GPT-5 日本語プロンプト最適化ガイド
目次
- はじめに
- 1. エージェント的ワークフローの予測性を高める
- 2. コード性能を最大化する
- 3. 指示従順性を高める
- 4. 出力フォーマットと制御
- 5. メタプロンプトで自己改善
- 6. 日本語プロンプトのチェックリスト
- まとめ
はじめに
GPT-5は日本語でも高精度な応答を返せますが、公式のプロンプトガイドは英語を前提として書かれています。
そのため、日本語でプロンプトを投げる場合には、曖昧さの排除や英語とのハイブリッド指定といった工夫が必要です。
この記事では、以下の公式ガイドの考え方をベースに、日本語プロンプトに最適化した形でまとめます。
1. エージェント的ワークフローの予測性を高める
基本方針
- 日本語でも「目的」「手順」「制約」を明確にする。
- あいまい語(例:「適当に」「だいたい」「良い感じに」)は避け、数値や条件を具体的に示す。
- 技術用語や固有名詞は英語のまま使う(例:Next.js、API、fetch)。
設定例
目的:○○を達成する
条件:最大3回まで調査、ツール呼び出しは合計2回まで
出力:Markdown形式、見出し付き
reasoning_effort とは?
reasoning_effort
は、GPT-5のAPIで指定できる**「推論にどれだけ労力をかけるか」**を制御するパラメータです。
簡単に言えば、モデルの思考の深さや粘り強さを調整できるスイッチです。
値 | モデルの挙動 | 向いているケース |
---|---|---|
"low" |
浅く考えてすぐに答える。推論は最小限。 | 簡単な質問、短時間で答えたいケース |
"medium" (デフォルト) |
標準的な推論量。精度と速度のバランス。 | 一般的なQ&Aや説明 |
"high" |
多角的に検討し粘り強く答える。時間とトークンを多く消費。 | 難問、複雑な設計、バグ調査、計画立案 |
日本語プロンプトでの使い分け例
- すばやい応答(low)
reasoning_effort: "low"
質問:JavaScriptで配列を昇順に並べ替える簡単な関数を作ってください。
- 標準(medium)
reasoning_effort: "medium"
質問:JavaScriptで配列を昇順に並べ替える関数を作り、動作の仕組みを解説してください。
- 粘り強く探索(high)
reasoning_effort: "high"
質問:JavaScriptで配列を昇順に並べ替える方法を複数提案し、それぞれの計算量と特徴を比較してください。
注意:
high
にすると精度は上がる反面、処理時間・トークン消費が増えます。ChatGPTのUIでは直接設定できませんが、APIや一部統合ツールで利用可能です。
reasoning_effort の使い分け(プロンプト内で指示する場合)
APIパラメータを使わない場合でも、プロンプト内で「簡潔に」「全ての可能性を検討」などの言葉を入れることで同様の効果を狙えます。
-
効率重視 → 「簡潔に」「結論を先に」などを明記
例:「最大5文で」「3つ以内にまとめてください」 - 粘り強さ重視 → 「全ての可能性を調べ、理由も記述」「解決するまで手順を続ける」などを明記
2. コード性能を最大化する
ポイント
- コードは必ず英語(構文、変数名、ライブラリ名は翻訳しない)。
- 日本語で背景説明 → 英語でコード指定、という流れが安定。
- 大規模コードや複数ファイルの場合は、「1ファイルずつ」「段階的に」などの制約を入れる。
日本語+英語のハイブリッド例
以下の仕様でReactコンポーネントを作成してください。
- 条件:Tailwind CSSを使用
- 状態管理:useState
- イベント:クリックでカウントを増加
Please output the complete code in one block, without explanations, in JavaScript.
3. 指示従順性を高める
明確化ルール
-
文章構造を整える
- 箇条書き(- または 1.)を活用
- 各条件は1文で完結
-
不要な敬語を省く
- 「〜していただけますでしょうか?」 → 「〜してください」
-
出力形式を必ず指定
- 例:「表で」「JSONで」「Markdownのコードブロックで」
例
次の3項目を表形式で示してください:
- 項目名
- 説明
- 優先度(高・中・低)
出力はMarkdownの表形式にしてください。
4. 出力フォーマットと制御
- 日本語の説明文+英語で形式指定が安定。
- 「コードは説明なし」「表はヘッダー付き」など条件を細かく記載。
- Markdown記法を明示的に指示。
良い例
下記の仕様を満たす関数を作成してください。
- JavaScript
- 入力は配列
- 出力は昇順にソートされた配列
Please output only the code inside a single ```javascript block, without any additional text.
5. メタプロンプトで自己改善
- 日本語で依頼しつつ、改善提案の指示は英語で行うと再現性が高い。
例:
上記の応答が期待と異なる場合、
Suggest minimal prompt improvements in Japanese.
6. 日本語プロンプトのチェックリスト
- 目的は一文で明確か?
- 技術用語は英語のままか?
- あいまいな表現を避けたか?
- 出力形式を指定したか?
- 段階的手順や回数制限を明記したか?
- 必要に応じて英語の制御文を加えたか?
まとめ
- GPT-5は日本語でも高い性能を発揮しますが、曖昧さをなくし、技術用語を英語のままにすることで再現性が高まります。
- 説明部分は日本語、制御部分は英語というハイブリッド指定が特に有効です。
- 本ガイドを使えば、公式英語ガイドの原則を日本語利用でも最大限活かせます。