はじめに
ソフトウエア製品の開発を長年やってきた経験から、市場に受け入れられている製品ほど搭載機能のアップグレードの要望が多くなり、派生開発が続いていきます。このように派生開発が続く寿命の長い製品で起きる問題に、規模の増加に伴なった保守性の低下があります。いわゆる「技術的負債」ですね。今回は、技術的負債についてChatGPTに聞いてみました。
ソースコードの技術的負債とはどんなものですか?
ChatGPTの回答:
ソフトウェア開発において、技術的負債(Technical Debt)とは、簡単に言えば、将来の修正や改善が必要なコードやシステム上の欠陥や問題のことを指します。この用語は、Martin Fowlerによって提唱され、ソフトウェア開発プロセスの中でのコストとリスクの両方を表現するために使用されます。
技術的負債は、以下のような要素から成り立ちます:
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急いで行われた実装や設計の短期的な選択:開発者が期限に追われていたり、プレッシャーを感じていたりすると、品質や設計の優れた選択を追求せずに、一時的な解決策を採用することがあります。
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テスト不足や品質管理の欠如:十分なテストが行われず、品質管理が怠られた場合、バグや問題が残り、将来的な保守や修正のコストを増大させることになります。
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複雑さの蓄積:開発プロジェクトが進むにつれて、要件や仕様の変更や追加が発生することがあります。この過程で、既存のコードやシステムに新しい機能を追加するために、修正や拡張が積み重なり、コードの複雑さが増してしまうことがあります。
技術的負債は、一時的な解決策や優先度の低い問題の先送りなど、開発プロセスの中で発生する様々な要因によって生じます。これらの負債は、将来の保守性、拡張性、品質、効率性に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、開発チームは定期的に技術的負債を管理し、適切なタイミングで修正や改善を行う必要があります。
考察:
技術的負債が発生するよくある原因は、「1. 急いで行われた実装や設計の短期的な選択」ですね。開発を依頼してくる事業部やお客様から、「納期短く、開発費を安く」の要望が強い場合がります。その結果、「3. 複雑さの蓄積」が発生します。せっかくのアーキテクチャーも壊されていきます。「2. テスト不足や品質管理の欠如」は、リリース前のテストやリリース後の市場で見つかることが多く、これが蓄積することは少ないですが、この修正を焦ると、負債になることがありますね。
ソースコードの技術的負債の特徴は何ですか?
ChatGPTの回答:
ソースコードの技術的負債には、以下のような特徴があります:
- 複雑さ: ソースコードが複雑で理解しにくい場合、技術的負債の兆候となります。複雑な条件分岐やネストされたループ、長大なメソッドやクラスなどが含まれます。
- 冗長性: ソースコードに重複したコードや不必要なコードが存在する場合、技術的負債の兆候となります。冗長なコードは保守性や拡張性を損なう可能性があります。
- 可読性の低さ: ソースコードが読みづらく、理解しづらい場合、技術的負債の兆候となります。意図が明確に表現されておらず、適切なコメントやドキュメンテーションが欠如していることがあります。
- コーディング規約の違反: ソースコードが定められたコーディング規約に適合していない場合、技術的負債の兆候となります。一貫性のないインデント、変数や関数の命名規則の違反、不要なコードの使用などが含まれます。
- テストの不足: ソースコードに十分なテストが存在しない場合、技術的負債の兆候となります。適切なユニットテストや統合テストが欠如していると、バグや予期しない動作の原因となる可能性があります。
- 依存関係の混乱: ソースコードが多くの依存関係を持ち、複雑に絡み合っている場合、技術的負債の兆候となります。依存関係が不適切であると、変更や保守が困難になる可能性があります。
これらの特徴は、ソースコードの保守性や品質に影響を与え、将来の開発や修正の際に問題を引き起こす可能性があります。技術的負債を早期に特定し、適切な対策を講じることで、ソフトウェアプロジェクトの効率性や品質を向上させることが重要です。
考察:
「1.複雑さ」「2.冗長性」「6.依存関係の混乱」がコードの質の低下を招き、これに「4.コーディング規約の違反」が加わると、「3.可読性の低さ」になると言ったところでしょう。「5.テストの不足」は、前記でも述べたとおり、意外に蓄積しないですね。ChatGPTの回答は、原因と結果が混ざっているようですが、参考になりますね。
ソースコードの技術的負債は、どのように見つけますか?
