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筆者は、いろんな人と仕事をするとき、期待値調整を重要視しています。

期待値を明確にして達成すること(あるいは未達を早めにつたえること)は、個人・チームのパフォーマンスに影響します。これは「プロジェクト・アリストテレス」でも「(心理的安全の次に)相互信頼や目標の明確さが生産性の高いチームになるための要素である」と述べられている通りです。

このエントリでは、期待値をつくるときに意識することを書いてみたいと思います。

「点」の期待値はつくらない

期待値調整においてよくやってしまいがちなのがこれです。

メンバー・チームの期待値を「点」つまり1つに固定してしまうのはアンチパターンになりうると考えています。

ある仕事の完了日を聞かれて「今週の金曜日に終わる」のように答える場合は、ほぼ確実にその日に終わる(あるいは終わらせる)自信があるときだけにします。

それ以外は「今週の金曜日までに、遅くとも来週の火曜日には終わる」など、期間で答えることを意識します。

どのようにして「幅」をもたせるか

期間で答えることを意識するだけであれば、とても簡単です。

「今週の金曜に終わります。でも一生かかる可能性もあります」と言えば期間になるからです。しかしこれを目の前の同僚や上司に言う勇気はさすがにないでしょう。

つまり「どのように幅をもたせるか」が重要であり、ここにその人のセンスや経験が出てきます。

極端なケースは考えない

幅をもたせて考えるためには想像力が必要となりますが、妄想レベルのことも期待値に反映させることは避けます。地球に隕石が降ってきた場合の納期を考える必要はありません。

もうすこし現実的なケースをあげれば、たとえばほぼ必ず通る最終確認のようなステップについて、それが失敗して調査する場合の工数などは見積もりに含める必要はないでしょう。

もちろん発生する可能性は隕石より遥かに高いですが、それは発生したときに速やかに報告してリスケすべきものだと考えています。

ストーリーを添える

あるプロジェクトの完了について、いろんなケースを想定したうえで「来月中に終わる」と回答しました。

これでも十分ですが、可能であれば「その幅に収まるストーリー」も回答できると、相手も安心しますし、自身も見積もりに対する精度を認識できます。

たとえば「来月の中旬ぐらいに終わりそう。早くなるかもしれないし遅くなるかもしれないから、来月中ぐらい」という場合、その期待値は正規分布のような形をしています。

同じように「今月末に終わるぐらいのペースで進めるが、このたぐいのプロジェクトは終盤にいつも問題が見つかるので、来月中を目安にしたい」という場合は、今月末に近づいた時点でどのような状況下を見極めなおすべきでしょう。

途中のゴールを示す

ストーリーも回答しようと思うと、タスクやプロジェクトの中間地点もイメージできてきます。この中間地点も期待値として設定しておくと、より良くなります。

「この時点で〜が完成している」というような期待値を描けると、期待値の設定の正しさにもより自信が持てるはずです。

まとめ

最後に、ここまで「納期」に絞って書いてきましたが、たとえばQCDを参照すれば「質」や「コスト」、あるいはプロセスや副産物に関する期待値を設定すべき場合もあります。

しかしどの観点においても原則としてピンポイントで期待値は設定せず、適切な幅をもたせるように工夫することで、うまく物事を進められるはずです。

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