奈良=>1月から横浜のkochizufanです。
横浜に家探しに来て不動産屋が開くまでの隙間時間で書いてます。
もともとこの記事(ウィキペディアタウンをサイバー空間で再現してみた)の焼き直しで、OpenStreetMapとWikipedia、に限らない様々な知を位置に紐付けて、テキスト検索ではない新たな知のインデクシングを行おうぜ、みたいな記事を書こうと思ってたんですが、どうにも本当に焼き直しにしかならない感じがしたので別の記事にします。
このテーマについてはSlideShare(〜位置から再構成する知〜Open streetmapとwikipediaの融合)にもまとめているので、興味持たれた方はそちらを...。
で、別テーマですが、Mapillaryを最近使っているので、それを使ったマッピングについて書こうかなと...。
このサービス、非常に便利なのですが、マッピングに使おうと思うと少しイケてないところもあって色々活用に苦労するので、まだ個人的最終結論は出てないものの、試行錯誤している現状を記したいと思います。
Mapillaryとは
先にもリンクした通り、こちらでサービス提供されている、連続した静止画からユーザのお手製ストリートビューを作ることのできるサービスです。
データ作成の専用アプリも、iPhone、Android、WindowsPhoneそれぞれに提供されています。
たとえば私の作品だと、奈良高畑町〜春日大社〜新薬師寺の町内会イベントを写したこちらのストリートビュー等を見ていただければ、感じが分かると思います。
個人的にストリートビューが作れるだけでも、お店への案内や街の魅力伝達、お勧め観光ルート作成などに有用なのですが、このMapillaryにアップされた位置と撮影方向付きの写真はJOSMで読み込むことができるので、OSMのマッピングにも有用です。
上がMapillaryプラグインでJOSM上に表示したMapillaryデータの様子です。
編集画面上にMapillaryの持つ写真の位置データと撮影した方向が矢印表示され、各矢印を選ぶと、その場所の写真が表示されます。
GPX情報のように、ユーザに関係なく全ての投稿のデータがロードされるので、複数人での写真共用マッピングにも使えます。
Mapillaryの問題点
ここまで聞くといいことづくめのようなMapillaryですが、ぶっちゃけ、Mapillaryで街/名所のストリートビューを作ることに意義を見いだせない人が、OSMマッピング用にMapillaryを使うことは今のところまだ止めたほうがいいです。
いろいろまだ、地雷がいっぱいです。
私はMapillaryを作る事自体に意義を見出しているので、なんとか工夫してMapillaryを作りつつOSMにも活用できないか、と試行錯誤してますが、どうしてもMapillaryアプリでデータが作れないところは普通のカメラに切り替えたりしていると、アプリの切り替えなどで無駄に手間取ったり、なかなか苦労します。
可能な限り開発元にフィードバックして、Mapillaryにも使いつつOSM用にも有用なアプリにユーザとして育てていければ、と思っていますが、まだOSMの方を主眼にして使うには難しい感じがします。
以下、OSM用として使う場合の、現状のMapillaryの問題点を挙げていきます。
アップロードから公開に時間がかかる
割とすぐ反映される事もあるので、基準がわからないのですが、アップロード後公開されるまで運が悪ければ1日くらい待たされる事もあります。
時間の限られたマッピングパーティ等で、うっかりアップロードして待たされた日には、後述する手元に写真がなくなる問題と合わせて、とても悲しい事になります。
店の看板など、マッピングに有用な情報がモザイクで消えてしまう場合がある
Mapillaryには、通行人の顔やナンバープレートなど、プライバシー上問題がある情報を自動で検知してモザイクをかけてくれる機能があります。
ですので、割と気軽に写真を挙げられるのですが、誤検知は確実にあるので、重要な情報の入った看板が隠されてしまったりと、使えない写真になってしまう事がよくあります。
アップロードするとスマホ内に写真がなくなってしまう
アップロードから公開に時間がかかろうと、店の看板が隠されようと、スマホ側にデータが残っていればそちらを参照できるのですが、Mapillaryの現在の仕様だと、うかつにアップロードするとアップロード完了した写真はスマホ内から消えてしまうので、公開で待たされるとマッピングパーティ中には何もできなくなってしまうし、また隠された看板はもう元に戻せません。
個別に選択してスマホに残す事も可能。だが重要なデータが欠落...
