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初めてプロジェクトを担うあなたへ

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株式会社LITALICOで情報システム部のマネージャーをしている@ko1です

この記事は『LITALICO Advent Calendar 2017』17日目の記事です。


はじめに


この記事の対象


  • 今後新たにプロジェクトマネージャー(PM)になる予定の方

  • PMに興味のある方

  • PMとして仕事をしているが、うまくいっていない、やりがいを感じられていない方


この記事で書くこと


  • 筆者はここまでのキャリアはほぼPMとして過ごしてきましたが、以下のような経験をしてきました


    • SIerでのアプリケーション開発やインフラ運用/リプレイスプロジェクトなど

    • LITALICOでは新規事業立ち上げや全社基幹システム導入、業務改善プロジェクトなど



  • 自分でもエンジニアとして手を動かしつつ、基本的には一貫してPMとして仕事をしてきたので、教科書的なお話というよりは実経験に基づく話を中心にします

  • よくこういうプロマネ系の話とセットで、SI系で営業が勝手に受注を~、とか業界構造が~、みたいな話も見かけるのですが、それはここでは触れません。プロジェクトそのものにフォーカスした話をします


プロジェクトを選ぶ


  • プロジェクトを選ぶ、というのは非常に大事だと思います。勝つために必要なのは、勝てない試合をしない、ということです。

  • プロジェクトを選ぶところからPMとしての仕事は始まっていると思いますし、「絶対に失敗するプロジェクトをやること」を選んだ時点でPMであるあなたの責任だと思います。私個人としては、本当に失敗すると思っているならあらゆる手段を使ってでも全力で反対したほうがいいし、それが自分と組織のためであると考えています


うまくいかないプロジェクトの特徴

経験上こんなプロジェクトはうまくいかないことが多いように思います。うまくいかないというのは、時間をかけても成果が出る可能性が低いということです



  • ゴールを明確にイメージできない。もしくは明らかにゴールがない


    • そもそもプロジェクトは目的があり、目標も明確に決まっているものなので、それが定められないものは終わらないプロジェクトになる危険性があります

    • また、現実的な話として、達成すべき成果が決まっていなかったら評価のしようもないので、どれだけ頑張ってぼろぼろになって形にしたとしても、残念ながら評価されないということも発生すると思います




  • 責任者(プロジェクトオーナー/PO)が決まっていない


    • 意思決定権のある責任者が入っていないプロジェクトは調整コストが無限に広がるので、まとめきれない危険性が高いです

    • これについてはこの人、これについてはあの人、というようにドードリオみたいに頭が分散しているプロジェクトも要注意です。ハイレイヤーの調整はPOに切り出し、意思決定フローを一本化しましょう




  • 周囲の期待値が低い


    • 周囲の期待値が最初から低い、もしくは無いプロジェクトは協力も得られずリソース配分も受けられないので、PMが孤軍奮闘することになり恐ろしく疲弊すると思います



上記のような状況でも成果を出せるのは、サラリーマン金太郎くらいだと思います


プロジェクトの進め方

では、実際にプロジェクトを進めていくときにはどのようなことを気を付けたらよいのか。それについて書いていきます


1. ゆとりを持とう


  • PMだけではなくリーダー全般に言えることかもしれませんが、ゆとりを常に持っておくことは大事だと思います


    • あなたに余裕があるように見えると、チームメンバーも話しかけやすくなるので報告も上がってきやすくなります



  • リーダーの焦りや不安はチームに伝染します。疲れは表に出てしまうかもしれませんが、不安は表に出さないようにしましょう。ただ、あなた自身のメンタルのためにも相談できる人は作っておいてください。


    • PO、PMOといったプロジェクトラインの中だけでなく、客観的な視点で相談できる相手(壁打ち相手)がいるとよいと思います。また、プロジェクトの利害関係者でない方がよいです




2. 基本に忠実にやろう

とはいえ、やるべきことは大量にあるのに全く進んでいないような気がする。。どうしよう。。というときもあります。そういう時こそ奇をてらわずに着実に進めていく必要があります


  • まずボトルネックを把握しましょう


    • 全体像が見えないと漠然とした不安が生まれ、適切な判断もできなくなります

    • 全体の進行を妨げている要因が必ずあるはずです。ボトルネックとなっているものを見出して、取り除きましょう

    • ボトルネックが特定できたら、それをどう解決するかをタスクへ分解して進めます

    • ボトルネックと全体のスループットについては、名著「ザ・ゴール」が勉強になりました。生産現場の話ですが、全ての業務において参考になると思います



  • 必須でないタスク、課題は捨てましょう


    • どんな状況でも何割かはあると思います。部屋の片づけと一緒で、今は使わないけど取っておいた方が役立ちそうだなと思うものは大抵使いません。思い切りましょう

    • ただし、捨てるタスクの選び方はポリシーが必要です。中でも、プロジェクト目的の達成上必要かどうか、というのが最も重要な判断軸になると思います



  • タスク粒度を見直しましょう


    • 進捗が悪くなってきたり難しいフェーズになったりすると、タスクや課題の粒度が荒くなっていくことが多いと思います。WBSにふわっとしたタスクが増えてきたら要注意です

