Docker Composeの設定共通化

Docker Composeファイル（docker-compose.yaml）を作成する際、同じ設定や環境変数を繰り返し書くのを避け、効率的に管理する方法として、x-プレフィックスという仕組みがあります。

🔹 x-プレフィックスとは？

Docker Composeでは、標準の予約語以外にもカスタム設定を記述できます。こうした設定に使用されるのがx-プレフィックスです。Docker Compose自身はこのキーを特別に処理せず、ユーザーが自由に共通設定や再利用可能なパーツとして活用できます。

代表的な活用例として以下の2つがあります。

x-compose：複数のサービスで共通する設定をまとめて定義
x-env：複数のサービスで使われる環境変数をまとめて管理

🔹 x-composeの活用例

複数サービスで共通する設定（例えばリスタートポリシーやログ設定など）を一元管理するために、x-composeセクションを定義し再利用します。

記述例

version: '3.9'

x-compose: &common-settings
  restart: always
  logging:
    driver: "json-file"
    options:
      max-size: "10m"
      max-file: "3"

services:
  frontend:
    image: frontend-app:latest
    <<: *common-settings
    ports:
      - "3000:3000"

  backend:
    image: backend-app:latest
    <<: *common-settings
    ports:
      - "4000:4000"

  api:
    image: api-app:latest
    <<: *common-settings
    ports:
      - "5000:5000"

&common-settingsで共通設定を定義し、アンカーとして登録します。
各サービスは<<: *common-settingsでその設定を参照し再利用します。

これにより、冗長な設定を防ぎ、設定変更時のメンテナンスが容易になります。

🔹 x-envの活用例

複数のサービスで共通して利用される環境変数を一元管理するために、x-envセクションを使って設定します。

記述例

version: '3.9'

x-env: &common-env
  DATABASE_URL: postgres://user:password@db:5432/mydb
  REDIS_URL: redis://redis:6379/0
  LOG_LEVEL: info

services:
  web:
    image: myweb:latest
    environment:
      <<: *common-env
      API_KEY: "web-specific-key"

  worker:
    image: myworker:latest
    environment:
      <<: *common-env
      API_KEY: "worker-specific-key"

  db:
    image: postgres:15
    environment:
      POSTGRES_USER: user
      POSTGRES_PASSWORD: password

共通環境変数をx-envセクションで設定し、アンカー化します。
各サービスは<<: *common-envで共通環境変数を参照し、追加でサービス固有の環境変数も指定できます。

🔹 利用するメリット

記述方法	主な用途	メリット
`x-compose`	restartやloggingなどの設定共通化	冗長な設定の排除、メンテナンス性の向上
`x-env`	DATABASE_URLなど環境変数の共通管理	環境変数の効率的な管理と設定ミスの防止

🔹 まとめ

Docker Composeのx-composeやx-envを活用することで、複数サービス間の設定や環境変数を効率よく共通化でき、Docker環境の運用管理が劇的に改善します。設定変更が容易になり、複雑な構成や大規模プロジェクトで特に効果を発揮しますので、積極的に活用しましょう。