スマホから写真がなくなる問題は、実はアップロード前に個々の写真で一つ一つカメラロールに保存する操作を行っていれば、スマホに残ってくれます。
個別にやらないといけないので、何百枚と撮った際にはそれだけで手間なのですが、もう一つ落とし穴があり、こうしてスマホに残した写真には、撮影時刻・経緯度・撮影方向などの、場所特定に重要な情報が全く落とされてしまうのです。
タイムスタンプすら、操作を行った時間になってしまいます。
なので結局アップロードした写真と付き合わせて場所や方向を確認せざるを得ず、公開で待たされれば何もできないし、救えるのは看板がモザイクで消されてしまう問題くらいになります。
この問題は、撮影時刻・経緯度・撮影方向などがカメラロールにも残るだけで、かなりの問題が解決されるので、要望として挙げていこうと思います。
GPS情報が不正確だと、写真すら撮れない
Mapillaryアプリでは、GPSの精度が悪いと、シャッターを押すことすらできません。
Mapillaryのコンテンツとしては、GPS情報は必須ですからこれはこれで正しいのですが、OSMで活用することを考えた場合、重要な情報だ!と思って写真を撮ろうとしたら撮れない、というのはかなりのストレスです(特に集団行動している時など)。
屋内などは、撮れないこと分かってるのでその間だけ普通のカメラアプリに切り替えればいいのですが、屋外などでも普通に撮れない事がよくあるので、情報だ写真を撮ろう!=>撮れない=>カメラアプリへの切り替えにもたつく=>みんな先に行ってて焦る、という事がよくあります。
看板写真等は、ストリートビューコンテンツとしては見苦しいノイズ
これはアプリの問題ではなく、MapillaryとOSMのコンテンツとしての特性の違いですが、OSMだとよくやる看板だけを写した写真なども、ストリートビューを作ろうとするMapillaryでは、見苦しいノイズになります。
なので本来は看板などはMapillaryアプリで撮らず、一般カメラで撮るべきなのですが、移動しながらアプリの切り替えは非常に手間なので、後でアップロード前に削除すればいいや、と思ってMapillaryアプリで撮ってしまう事がよくあります。
ところがそうすると、スマホに保存しても重要な位置情報などが抜けてしまうし、かといってアップロードして位置情報を確かめようとするとノイズまで一緒にあげる事になってしまうし、といった感じで、非常に手間がかかります。
この問題も、カメラロール内に撮影時刻・経緯度・撮影方向等を残して保存できるだけで、かなり解決できるのですが...。
Mapillaryアプリをあえて使わない事で解決できるかも?
そんな感じで、OSMと同時に作ろうと思うと非常に苦労するMapillaryデータですが、もしかすると解決できる方法があるかもしれません。
それは、MapillaryにはPCのWebから、一連の一般画像をアップロードできるフォームがあるので、あえてMapillaryアプリを使わず、一般カメラで撮った撮影時刻・経緯度・撮影方向付きの一連写真をフォーム経由でアップすれば、OSMにも使えつつMapillaryにも使える形になるのかもしれません。
この手法はまだ試してないのですが、もしうまくいけばまたレポートしたいと思います。
ただMapillaryアプリは、写真だけでなくGPXデータもサーバに転送しているので、GPXのない個々の写真の連続アップだけでは、Mapillaryコンテンツとしての精度が下がる可能性も十分に考えられます。
まだまだこれからのOSM with Mapillaryだけど、将来の可能性は大きい
このようにまだまだ問題も多い、OSMとMapillaryの連携作成ですが、将来の可能性は大きいと思います。
是非皆さんも、いろいろ試行錯誤してみて、良いノウハウを蓄積していければと思います。
私ほとんど発言してませんが、facebookにもMapillary勉強会グループなどもあるので、是非覗いてみてください。