歴史研究、Maplatなどの歴史研究用ツール、あるいはもっと手前の純粋技術要素の調査検討に、NotebookLMを使っています。
NoteBookLMとは: パーソナルナレッジベースとしては使いにくい
NotebookLMとは、WebサイトやGoogleドキュメント/スライド、YouTube、PDF/音声ファイル、テキストファイルなどを最大50件程度まで登録でき、それに対しユーザがチャットをすることで内容を元にした質問などを生成AIに投げて、その結果をメモとすることができるツールです。
この動作から、筆者は当初、いわゆるベクトルデータベースを用いて、社内の機密文書などの文脈をデータベース化し、LLMと組み合わせて社内機密分野連携の生成AIナレッジベース化する、ユースケースの、個人向けソリューションかと思って使っておりました。
が、どうもそういう用途としては使いにくい感じがしました。
そのころに使おうとしてうまく使えなかった残骸として、街の記録を残すときの様々なアプローチ(ウィキペディアタウン、大字史、街の記憶を残し隊など)の論文を登録し、分析したり質問できるナレッジベースを作ろうとして失敗した例が以下になります。
使いにくい理由ですが、以下のような理由です。
- チャットの履歴が残らない
理由はわかりませんが、他の生成AIと違い、NotebookLMではチャットの履歴が残りません。そのため、積み上げ式に知見を残していく場としては不適です。 - チャットをメモに残すことは可能だが、大事なコンテキストが失われる
チャットに対するNotebookLMの返答を、メモとして残すことはできます。しかしその際、人間が行った質問側は記録に残らず、かつ回答のリファレンス情報もリンク先が消えてしまいます。
このような仕様から、パーソナルナレッジベース基盤としては使いにくく、なんでこんな仕様にしてるのかなと思いつつ、すこし使うことから遠ざかっていました。
飽くまで統合するのは人間系の責任とした上での、情報の集約場所としては優秀
一方で、生成AIを使う上でも悩みがありました。
生成AIは、日々の小さな疑問について、最初に相談するのに非常に有用な入口です。
なので非常に多くのチャットが履歴に溜まっていくのですが、ChatGPT、Gemini、Claudeそれぞれに得意な分野があり、複数AIに質問を投げては役に立つ結果もあれば、まったく的外れな結果もあり、そういったものが日々、何十と積みあがれば、それを後から履歴をさかのぼって確認するのも大変です。
理由はわかりませんが各生成AIも、チャットは一律フラットに履歴を残すだけで、質問分野で分類するような機能は提供しておらず、活用すれば活用するほど、過去の質問結果にはアクセスしがたい状況になっています。
これを整理するのに、NotebookLMは非常に良いのでは?という感覚を現在は持っています。
NotebookLMのメモ機能は、チャットの結果を残すだけでなく、普通にただのメモを作る機能も有しています。
要するに、人間が単なる覚書を残す機能を有しているわけなので、もとよりこれは単なるナレッジベースではなく、覚書レベルを残しておく場として想定されていることがわかります。
メモは、チャットでの問い合わせの元データとはならないので(チャットでの問い合わせの元データとするテキストデータの登録機能は別途備わっている)、ナレッジベース的用途で使う際の確定情報とするデータの管理と、覚書レベル情報のレベル分け管理ができるUIであるといえます。
そこでこのメモ部分で、各生成AIへの問い合わせ内容を分類してリンク管理すれば、頭を整理するのに非常に良いソリューションになるのではないかと感じています。
以下に、デジタルアーカイブとIPFSの連携、Maplatを含む地図技術開発、くずし字の自動翻刻について検討した結果を手元のNotebookLMにまとめた外形を例示します。
生成AIに全てを預けてしまわない使い方ができる
この使い方が人間側に与えるストレスとしては、パーソナルナレッジベースとして使おうとしたときに比べて、ナレッジ全てを預けて判断をゆだねるのではなく、飽くまで判断材料を集約して、最終的な判断は人間に託す形になる点にあります。
しかし、それがNotebookLMの意図したところであるかどうかは別として、生成AIと人間の正しいかかわり方はこのようであるべきではないでしょうか。
考えてみれば、パーソナルナレッジベースとして使おうとしていた時期は、必要な情報は全部NotebookLMに預けて、インサイト導出にあたる部分までNotebookLMにさせようと考えていた節があります。
今の使い方は、飽くまでインサイト導出への近道になる「かもしれない」情報だけを集約して、それを集めて何を思いつくかは人間に託されている感があります。
このアプローチが、NotebookLMの想定された使い方として正しいのかどうかよくわかりません。
想定利用法とずれている場合は、今後のNotebookLMの機能追加で、私の使い方とずれてきてしまうかもしれません。
が、今提供されている機能では、私にとってはこの使い方が一番性にあっています。