Tableauで分析を行う際、データの内容によっては個人情報の取り扱いに関する制約に直面することがあります。ここでは、個人情報を扱う際の対応方法とその事例を紹介します。シチュエーションや分析の利用目的に応じて、適切な方法を使い分けることが重要です。
個人情報の壁を乗り越えるためのアプローチ
以下の事例をご紹介いたしますので、個人情報を適切に取り扱うための対策検討の一助にならば幸いです。
事例1:統計化されたデータから処理を行う
- 概要: 個人情報保護法の観点から、データを統計化することで個人情報の問題がクリアできると誤解されがちです。しかし、元データに個人情報が含まれている場合、たとえ統計化を行っても個人情報として扱われる可能性があるため、注意が必要です。
- 適用方法: Prepなどで個人情報を統計データに加工する際、元データに個人情報が含まれている場合は個人情報の取扱いに注意が必要です。
- メリット: 統計化により、個人が特定されにくくなります。
- 留意点: 統計化する前の加工元データにも個人情報が含まれるため、処理段階での管理が重要です。
事例2:仮名加工情報にしたデータから処理を行う
- 概要: 社員番号などを不可逆的に変換し、個人が特定されないようにした状態でデータを扱う方法です。この加工を仮名加工と呼び、不可逆的なマスキングを行います。事例1と同様に元データの取り扱いに注意が必要です。
- 適用方法: Prepなどで社員番号を仮名加工し、マスキングを施すことで個人情報保護の観点をクリアします。
- メリット: 不可逆の加工により、個人が特定されにくくなり、安全性が向上します。
- 留意点: 事前に不可逆の処理を適用するため、分析結果に影響が出ないかを確認する必要があります。
事例3:個人情報を扱う前提で公開範囲をRLS(行レベルセキュリティ)で制御する
- 概要: 特定の部署や役割に限定してデータを公開する場合、行レベルセキュリティ(RLS)を用いる方法です。この方法では、データの公開範囲をきめ細かく制御できます。
- 適用方法: 行レベルセキュリティを設定し、閲覧可能なデータ範囲を制限します。サイト管理者でも閲覧制限がかかるように設定できるため、適用範囲が広がります。
- メリット: コストを抑えつつ、特定範囲でデータを公開できるため、効率が良い方法です。
- 留意点: サイト管理者が設定を変更する可能性があるため、設定変更があった場合に備え、ログの監視や定期的なレビューが必要です。また個人情報を扱う場合は個人への同意が必要なので、専門家のアドバイスを踏まえて適宜同意書を交わすなどの措置を取りましょう。
事例4:個人情報を扱う前提でサイトを分ける
- 概要: Tableau Cloudなどライセンス環境を利用している場合、個人情報を扱うサイトと一般データを扱うサイトを分ける方法です。ただし、ライセンスコストが二重に発生するため費用がかさむ点に注意が必要です。
- 適用方法: 個人情報を含むデータは専用のサイトに分けて取り扱い、アクセス権限を別途管理することで、安全な環境を維持します。
- メリット: サイトを分けることで、個人情報を含むデータとそれ以外のデータを完全に分離できます。
- 留意点: 高額なライセンス費用が発生するため、費用対効果を考慮した上での導入が必要です。
まとめ
個人情報を含むデータを取り扱う際は、適切な方法でリスクを管理することが重要です。事例ごとに対応方法が異なるため、目的や状況に合わせて適切なアプローチを選択しましょう。個人情報の壁を超えるための適切な取り組みが、データ活用の可能性を広げる鍵となります。