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「上位N」を動的に切り替える。Tableauのセットとパラメータを使った実践的分析

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Tableauでダッシュボードを作成し、関係者に共有した際、「このグラフの上位10社だけでなく、上位20社でも傾向を見たい」といった追加のリクエストを受け、レポートを修正した経験はないでしょうか。

分析の視点を少し変えるたびにレポートを修正するのは、作成者にとって大きな負担となります。
このような要望に対して、閲覧者自身が条件を柔軟に変更できるインタラクティブなダッシュボードを、Tableauのセットとパラメータの組み合わせで作成する方法を解説します。


作成するダッシュボードの概要

みなさんご存知、サンプルスーパーストアのデータを使用し、「売上上位N社の顧客」と「それ以外の顧客」の購買行動を比較するダッシュボードを作成します。
閲覧者はスライダーを操作することで、「N」の値を任意に変更し、リアルタイムで分析の対象を切り替えることが可能です。


Step 1: 条件を操作する「パラメータ」の作成

はじめに、ユーザーが「上位何位まで」という数値を入力・操作するためのパラメータを作成します。

  1. データペインの空白部分を右クリックし、「パラメータの作成」を選択します
  2. 表示されるダイアログで、以下の通り設定します
    • 名前: 上位N
    • データ型: 整数
    • 許容値: 範囲
    • 範囲:
      • 最小値: 5
      • 最大値: 100
      • ステップサイズ: 5
  3. 「OK」をクリックして作成します

スクリーンショット 2025-08-21 0.21.22.png

データペインに作成されたパラメータ上位Nを右クリックし、「パラメータの表示」を選択すると、画面右側に操作用のスライダーが表示されます。この時点では、スライダーを操作してもビューに変化はありません。


Step 2: パラメータと連動する「動的セット」の作成

次に、作成したパラメータと連動する動的セットを作成します。これが今回の分析の中核となります。

  1. データペインのディメンションから「顧客名」を右クリックし、「作成」 > 「セット...」を選択します
  2. セットの作成画面で、名前を「上位N顧客」とします
  3. 「上位」タブに切り替えます
  4. 「フィールド別」を選択し、以下のように設定します
    • 最初のプルダウン: 上位
    • 次の入力欄: プルダウンから、Step 1で作成したパラメータ 上位N を選択します
    • 最後のプルダウン: 売上 / 合計
  5. 「OK」をクリックして作成します

スクリーンショット 2025-08-21 0.22.57.png

このセットは、「売上の合計が、パラメータ上位Nで指定された順位までの顧客」という条件で定義されます。パラメータの値が変更されると、セットに属するメンバーも動的に再計算される仕組みです。


Step 3: 分析用のビュー(ワークシート)を作成する

パラメータとセットの準備ができたら、これらを活用してワークシートを作成していきましょう。
ここでは3つの分析例を紹介します。

3-1. サブカテゴリ別売上(積み上げ棒グラフ)

まず、上位顧客とその他の顧客がどの製品を購入しているかを比較するビューを作成します。

  1. 新しいワークシートを開き、名前を「サブカテゴリ別売上」とします
  2. 「サブカテゴリ」を行シェルフに配置します
  3. 「売上」を列シェルフに配置します
  4. Step 2で作成したセット上位N顧客を、マークカードの「色」にドラッグ&ドロップします
  5. これにより、「上位N顧客(セット内)」と「その他の顧客(セット外)」で色分けされた積み上げ棒グラフが作成されます

スクリーンショット 2025-08-21 0.41.20.png

3-2. 上位顧客の利益率分析(散布図)

次に、上位顧客がもたらす「売上」と「利益率」の関係性を可視化してみましょう。売上は高いものの、利益率が低い顧客ばかり、という可能性も考えられます。

  1. 新しいワーク-シートを開き、名前を「上位顧客利益率分析」とします
  2. 「売上」を列シェルフに配置します
  3. 「利益」を行シェルフに配置します
  4. 「顧客名」をマークカードの「詳細」にドラッグ&ドロップします。これで、顧客一人ひとりが点として表現された散布図ができます
  5. セット上位N顧客をマークカードの「色」にドラッグ&ドロップします

スクリーンショット 2025-08-21 0.41.50.png

このビューにより、パラメータで指定した上位顧客(セット内)が、全体のどの位置にプロットされるのかが一目瞭-然となります。
パラメータの「N」の値を変更すると、色が変わる点の数が増減し、上位顧客の範囲がどのように変動するかを視覚的に確認できます。

3-3. 上位顧客による売上貢献度の推移(エリアチャート)

最後に、上位顧客の売上が、時系列でどのように推移してきたかを見てみましょう。
全体の売上に占める上位顧客の割合が時とともに増えているのか、それとも減っているのか、といった傾向を捉えることができます。

  1. 新しいワークシートを開き、名前を「上位顧客売上貢献度推移」とします
  2. 「オーダー日」を列シェルフに配置し、右クリックして「月(連続)」を選択します
  3. 「売上」を行シェルフに配置します
  4. セット上位N顧客をマークカードの「色」にドラッグ&ドロップします
  5. マークカードのプルダウンを「自動」から「エリア」に変更します
  6. 行シェルフの「合計(売上)」ピルを右クリックし、「簡易表計算」 > 「合計に対する割合」を選択します
  7. 再度同じピルを右クリックし、「次を使用して計算」 > 「表(下)」を選択します

スクリーンショット 2025-08-21 0.46.13.png

これで、全体の売上に占める上位顧客とその他の顧客の売上構成比が、時系列でどのように変化したかを示す100%積み上げエリアチャートが完成します。


まとめ

このように、セットとパラメータを組み合わせることで、静的なレポートからインタラクティブな分析ツールへとダッシュボードの価値を高めることができます。

今回のような売上上位の分析だけでなく、利益率や購入頻度など、様々な指標やディメンションに応用可能です。
ぜひご自身の業務データでこの手法を試してみてください。

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