1.PLATEAUアカデミー研修の内容
年末になってしまいましたが、11月に参加したPLATEAUアカデミー研修の内容を振り返ってみたいと思います。使用したソフトウェアはQGIS(CityGML変換用shpデータの準備)、FME(CityGMLデータの作成)、Blender(3次元モデルへのテクスチャー付与)の3点でした。研修の概要は下記の通りです。
■1日目
・FMEソフトウェア(shp→CityGML変換ツール)の概要
・土地利用モデル/都市計画決定情報モデルのCityGML変換用shpデータの整備
・FMEソフトウェアによる属性情報の付与方法
■2日目
・都市計画決定情報モデル/交通(道路)モデル/建築物モデルの整備
・属性情報の付与方法(LOD1まで)
・Blenderソフトウェアの概要
■3日目
・建築物モデルの整備(LOD2)
・Blenderソフトウェアを用いた3次元建物データの生成
・属性情報の付与方法、品質検査方法
2.CityGML変換用shpデータの準備
感想も含みますが、この記事では1日目に実施した「CityGML変換用shpデータの準備」について触れてみようと思います。主な内容については下記の通りです。
① 原典資料の収集:デジタルデータと、その仕様を収集する
② 幾何検査:収集したポリゴンデータが正しく作成されているかを検査する
③ 属性修正:収集したデータに属性を付加していく
(その後、③のデータをFMEソフトウエアを用いてCity GMLへ変換する@符号化処理)
特に、③の属性修正の部分について、QGISの「属性の空間結合」や「属性をリファクタリング」ツールをフル活用しますので、この部分について復習してみました。
【①原典資料の収集+②幾何検査】
まず、CityGMLデータを作成するためには、各自治体からデータを収集する必要があります。加えて、収集したデータに対して幾何検査を行わなければなりません。幾何検査とは、例えば「土地利用」のデータであれば、データが点や線ではなく、面(ポリゴン)であることを確認する、等の作業です。
研修では、幾何検査済のshpデータが展開されましたが、CityGMLへ変換する前のshpデータを生成するためには、この原典資料収集と幾何検査のプロセスに非常であり、その後のプロセスを考慮して加工しやすい状態にしておくことが極めて重要であると感じました。
【③属性修正】
土地利用、道路、建築物など、それぞれの地物名に対して、属性情報として最低限不可すべき情報が「3D都市モデル標準製品仕様書」では定められています。この属性修正のプロセスでは、幾何検査済のshpデータに対し、QGISのジオメトリツールを用いて属性情報を加工する必要がありました。
下記の図では、QGISのジオメトリツール「属性の空間結合」を使い、加工前の土地利用ポリゴンデータ(A:土地利用_幾何済)に対象地域の図郭データ(B:2次メッシュ図郭)を重ね、Bが有している図郭メッシュコードをAの属性情報に加える処理をしています。この処理をすることで、Aの各ポリゴンが重なっている図郭の番号が、属性情報に一括で付与されます。
次に、上記の「属性の空間結合」処理で作成されたデータ(C:土地利用_幾何済_メッシュコード付与)を、QGISの「属性をリファクタリング」機能を用いてさらに加工します。下記の図では、別途、テンプレートデータとしてCityGMLに加工するためのフィールド名を持った空データ(D:luse_土地利用)が用意されています。
「属性をリファクタリング」の処理では、入力レイヤーにCをインプットし、フィールドを読み込むためのテンプレートレイヤーとしてDをインプットしておきます。読み込みボタンを押すことで、CityGMLに変換するためのフィールドが表示され、ソースの式の欄に必要な文字情報(県名や市町村名、データの整備年等)をインプットしてあげれば、CityGMLへ変換するための前処理が完了したshpファイルを生成することができます。
*属性に文字情報を一括で入力する際には、属性情報としてインプットしたい文字をシングルクォーテーションで囲めばOKです。
3.所感
CityGMLデータを生成するには、上記2.の作業をふまえてFMEソフトウェアでデータ変換を行う必要があるのですが、そこまでのQGISでの前処理が非常に重要なプロセスであると感じたので、記事にしてみました。ポイントとしては、QGISのジオメトリツールを存分に用いながら、いかに効率的に属性情報を整備するかだと思います。
特に、テンプレートを用意しての「属性をリファクタリング」の機能は、CityGMLデータ作成の前処理はもちろん、別のQGIS作業でも非常に有用であると感じました。