ChatGPTの回答:
ソフトウェアプロジェクトにおける技術的負債は、以下の手法やプラクティスを用いて見つけることができます。
- コードレビュー: チームメンバーが互いのコードをレビューし、品質や設計の問題点を見つけることができます。コードレビューでは、可読性の低いコード、複雑なロジック、再利用性の低いコードなど、技術的負債の兆候を見つけることができます。
- 静的解析ツール: 静的解析ツールは、ソースコードを解析して潜在的な問題点を検出するツールです。例えば、コーディング規約の違反、未使用の変数やメソッド、長大なメソッドやクラスなどを検出することができます。これらの問題は、技術的負債の兆候となる場合があります。
- ユニットテスト: ユニットテストは、ソフトウェアの個々の機能やモジュールが正しく機能するかを確認するためのテストです。不十分なテストカバレッジやユニットテストの欠如は、技術的負債の兆候となる可能性があります。
- パフォーマンスプロファイリング: アプリケーションのパフォーマンスプロファイリングを行うことで、ボトルネックやパフォーマンスの問題を特定することができます。遅いクエリ、無駄な処理、メモリリークなどは、技術的負債の兆候となる可能性があります。
- メンテナンスの困難さ: ソースコードの変更や追加が難しい場合、技術的負債の兆候となります。例えば、依存関係が複雑で理解しにくい、ドキュメンテーションが不足している、過度に結合しているなどです。
これらの手法を活用することで、技術的負債の存在やその原因を特定し、プロジェクトの品質や保守性を向上させることができます。
考察:
「1.コードレビュー」は、見つけることができますが、コストがかかりすぎます。「3.ユニットテスト」は、前記の通りです。「5.メンテナンスの困難さ」は、現象ですね。
個人的には、「2.静的解析ツール」と「4. パフォーマンスプロファイリング」が有効と思います。
ソースコードの技術的負債は、メトリックスを計測して見つけられますか?
ChatGPTの回答:
はい、ソースコードの技術的負債を特定するために、さまざまなメトリクスを計測することがあります。これらのメトリクスは、コードの品質や保守性に関する情報を提供し、技術的負債の兆候を見つけるのに役立ちます。以下にいくつかの一般的なメトリクスを示します:
- コード行数: ソースコードの総行数は、プロジェクトの規模や複雑さを示す指標です。大規模なソースコードは、保守やテストのコストを増やす可能性があります。
- コードの複雑さ: コードの複雑さを測るために使用されるメトリクスとしては、Cyclomatic Complexity(サイクロマチック複雑度)やMcCabe's Complexityなどがあります。これらのメトリクスは、条件分岐の数やループのネストなどの要素を考慮して、コードの複雑さを数値化します。
- コードの重複度: コードの重複度を測るメトリクスは、重複したコードの量や割合を示します。重複したコードは保守性や拡張性を低下させる可能性があるため、重複度の高い箇所は技術的負債の兆候となる場合があります。
- メソッドやクラスのサイズ: メソッドやクラスの行数やコードの量は、そのコンポーネントの複雑さや保守性に影響を与えます。長大なメソッドやクラスは理解しにくく、変更が困難になる可能性があるため、適切なサイズを維持することが重要です。
- コードカバレッジ: ユニットテストなどのテストスイートのカバレッジは、コードがどれだけテストされているかを示します。カバレッジの低い箇所は、十分にテストされていないことを意味し、バグや予期しない動作の原因となる可能性があります。
これらのメトリクスは、技術的負債の兆候を特定するのに役立つものですが、単独で判断するのではなく、複数のメトリクスを組み合わせて考慮することが重要です。さらに、メトリクスだけでなく、コードレビューやドメイン知識などの人間の判断も重要な要素となります。
考察:
「5. コードカバレッジ」は、一般的なソースコードのメトリックスではないですね。その他は、その通りと思います。特に「単独で判断するのではなく、複数のメトリクスを組み合わせて考慮することが重要です。」は、その通り、重要です。
まとめ
ChatGPTの回答は、的を外していると思われる個所もありますが、ほぼほぼ的確に回答していると思います。結局、技術的負債は、蓄積させないことが必要です。このため、開発中に定期的にメトリックスを測定して、複数のメトリクスを組み合わせで判定して、要修正箇所を抽出して解決して行けば、製品の寿命を延ばし、プロジェクトの炎上を防ぎ、計画通りのソフト開発を実行できるようになります。
こんなツールもありますので、参考まで、ソフトウェア健康診断サービス。