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アジャイル開発は計画しない?

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チームが計画づくりに示す態度は両極端なものになりがちである。つまり、まったく計画しないか、計画が「絶対に正しい」と納得できるまで労力を費やしすぎるかのどちらかだ。1

アジャイル開発について「計画しない」と誤解してしまうことが多いことがあります。

とくにアジャイル開発を ウォーターフォール開発の反対 と捉えてしまうと、この誤解は正しそうに見えます。

なぜならウォーターフォール開発が「正しい計画をつくってから、ものをつくりはじめる」という特徴を持つのだから、アジャイル開発は「計画をせずに、ものをつくりはじめる」のだ。このように考えるのは不思議ではありません。

あるいはガチガチにコミットしてしまった計画に疲れ果ててしまい、計画から逃げるための手段としてアジャイルに希望を見出すようなパターンもあるかもしれません。

しかしアジャイル開発においても、計画は必須の要素です。では何が異なるのでしょうか。

計画を「つくり続ける」ということ

アジャイル開発における計画は、計画以上に計画づくりに重きを置きます。

なぜ計画よりも計画づくりを重視するのか。それは、計画することで見えてくる課題があるから です。

立てた計画はじきに見直され、破棄されてしまう。しかし、計画づくりの過程で得た知識や洞察はずっと後まで残る。2

計画づくりを続けることで、たとえばチーム内で次のような課題を見つけ、先回りして解消することができます。

  • プロダクトが本当に解決すべき問題はどうやらAではなくBっぽそうだ。この仮説を検証する方法はあるか?
  • このペースで進むと再来週には開発完了しそうだ。その場合、他チーム〜の件の進捗も確認しておかないといけなそうだ
  • 半年後の目標をふまえると、いまのペースだと終わらない。スコープの縮小を検討しはじめよう

計画を見直す

計画をつくり続けるということは、つまり計画を見直すことでもあります。

アジャイル開発は決して「その場しのぎの計画」をつくり続けるものでもありません3。それぞれの規模の計画をつくり続けます。

目に見える範囲を大きく超えて計画を立てているにも関わらず、計画を見直す時間を組み込んでいないのであれば、そのプロジェクトは危険にさらされていることになる。計画には段階的な詳細化が不可欠である。4

今週の計画が崩れたなら、来週や来月の計画に影響がないか考える。来月の計画が変更されるなら、今週の計画を変更すべきか考える。

一度立てた計画を壊さないように無理をするのではなく、立てた計画を変更できる状態を維持しながらふりかえりを続ける。

アジャイル開発は計画を軽視しているのではなく、むしろつねに計画とともにあるような印象を受けます。

計画に対する姿勢のちがい

ここまで見てきたことをまとめると、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の関係は対義ではなく、差異があると考えるべきでしょう。

これは「計画」においても同じで、計画に対する姿勢がそれぞれで次のように異なるとまとめられそうです。5

ウォーターフォール アジャイル
計画の有無 計画する 計画する
計画の頻度 最初だけやる ずっと続ける
計画にかける時間 長時間かける 短い時間で頻繁に繰り返す
計画の変更 変更しづらい 変更しやすい

アジャイルにおける計画の重要さが伝われば、とても嬉しいです。

参照

  1. Mile Cohn『アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~』、p26。

  2. 同、p34。

  3. テーマが異なるので詳細は別の記事で補足しようと考えています。

  4. 同、p53。

  5. 個人的にはウォーターフォールをいつもアンチパターンとして取り上げることに違和感を持っています。ただ説明としてはわかりやすくなると考え、このように表現させてもらいました。

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