前回の記事に引き続き、目的別おすすめBLE開発環境を紹介させていただきます。
目的2:製品化を見据えた試作開発
対象とする人
- 将来的な製品化を見据えて、量産品の試作を開発したい人
- 自作の基板にBLE通信部分を追加したい人
まとめ
- ファームウェアの作り込みは後回しに、一旦BLEでの通信のみ確認したい場合 or シリアル通信で通信したい場合
- → BLE Serialがおすすめです。
- ファームウェアに関してこの段階で作りこみたい場合
- → koshianがおすすめです。
BLE Serial(http://www.robotsfx.com/robot/BLESerial.html)
製品化を見据えた試作となると、設計した基板での開発が増えてくるかと思います。
GATTプロファイルの設計などファームウェアのfixは後回しに、一旦BLEでの通信のみ確認したい場合はBLE Serialがおすすめです。シリアル通信が可能なため、処理の自由度が大きいです。iphone/androidと通信するサンプルコードも公開されており、実装の参考になります。
koshian(http://www.m-pression.com/ja/solutions/boards/koshian)
koshianはkonashi互換のファームウェアが書き込まれているため、konashiのsdkを通じて通信する限りはファームウェアの書き換えは必要ありません。konashiと異なるのは、Broadcom社のSDKを通じてファームウェアの書き換えが可能なことです。(konashiは、BroadcomのBLEモジュールであるBCM20737Sをベースになっているため) これにより、プロトタイピングをkonashi互換ファームウェアで開発→量産品の試作はファームウェアを書き換えて作り込みという使い方が可能になります。もちろんkonashiとの連携もサポートしていますが、koshian自体に端子も付いているため、直接ブレッドボードや万能基板への取り付けも可能なのが優れた点かと思います。
目的3:製品化
対象とする人
- 量産する製品に搭載するBLEモジュールの選定を行いたい人
まとめ
このフェーズになると、実際に製品に搭載するモジュールの選定のための評価という意味合いが強くなってきます。基本的に各チップには開発ボードが存在するので、それを用いた開発になるでしょう。開発の敷居もこの段階から一気に高くなるため、本気で製品化を目指す場合でなければ、上記で上げた開発環境を使用するのがおすすめです。どのモジュールが優れているかは、製品の要件とターゲットコストによっても大きく変わり一概におすすめはしづらいため、代表的なBLEモジュールの紹介に留めさせていただきます。
bluegiga社製 BL112(https://www.bluegiga.com/en-US/products/bluetooth-4.0-modules/ble112-bluetooth--smart-module/)
BL112はbluegiga社製のBLEモジュールで、発売されてから時間がたっていることもあり製品への導入事例も多く、ネット上の日本語での情報も一番多いのではないでしょうか。開発環境としては、プロファイルの定義をxml、ファームウェア部分はBGScriptというBASICライクな言語で行います。専用のIDEなどは提供されていません。
Texsus instuments CC2541(http://www.tij.co.jp/product/jp/cc2541)
SensorTag Development Kitというセンサ付きの開発よう端末なども提供されています。
個人的な印象としては、アメリカ製の製品ではよく使われているのを見かけます。
BroadCom社 BCM20737S(http://www.broadcom.com/collateral/pb/WICED-Sense-PB100.pdf)
koshianにも搭載されているBCM20737Sですが、発売が最近ということもあり他のモジュールと比べて高機能です。ファームウェア開発については、EclipseベースのIDEが提供されており、broadcom社の提供するsdkを使用することでc言語での開発ができます。Broadcomメンバーシップを持っているユーザ向けのフォーラムではドキュメントとFAQが充実しているので、開発の参考になるでしょう。他のモジュールと比べて価格が高め(市販価格で約500〜600円/個)なのがネックかもしれません。
以上、目的別おすすめBLE開発環境まとめになります。
いかがでしたでしょうか?みなさんのBLE開発の参考になれば幸いです。