必要です。
アプローチ3:リファクタリングを行う
- 概要: Tableauで定義を作る際には試行錯誤が発生しがちで、Vizが複雑になる場合が多いため、一度作成したVizを見直し、リファクタリングすることが保守性を高めます。
- 実施例: 最初はCSVをデータソースとして使用しプロトタイプを作成し、効果が確認できた段階でデータマートに切り替えると、保守が容易になります。
- メリット: Vizが整理され、後から内容を修正したり、追加変更する際の負担が軽減されます。
- 留意点: 最初のViz作成時にリファクタリングも見越しておくと、後での見直しがスムーズに進みます。
最も重要なポイント
最も大切なのは アプローチ1「難しく作らないこと」 です。どれだけ丁寧に資料を残し、リファクタリングしても、複雑で理解しづらいVizは後継者にとって負担となりがちです。後任者が安心して引き継げる、簡潔で明確な定義を心がけましょう。属人化を防ぐためにも、シンプルで実用的なTableau設定を目指してください。