はじめに
この記事はスタンバイ Advent Calendar 2024の23日目の記事です。
私はSearch Quality(SQ)として、スタンバイの検索品質を向上させるための分析・評価/改善提案業務等を日夜行っています。SQというロールはかなり珍しく、だからこそ組織課題も尽きません。そのことを書こうと思ったものの、私のスタンバイ歴が浅いため記事化はまだ時期尚早と見ます。
とはいえ、なかなか書く機会もないアドベントカレンダー。せっかくなので、私のもう一つの顔であるGallup認定ストレングスコーチとして社内活動していく中で得た知見を今回はまとめてみます。
ストレングスファインダーとは
ストレングスファインダーはアメリカの調査会社であるGallupが開発したアセスメントツールです。177問のテストに答えることで、その人の優れた才能を可視化してくれます。この手のツールとしては珍しくtoB向けではないのが特徴的で、一般個人がオンラインでいつでもどこでも受けられます1。
正式には「クリフトンストレングス」という名称2で……という通り一辺倒の説明は、タイトルを見てこの記事に興味を持ってくださるような方には不要でしょう。日経BP社の書籍「さあ、才能に目覚めよう」であったり、Gallupのサイトに詳しい説明が載っていますから、ここでの説明は端折ります。
Gallup認定ストレングスコーチとは
Gallup認定ストレングスコーチは、ストレングスファインダーを用いたコーチングを行うコーチです。
Gallupが開催している研修を受け、テストに合格するとなれますが、別にこの資格がなくともストレングスコーチングは行えます。ただし、野良コーチの場合はGallupから提供を受けられる教本等の公的な情報に触れられないため、専門的な知識は薄い可能性があります。
私は2015年に研修を受けて認定コーチとなり、そこから9年間くらいやっているわけですが、専業ではなく所属する企業の中で活動することが専らです。
私のような事業会社に属する認定コーチは、基本的にはメインのロールの傍ら、ストレングスファインダーを用いた「何か」を依頼ベースで行う機会が多いかと思います。私もご多分に漏れず、基本はメインの業務に従事しつつ、「どうもアイツは認定コーチらしい」という風の噂を聞きつけた相談者からの依頼の後、能力開発や組織開発のお手伝いをすることがほとんどです。
ストレングスファインダーは銀の弾丸ではない、と言い続ける
事業会社の中でコーチ活動を行う際のあるあるなのですが、まずやるミッションとして「銀の弾丸ではありません」とひたすら言い続けることがあります。
ストレングスファインダーは強みを可視化してくれます3。そのため、個の強みが活きる組織を作りたいと願う企業側が、銀の弾丸的な期待値を持ってしまい、ストレングスファインダーを安易に導入しがちなんですね。
しかしながら、ストレングスファインダーはツールなので、自発的に使わない限りは機能しません。資質という情報を足がかりに自分の気質や特性を知り、それがもっと良い結果を生み出すための創意工夫をする。この能力開発の取り組みなくして、ストレングスファインダーは効果を発揮しません。そして、即効性がなく時間がかかる上に、わかりやすくなにかの数値が上昇するわけでもないです4。
何でもそうですが、この期待値コントロールをしくじるとうまくいきません。上げすぎても下げすぎてもいけない。「銀の弾丸ではありません」と言い続けて期待値を挫きつつ、できることをお伝えして事実と期待のバランスをとっていく。社内コーチの初めの役割としてこれは大事なことと思います。
ストレングスファインダーの組織への導入
社内コーチとして何をやっていくにしても重要なのは、どのように導入するかです。ストレングスファインダーを活用しようとしている組織が以下のどちらかに該当するかで、当然動きも変わってきます。
- すでにストレングスファインダーが導入されている
- まだストレングスファインダーが導入されていない
すでに組織に導入されている場合は、どのようにリブートしていくかを考えるだけなので、初動の煩雑さは皆無です。なぜ導入されたのか、そして現場ではどのような扱いになっているのかといったASISをまずは調査し、必要であれば整合性をとっていきます。ただ、現場での忌避感が強くなっている場合、ミッション・ビジョンや課題に対してどのようにストレングスファインダーの利活用を接続するかが重要な課題となるので、初期設計も含めて立ち回りの難易度はぐっと高くなります。
後者の場合、もうすでに導入が決まっているのであれば受講まわりのロジスティクスをまずは担うことになります。対象者の選定に始まり、トップ5だけなのか全34資質出すのかを決め、その上でコードを手配し、受講してもらうための案内を出し、結果を集めてまとめるといった一連の作業が発生する。ミッション・ビジョンや課題に対してストレングスファインダーの利活用が接続されていない場合はそこも補強するとよいでしょう。