    • 完了イメージを付けやすいレベルまでタスクは分解していきましょう

    • 分解することのメリットとして、個々のタスク消化のスピードがあがるというのがあります。タスクを消化している実感が持てるというのは、地味ですがプロジェクトチームの精神衛生上大切です



また、追い込まれると情報共有も雑になりやすくなりますが、


  • プロジェクトチーム内でのコミュニケーションを定期的にとる

  • 定期的に全体のタスクや課題を棚卸する

  • POを含む関係者と情報を共有する場を持つ

などは確実にやりましょう。こういう基本的なことを省力すると思わぬところで足をすくわれることになります。プロジェクトチーム内で「え、聞いてないんだけど」という状態になり、後ろから刺されることになります


3. 目標への修正ではなく、目標自体の修正も考えよう

ただ、どれだけ丁寧に進めたとしても、そもそも目指すべき目標が適切でなければ、当初思い描いたように進めることはできません。

プロジェクト当初に立てた目標を、納期もコストもピタッとおさめて着地させたらかっこいいですが、現実問題としてそんなにうまくいきません



  • 目標を達成するためにギリギリの努力をしながらも、一方、目標そのものを修正する冷静さと勇気を持つことが大事だと思います


    • 目標への修正ではなく、目標自体を修正する勇気も持ちましょう。自分のプライド、こだわりに引きずられてしまうことがないようにしましょう。



  • ただし、目的はブレてはいけないと思います。 そこを妥協したり見失ったりしてしまうと、プロジェクトが完遂したとしても得られるものがなくなってしまいます


4. 信念とこだわりを持とう

オーケストラの指揮者と一緒で、PMは演奏している個々人に代わることはできないが、一人ひとりの力を引出し、全体としての成果を左右する力があると思います。

そこで重要なのが、信念とこだわりだと思います


  • このプロジェクトを通じて誰のために何を成し遂げたいのか

  • たとえ手がかかったとしても、絶対に妥協してはいけないポイントは何なのか

時に自分さえも信じられなくなる時があると思いますが、信念とこだわりが崩れてしまったら意味がないと思います。プロジェクトチームとしての成果は、PMのこだわり以上にはならないと思います。勝手にクオリティがあがることはありません


5. 人間関係を把握しよう

残念ですが、PMだけが頑張ってもプロジェクトはうまくいきません。

プロジェクトチームをチームとして機能させ、外部要因を含めてうまく進めていく必要があります


  • 自分に自信があったり、人一倍熱意があると人間関係を軽視して正論でぶつかり、炎上することがあります


    • 正論上等、でもそれって自分が相手から言われて気持ちよく動けるもの?

    • 正論は頭がそれなりに良ければ誰でも思いつきます。ただ、現実の環境の中でその通りにできないからみんな苦労しています。その配慮を持ちましょう

    • それでも追うべき理想だという信念があるなら、思い切ってぶつけましょう



  • 組織は全て人で成り立っています。人と人との関係をしっかりと観察しておさえましょう


    • ポジションはないが力を持っている人、発言権の強い人が必ず組織にはいます。そういう人をおさえましょう



  • PMである自分が人と人の関係の結点になれるととても強い推進力が生まれます


    • ただし、板挟みになると苦労も大きいので距離感には気を付けましょう




6. リスクを把握しよう

プロジェクトには成功プロジェクトもあれば、失敗プロジェクトもあります

失敗には必ず原因があります。

そして、失敗するということは、リスクがあったということです


  • なので、プロジェクトを始めたら、事前にリスク一覧を作るのをオススメします


    • このプロジェクトが失敗するとしたら何がリスクになるか

    • 目的、コスト、スケジュール、クオリティを達成するうえでリスクとなるものが何か、を分解します

    • それを避けるためのタスクを明確化して進めていきます



  • プロジェクトのフェーズが変わったり、大きな方針変更があった後などはまたこの一覧を見直していきます


7. 全ての責任を自分が負うつもりでやろう

プロジェクトは通常業務とは別でチームが作られることが多いです。そのため、思うようにチームメンバーが動いてくれなかったり、指揮命令権がPMになく苦労したり、ということもあると思います

それでも、プロジェクトが失敗したらあなたの責任です


  • 最終責任がPOにもあったとしても、自分がすべての最終責任者だと思って進めたほうが実は精神衛生上楽です

  • ~のせいでうまくいかない、というネガティブな感情が生まれるのは自然です。でも、それで自分を正当化していると、新しい判断や行動のきっかけを失うことになります


最後に


  • PMは基本的に調整や意思決定が中心の仕事であり、責任も大きく、その割に報われないように感じることもあるかもしれません。また、特にスキルが身についたように思えずに自分のあり方に悩む方もいるかもしれません

  • ただ、新しい何かを生み出すということはすべてプロジェクトから生まれており、それをマネジメントする人は必ず必要です。そして、物事を変える、新しいものを作る、ということの最先端にいるのもPMだけです

  • ビジョンを持ち、信念を持って取り組めばPMは本当に楽しい仕事だと思います!

プロジェクトマネジメントについて実務面で全体がまとまっている本としては、アート・オブ・プロジェクトマネジメントがオススメです

明日は教育領域で先進的なアプリを次々に出しているCTO室のエンジニア @kentya6 の記事です。お楽しみに!