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良い「あとまわし」と悪い「あとまわし」

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真面目に働いているならば、何らかの仕事をあとまわしにした経験が必ずあるはずです(筆者も一度ぐらいは経験した気がする)。

腰を据えて実装にとりかかろうとしたタイミングで、誰かから依頼を受けた。簡単な依頼だし断るのも悪いから「ちょっと30分だけ...」と対応する。対応が終わったら、今度は別の人から相談を受けた。「まあ少しだけなら...」と話に応じる。

そんなことをしているうちに今日の業務が終わる。もしくはそこから本当の業務がはじまる人もいるかもしれません。

この記事では、そんなあとまわしについて 『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則』 という本を参考にしながら、その良し悪しを論じてみたいと思います。

良い「あとまわし」とは?

良いあとまわしは、端的に言えば、突発的に発生したタスクのコントロールです。たとえば、

  • 同僚から突然依頼・相談されたこと
  • 仕事中にふと気になったこと
  • 反射的にやってしまうこと(メール、Slackの返事)

などが対象になるでしょうか。

『仕事に追われない仕事術』では、仕事のほとんどは「すぐやる」必要も、なんなら「今日中にやる」必要もない、と説きます。

「マニャーナの法則」の根底にあるのは「明日まで待てないほど、緊急な仕事はない」という考え方です。ポジティブに表現すれば「1日に発生する仕事を集めて、必ず次の日にやる」と言い換えられます。つまり、常に仕事に1日分の「バッファー・ゾーン」を設ける考え方なのです。1

上述のようなタスクを「その場で、すぐやる」誘惑に打ち勝ち、ひとまず距離を置いてみる。そのタスクを明日とりかかれないかどうか考える。

雑務をやるより今朝の計画に取り組むほうが価値がある、と信じられる場合、このあとまわしは確かに良い作戦だと感じました。

悪い「あとまわし」とは?

一方で悪いあとまわしは、もともと目の前に積まれていたから、もしくは重要だから取り組もうと思っているプロジェクト・タスクの放置です。

『仕事に追われない仕事術』を援用するまでもなく、自身の経験に聞いてもよいでしょう。仕事には「気乗りしない」度合いがあり、本書ではこれを「抵抗感」と呼んでいます。

抵抗感が発生するのは「ある行動がその他の行動より難しい」と感じた時です。ですから、どうでもよい仕事をしていれば抵抗感は起こりません。実際、重要な課題に取り組むより、どうでもよい簡単な仕事を続ける方がずっと簡単です。こうして、日常はどうでもよい細かい仕事で埋め尽くされることになってしまいます。2

放置するタスクには「難しそうだからやりたくない」「面倒なことに巻き込まれそうだからやりたくない」「失敗したら恥ずかしいからやりたくない」などの理由が実は隠れています。見て見ぬフリをしまった経験は誰しもあるでしょう。

抵抗感の大きな特徴はもうひとつあります。それは、あとまわしにした回数と抵抗感が比例すること、つまりあとまわしにすればするほど、明日はもっとやりたくなくなるという点です。

まとめ

上記の内容をあわせると、次のようにまとめられそうです。

  • 抵抗感のあるタスクに取り組むために、突発的に発生したタスクたちはあとまわしにすべき
  • 突発的に発生したタスクに取り組むことを口実に、抵抗感のあるタスクをあとまわしにすることは避けるべき

もちろん業種や役割に応じて「すぐやる」タスクの比率が多い人もいるでしょう。しかし一歩立ち止まって考えれば、意外と「明日やる」でも問題ないタスクを「すぐやる」に回していた経験もあるはずです。

なにかをあとまわしにすべき局面が訪れたとき、あるいはあとまわしにするせいで仕事が上手く進んでいない感覚を持ったとき、このような観点でタスクの見直しをしてみるのは良い作戦になると感じました。

参照

  • マーク・フォースター『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則』
  1. マーク・フォースター『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則』、Kindle版、No.1227-1230。

  2. 同、No.372-375。

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