GPT-5時代、人間の差はこう出る──本質理解が生む成果の違い
ChatGPT-5は確かに進化しています。
しかし、同じGPT-5を使っていても、成果に天と地ほどの差が出ることがあります。
それを決めるのは、スキルや才能よりも 本質理解の有無 です。
ここでは、実際に現場で見た自分の体験も踏まえてその差を紹介します。
目次
本質理解がある人の共通点
本質理解とは、単にエラーを読める・コードを書けるだけではありません。
下の表は、JavaScriptを例に、本質理解のある人とそうでない人の違いをまとめたものです。
観点 | 本質理解がある人 | 表面的な理解の人 |
---|---|---|
選定理由の説明 | なぜその機能をJSで実装するのか、要件や制約に沿って説明できる | 「JSでやると便利だから」程度の感覚 |
仕様・背景知識 | 書き方の背後にある仕様や歴史的経緯を把握している(例:アロー関数の使いどころ、defer の効果) |
書き方だけを暗記している |
原因究明力 | 予期せぬ挙動でも原因を根から説明できる(実装時に原因箇所が頭に浮かぶ) | 動作が止まれば修正できるが、根本原因は説明できない |
このレベルの理解があれば、AIを単なるツールではなく指揮者として動かすことができます。
逆にこれがなければ、どれだけ高性能なAIを使っても凡庸な結果に終わります。
同じエラーでも、結果はこう変わる
悪いプロンプト例
エラー 原因
結果例
- AIの回答はエラー内容の説明のみ
- 実際の原因や修正コードは提示されず、解決に至らない
実用的なプロンプト例
こういう状況でこのエラーが発生しました。
環境はこれで、この部分の処理で発生していると考えています。
このエラーを解決する方法を調べられますか?
調べるまでで、他の変更はまだ一切しないでください。
結果例
- 原因の推定と修正方法を1〜2案提示
- 解決の方向性が見える
- 他の部分への不要な変更はほぼなし
完璧なプロンプト例(過剰気味かも)
次のエラーが発生しました。
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading 'foo')
ReferenceError: myVariable is not defined
発生状況:
- 実行環境:Node.js 20 / Windows 11
- 発生箇所:ユーザーログイン後のプロフィール更新処理
- 関連ライブラリ:express 4.18.2 / mongoose 7.0.3
- 再現条件:新規ユーザー登録直後にプロフィール編集画面からメールアドレスを変更
私の推測:
- fooはuser.profile内で未定義のままアクセスされている可能性
- myVariableは別関数スコープで宣言されているが、非同期処理の順序の影響で未定義になる可能性
依頼内容:
- 上記の推測が正しいか確認
- 修正方針を3つ提案
- 他の仕様や処理には一切手を加えず、エラー箇所のみに限定して修正案を提示
結果例
- 原因の特定と修正案3つを即提示
- 修正コードは環境に合わせて最適化済み
- 実装すればそのまま解決できる精度
精度を上げるためのプロンプト設計術
生成AIに高精度で答えさせるには、単に情報を詰め込むだけでは不十分です。実際に試して効果があった方法を2つ紹介します。
-
「しないでください」をあえて入れる
何でもやってしまうAIに対し、あえて「〇〇はしないでください」と明示すると、不要な改変を防ぎ、回答精度が上がります。 -
わざと間違った表現や表記で投げる
一部に意図的な誤りや曖昧さを混ぜて投げることで、AIがどれだけ正確に補正してくるかを確認できます。これにより、AIの修正力・突っ込み力をその場で把握し、自分に合ったプロンプトの粒度を探れます。
AIが相棒に変わった瞬間
私がSPAのWEBアプリを個人開発したとき、それを強く実感しました。
- アイデアが爆速で形になる
- 公開後、多くの人から称賛
- AIなしでは絶対に間に合わなかったスピード
気づけば夜中までキーボードを叩き、「あ、もうこんな時間か」となってしまう。
「どう指示すればもっと面白くなるか」を試すのが、今でもやめられないくらい楽しいのです。
同じGPT-5でも成果はこう変わる
項目 | 使いこなせていない人 | プロンプト力の高い人 |
---|---|---|
プロンプト例 | 「チャット機能作って」 | Vue3+Firebaseで認証済ユーザー同士がDMできるチャット機能を作りたい。未読数バッジ必須 |
出力結果 | サンプルコードのみ。仕様に合わず使えない | Firestore構造・認証連携・リアルタイム更新まで揃った完成品 |
開発スピード | 何度も修正依頼しても進まない | 一発目から高精度で完成 |
結び
今回のやり取りを通して確信したことは2つです。
- GPT-5は確実に進化している
- しかし、進化すべきはAIだけではない
おそらくこの先、勝ち残るのはプロのAIエンジニアです。
GPT-5を本当に使いこなせる人と、表面的にしか扱えない人の差はこれからさらに広がるでしょう。
だから、今のうちにAIを動かす力を鍛えることが必要です。
生成AIは単純な魔法の杖ではありません。
振る人によって、魔法の威力は格段に変わるのです。