柔らか層本 第4章にデータ移行方法について紹介されていますが、Power Systems Virtual Server (以降 Power VS) の場合にどのような考慮点があるのかをまとめてみました。
https://ibm.ent.box.com/v/ibmcloud-yawaraka
前提として、柔らか層本 第3章 (3-6) でPower VS のネットワーク接続について理解しているものとします。(Power VSのネットワークは、Classic Infrastructure と呼ばれるIBM Cloud のネットワークとは異なるネットワークセグメントにあります。パブリック接続、プライベート接続、それぞれの接続パターンが柔らか層本で図解されています。)
初期データ移行には、大きく分けてネットワーク転送とデバイスを利用した物理輸送があり、それぞれに2つの方法があります。各4つの方法におけるPower VSの考慮点についてみていきます。
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ネットワーク転送
1-1. Public側から、インターネット/VPN経由
1-2. Private側から、専用線(Direct Link) 経由 -
デバイスを利用した物理輸送
2-1. IBM Data Transfer Service (DTS)
2-2. Mass Data Migration (MDM)
#1. ネットワーク転送
##1-1. Public側から、インターネット/VPN経由
お客様サイトから インターネット/VPN経由でIBM Cloud Object Storage (ICOS) にデータをアップロードしてデータ転送を行う方法です。高速転送Asperaを無償利用することができます。
###Power VS における考慮点
お客様サイトからICOSにデータをアップロードするところまでは同じです。ICOSに上げたデータをPower VSから読み取る際は、Classic Infrastructure 経由となります。Power VSとClassic Infrastructure の間の無料Direct Link Conncectを設定した上で、Classic Infrastructure にリバース・プロキシ、あるいはNAT機能が必要となります。
##1-2. Private側から、専用線(Direct Link) 経由
あらかじめ専用線(Direct Link)を接続し、それを利用してデータ転送を行う方法です。
###Power VS における考慮点
お客様サイトとClassic Infrastructure の間のDirect Linkは通常通り有償です。Classic Infrastructure と Power Systems VS の間は無料のDirect Link Connect をご利用頂くことができ、設定が必要です。Classic Infrastructure にリバース・プロキシ、あるいはNATを構成する事により、お客様サイトから Power VS にデータ転送が可能となります。
※ 2021年5月: 大阪はMegaport を利用してPower VSのネットワークセグメントに直接専用線接続できるようになりました。(東京は未だです。)
#2. デバイスを利用した物理輸送
##2-1. IBM Data Transfer Service (DTS)
お客様デバイスをデータセンターに送付/持ち込み、IBM Cloud側でDTSラックに格納しセッティングすることにより、Classic Infrastructure のベアメタル・サーバーからデバイスをiSCSI マウントできるようになります。
###Power VS における考慮点
デバイスはClassic Infrastructure 側のネットワークに接続され(※)、ベアメタル・サーバーからiSCSI マウントできます。Classic Infrastructure と Power VS の間は無料Direct Link Connect をご利用頂くことができ、設定をした上でPower VSからベアメタル・サーバーにマウントしたデバイスにアクセスできるようになります。
※ デバイスの直接Power VSネットワークへの接続は未対応です。また、DTS のデバイスを直接Power VSにiSCSI マウントすることもできません。
##2-2. Mass Data Migration (MDM)
大容量データをセキュアに保存する専用デバイスをIBM Cloud からお客様サイトに送付し、返送いただく方法です。これにより、テラバイト〜ペタバイト級のデータを IBM Cloud Object Storage に安全に移動することができます。
###Power VS における考慮点
ICOSへのデータ移行は上記の通りです。ICOSに上げたデータをPower VSから読み取る際は、Classic Infrastructure 経由となります。Power VSとClassic Infrastructure の間の無料Direct Link Conncectを設定した上で、Classic Infrastructure にリバース・プロキシ、あるいはNAT機能が必要となります。
#まとめ
ネットワーク接続を把握できれば、Power VSでもx86系と同様に初期データ移行できることが分かりますね。