はじめに
QGISには、SAGA GIS(System for Automated Geoscientific Analyses)というオープンソースのGISソフトウェアが同梱されています。SAGAには、地形や水文解析に関する様々なツールが含まれており、データ解析の場面で何かと使用したい場面があるでしょう。
しかしながら、ここ最近のQGISのバージョンでは、QGISとSAGAのバージョン間の互換性の問題から、SAGAのプロセシングがうまく動作できない状況となっていました。
そして、QGIS 3.30以降、SAGAツールはプロセシングツールボックスから削除されています。
QGIS3.30 Changelog - 機能: QGISインストールからメンテナンスされていないSAGAプロバイダを削除する
そのため、この記事では、QGIS3.28以降でSAGAのプロセシングを使用する手順について紹介します。
QGIS3.28の場合
Saga NextGen Providerのインストール
QGIS3.28では、SAGA7.82がインストールされています。
そのため、プラグインリポジトリより「Processing Saga NextGen Provider」プラグインをインストールすることでSAGAの利用が可能です。
プラグインをインストールするとプロセシングツールボックスに「SAGA Next Gen」が追加されています。ここから各種ツールを実行することが可能です。
SAGAの実行
では、SAGAが適切に実行できるのかを確認するために、国土数値情報からダウンロードした地価公示データを使用して、内挿ツールである「Natural neighbour」を実行してみます。
結果を確認してみると、適切にSAGAが実行されているようです。
なお、プロセシングのログを確認してみると、実行画面にProblem with SAGA installation: unsupported SAGA version (found: 7.8.2, required: >=9.1.)
とメッセージが表示されています。これは、QGIS3.28にインストールされているSAGAのバージョンが7.82と古いため、表示されているものです。
QGIS3.30以降の場合
SAGAのインストール
上述の通り、QGIS3.30以降ではSAGAがデフォルトでインストールされていないので、各自でSAGAをインストールする必要があります。
Using SAGA tools in QGIS 3.30 or newer on Windows
上記の動画では、OSGeo4W Setupからのインストール手順が紹介されていますが、私の環境ではこの手順でうまくインストールできなかったため、下記サイトよりSAGAのZipファイルをダウンロードします。
ここでは、saga_7.9.1_x64.zip
をダウンロードしました。
SAGA GIS - Browse /SAGA - 7 at SourceForge.net
解凍したファイルを、適当な場所に格納します。
Saga NextGen Providerのインストールおよび設定
QGISを起動して、上述の手順で「Processing Saga NextGen Provider」プラグインをインストールします。
次に、プロセシングツールボックスのオプションを開きます。
設定から、プロバイダ>SAGANGを開き、SAGA folderのパスに、先ほどダウンロードしたSAGAが格納されているパスを設定します。
SAGAのツールの実行
同様に、「Natural neighbour」を実行してみます。
こちらも無事にSAGAが適切に実行できていることが確認できました。