導入が決まっているわけではないが、自分がよいと思ってストレングスファインダーを組織に広めたいという場合は、ボトムアップ的に拡散してその効果を示していき、上に働きかけるという手法が有効でしょう。エモく騒ぐわけです。自分を含む周囲を盛り上げることで、他チームや上位レイヤーにも興味をもってもらい、草の根的に広げていく。
ちなみに、導入時は割とコストかかります。これは物理的なお金と人の時間の双方においてです。
- 人数分のアクセスコード(人数×コード代金)
- 受講者のコスト(人数×40分)
人数分のアクセスコードは「さあ、才能に目覚めよう」という本か、Gallupのサイトで購入できるアクセスコードを人数分用意します5。
受講者が使う時間もなかなかのものです。仮に50人対象者がいたとして、50人×40分6で33時間は使う計算になります。
コーチ活動は具体的に何をする?
私の場合、個人に対しては自己理解を深めるためのコーチングセッションを、組織に対しては他者理解を深めるためのチームビルディングのプログラム7を提供することがほとんどです。そして、これをなるべく定期的に提供するよう心がけています。
というのは、ストレングスファインダーは意識して使わなくても、基本的に今の状況に対してマイナスの影響を与えないからです。つまり、使わなくても困ることがありません。筋トレと一緒なんです。筋肉はつけたほうがいいのが間違いないが、でも筋肉をつけなくても日常の生活を送れてしまうからわかっていても筋トレをやらない。
なので、定期的なアプローチによって、意識する機会を作り、そこで気づきを得てもらって利活用につなげてもらう。そんな動きになるようにしています。
結びに
最後にちょっと今お世話になっている会社の話をします。
スタンバイでもコーチ活動をしている私なんですが、Gallup認定ストレングスコーチの役割も込みで入社したわけでは実はありません。面接で一切それをウリにしたこともなかったと思います。
しかし、スタンバイという会社は、入社してそれほど時間が経っていない私にSQのロールに加えて認定コーチの役割を付帯し、すでに社内に導入されていたストレングスファインダーの本格的な利活用に動くことになります。
規模的に生半可な関わり方ではできず、コストもかかります。それをまだどこの馬の骨ともわからない人間に……つくづくとんでもないなあと思っています。正気の沙汰ではありません。たまたま自分だったとは思うんですけども、社歴があろうがなかろうが、人を信頼して任せきることをしたわけです。なかなか、会社としてできる芸当ではないと思います。
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ただし有料です ↩
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ストレングスファインダーの方が馴染みが深いと思うので、本記事中ではストレングスファインダーに表現を統一します ↩
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Gallupの定義的にはやや誤っており、わかりやすさ重視の表現です。詳しくはこちらのページをご覧になることをおすすめします ↩
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強みに基づく能力開発によってパフォーマンスとエンゲージメントの向上が狙えますが、特定のスコアがわかりやすく短期で上昇することは稀と思います ↩
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本とGallupのサイトで購入できるアクセスコードでいうと本の方が安いです(Gallupのサイトで購入する際は認定コーチだけが使える割引があるのですが、ここ数年価格が上がり続けており本とそれほど変わらない状態になりました)。ただ、本のコードではトップ5までしか出せないため、34資質すべてを出すにはどちらにせよGallupのサイトで購入する必要があります ↩
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この40分というのは受講にかかる目安の時間です。ただし、アカウントを作成するところからスタートするので、それも含めるとなんだかんだで50分くらいは見ておいた方がいいかもしれません ↩
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このプログラム内容を聞かれることが多いのですが、同業者向けに説明するとジャーナルにある「Best of US」を下敷きにしたものをここ最近は行っています。とはいえ、行う時期や対象の課題を踏まえた設計にするので割と流動性は高いです ↩