はじめに
タイトルの通り Solaris 10 の延長サポート(Extended Support)の終了日が、この間まで 2024年1月1日だったのが2025年1月1日までに伸び、さらに2027年までに伸びていたというだけの記事です。なお最新版は Solaris 11 なので古いバージョンの話です。Solaris を業務で使用している人にとっては今更な話題なのかもしれませんが、検索しても 2021 年で終わりだとか 2024 年で終わりという記事ばかりで。私は Solaris を開発したシェルスクリプトの動作検証用としてしか使っておらず詳しく調べていないので見逃していました。
この記事の公開時は2025年終了でしたが、2027年1月にまでに伸びていました。
New end date of Extended Support for Oracle Solaris 10 and 11.3
(October 25, 2023)
Solaris に興味がある人へ、Solaris 10 系の最終バージョン 1/13 と Solaris 11 系の最新バージョンの 11.4 のダウンロードは以下からどうぞ。Solaris 10 はオープンソースとしてソースコードが公開されましたが Solaris 11 で事実上のクローズドソースに戻ったようです。しかし Solasris 10 も Solaris 11 も個人利用や開発用途であれば無償で利用することができます(アカウント登録が必要)。もちろん本番環境での利用はサポート契約が必要です。
- Solaris 10 のダウンロード(日本語ページ)
- Solaris 11 のダウンロード(日本語ページ)日本語ページは更新遅れてる?
Solaris 10 の延長サポート終了の日付の遷移
- Solaris 10 は2005年1月31日にリリースされました
- 元々の延長サポート終了の日付は2021年1月1日です
- 2019年9月に延長サポートは2024年1月までに3年間延長されました
- 2023年4月に延長サポートは2025年1月までに1年間延長されました
- 2023年10月に延長サポートは2027年1月までに2年間延長されました(追記)
どうやら Oracle は Solaris 10 から 11 へのアップグレードパスを用意していないようで、そのせいで移行が遅れているようです。たび重なる延長は Windows XP を思い出しますね。Solaris 10 は 20年のサポートですが XP って結局何年サポートされたんでしたっけ? 12年半? でも例外措置としてのアップデートとか有りましたよね。もっとも Solaris 10 は 2025 年で終了だとしても、Oracle は Oracle Solaris 10 Zones や Oracle VM Server for SPARC といった仮想化技術を使った延命方法を案内しているので、業務利用で本当に消えるのはまだ時間がかかるのかもしれません。
Solaris 10 のバージョン番号
これだけじゃ記事として味気ないので、自分自身の備忘録として Solaris 10 のバージョン番号を調べてみました。Solaris 10 の SunOS としてのバージョン番号は 5.10 です。Solaris 10 は 2005年1月にリリースされ、以下のようなバージョン(アップデート)が有るようです。
バージョン番号 | リリース日 | バージョン番号 | リリース日 | |
---|---|---|---|---|
Solaris 10 3/05 | 2005年3月 | Solaris 10 10/08 (U6) | 2008年10月 | |
Solaris 10 1/06 (U1) | 2006年1月 | Solaris 10 05/09 (U7) | 2009年5月 | |
Solaris 10 6/06 (U2) | 2006年6月 | Solaris 10 10/09 (U8) | 2009年10月 | |
Solaris 10 11/0 (U3) | 2006年11月 | Solaris 10 9/10 (U9) | 2010年9月 | |
Solaris 10 8/07 (U4) | 2007年8月 | Solaris 10 8/11 (U10) | 2011年9月 | |
Solaris 10 5/08 (U5) | 2008年5月 | Solaris 10 1/13 (U11) | 2013年2月 |
特定のバージョンだけを見てもバージョン番号の意味がよくわかりませんでしたが、単に「月/年」になっているだけですね。こうやって見ると半年か一年ぐらいでアップデートされていたようです。そして2013年2月を最後にアップデートはでてないようです(パッチは出てるらしい?)
Solaris 11 のバージョン番号
Solaris 11 は 2011年11月にリリースされました。Solaris 11 の SunOS としてのバージョンは 5.11 です。次のようなバージョンがリリースされています。
バージョン番号 | リリース日 | サポート終了 |
---|---|---|
Solaris 11 | 2011年11月 | ? |
Solaris 11.1 | 2012年10月 | ? |
Solaris 11.2 | 2014年4月 | ? |
Solaris 11.3 | 2015年10月 |
|
Solaris 11.4 | 2018年8月 |
|
Solaris 11.3 はギリギリまだサポートが継続しているようですね。2018年8月の 11.4 が最新バージョンで5年近くアップデートされていない?と思いきや、それ以降は SRU と呼ばれる細かいアップデートを適用する方針に変わったようで、2024年8月27日現在の最新版は2024年8月20日にアナウンスされた 11.4 SRU72 です。SRU はセキュリティパッチだけではなく機能追加も含まれ、月1回ぐらいのペース(?)で SRU がリリースされているようです。ただしこの SRU は有償らしく個人利用者は入手できません。最初どこでダウンロードできるのかわからず探しまくりましたが、サポート契約を結ばないとダウンロードできないということです。
現在無償でダウンロードできるのは、2018年8月の最初の 11.4 版である GA (11.4.0)と、2022年2月の SRU42 相当の CBE (11.4.42) だけです。11.4.0 をアップデート(pkg update--accept
)したら 11.4.42 に更新されました。サポート契約を結んでいたら、おそらく 11.4.58 になるのでしょう。GA や SRU や CBE という用語については「Solaris 11.4 CPU(Critical Patch Unit)の当て方」でわかりやすくまとめられていました。こういう用語も個人利用者にはわからないので、ダウンロードページで配布されているのはなんなのか悩みました。
SRU での更新内容は Oracle のブログを見ると把握できると思います。CBE についての詳細も書かれており、CBE はベータ版のようなものであり SRU の修正のすべてが含まれているわけではないようです。
- 2022-02-16 Announcing Oracle Solaris 11.4 SRU42
- 2022-03-03 Announcing the First Oracle Solaris 11.4 CBE
- 2023-06-23 Announcing Oracle Solaris 11.4 SRU58
個人的には C.UTF-8
ロケールが SRU42 で追加されていることが気になりました。SRU57 では bash も最新の 5.2 にアップデートされていることがわかります。SRU のアップデートは継続して続いているようです。私は個人利用なので現時点では SRU42 相当の CBE での動作検証が限界です。何ヶ月か何年したら次の CBE がでるのかもしれませんが、2年放置されている現状を見るに CBE のリリースに興味をなくしている気がします。あまり期待できません。ちなみに Solaris 12 はでないらしいです。
さいごに
あと数ヶ月でようやく Solaris 10 も終わり、Bourne シェルが /bin/sh
として使われている残り少ない OS が一つ消えると思っていたのに、まーだ続くんですかね?