データウェアハウス(Data Warehouse)とは?
データウェアハウス(Data Warehouse) は、組織内外の多様な情報源から収集した大量のデータを統合し、分析や意思決定支援を目的として構築された大規模なデータリポジトリです。特に、OLAP(Online Analytical Processing)と呼ばれる分析処理のために設計されています。
データウェアハウスの特性
データウェアハウスの基本的特性は、Inmonによる定義に従い、以下の4つで構成されます。
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統合性(Integrated)
- 異なるデータソースから収集したデータを一貫性ある形式で統合。
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時系列性(Time-variant)
- 過去のデータ履歴を保持し、時系列分析を可能にする。
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非更新性(Non-volatile)
- 一旦格納したデータは基本的に変更・削除を行わず、安定性を確保。
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主題指向性(Subject-oriented)
- 組織の特定領域(売上、顧客、製品など)の分析に特化した構造。
データウェアハウスの主要な用途
データウェアハウスは主に以下のような高度な分析用途に活用されます。
- 経営戦略・意思決定支援
- 市場分析・顧客行動分析
- トレンド分析と予測分析
- 業務効率の評価・改善
データウェアハウスの構成要素
データウェアハウスシステムは以下の要素から構成されます。
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データソース(Data Sources)
- 組織内外の多種多様な業務システムや外部データからデータを収集。
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ETLプロセス(Extract, Transform, Load)
- データ抽出(Extract)、データ変換(Transform)、データ格納(Load)を行い、分析可能な状態へ整備。
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データウェアハウス(DWH)本体
- ETLで処理されたデータを蓄積し、分析が効率よく行える構造に整理。
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分析・可視化ツール(BIツール)
- データウェアハウスに格納されたデータを多次元分析し、レポーティングや視覚的分析を実施。
代表的なデータウェアハウス製品
- Amazon Redshift(AWS)
- Google BigQuery(Google Cloud Platform)
- Snowflake(クラウドベースのDWHソリューション)
- Azure Synapse Analytics(Microsoft Azure)
データウェアハウスと一般的なデータベース(OLTP)との比較
項目 | データウェアハウス(OLAP) | データベース(OLTP) |
---|---|---|
主な用途 | 意思決定支援、分析処理 | 日常業務のトランザクション処理 |
操作特性 | 大量データの読み取り中心 | リアルタイムな読み書き |
データの特徴 | 時系列の履歴データ保持 | 最新の状態を保持 |
- OLAP(Online Analytical Processing) は、多次元データを用いた高度な分析処理。
- OLTP(Online Transaction Processing) は、リアルタイムな業務データ処理。
データウェアハウスは大量データを統合し、効果的な分析を通じて企業や組織の戦略的意思決定を支援する重要な基盤となります。特にビッグデータや高度な分析技術の進展により、現代の情報戦略においてその重要性が一層高まっています。