先日、テスト設計書のフォーマットについて考えていたとき、ふと「英語圏ではどのようなフォーマットで、どのような項目名でテストが書かれるのだろう?」というのが気になり、テスト関連の英文記事を読んでいました。
その際に、たまたま面白い記事があったので紹介しようと思います。
ペンに対するテストを書いて、テストについて学ぼう! という記事です。
どうもテストエンジニアの面接において、提示されたものに対してどのようなテストが考えられるか、というのを問われることがあるそうで。
自分は海外でテストエンジニアの面接を受けたことがないので実態は分かりませんが、ともあれ面白い話だなと思いました。
我々QAあるいはテストエンジニアの多くは、基本的にはソフトウェアに対してテストを行なっています。しかし普段扱っているテスト対象から遠く離れることで、テストというものがどのようなものかについて、より純粋に考えられるようになるのではないでしょうか。
そんなわけで、上記の記事内容について簡単にご紹介したいと思います。
紹介許可を取っているわけではないので、全文翻訳はせず、意訳によるざっくりとした紹介に留めておきます。
詳しく知りたい方は上のURLから読んでみてください。
Test Cases for Pen
ペンのテストを以下のようにテストタイプを分けて書かれています。
- ペンのUIテスト
- ペンの機能テスト
- ペンの異常系テスト
- ペンの性能テスト
以下、それぞれのテストタイプで書かれているテストを紹介していきます。
ペンのUIテスト
- ペンの長さと直径が仕様通りであることの確認
- ペンのボディが要求仕様で指定された金属、プラスチック、その他の材質で作られていることの確認
- ペンのボディの色が仕様通りであることの確認
- ペンのボディに製造会社の企業名、ロゴがはっきりと見えることの確認
ペンの機能テスト
- ユーザーがさまざまな種類の紙にはっきりと書けることの確認
- ペンの重さが仕様通りであることの確認
- 文字を書いたときのペンのインクの匂いの確認
- 紙やゴムの表面など、紙以外のものに文字を書けることの確認
- ペンを逆さまにしたときにインクが漏れないことの確認
- ペンで書かれた文字が、仕様に記載された時間内に消えないことの確認
- ペンが複数の替え芯をサポートできるかどうかの確認
ペンの異常系テスト
- 超高温、または超低温環境下でのペンの機能の確認
- 無重力状態でのペンの機能の確認
- 極度の圧力を加えてペンの機能の確認
- ユーザーが逆さまにペンを使用して書くことができるかどうかの確認
- ユーザーがガラス、プラスチック、木材などのサポートされていない表面に書き込もうとしたときのペンの機能の確認
ペンの性能テスト
- ユーザーがサポートされている表面上でペンを使用してどれだけ速く書くことができるかの確認
- 1本の替え芯でユーザーが書ける文字数の確認
なるほど、ペンに対してテストタイプが適用されているのはなんだか面白いですが、確かにこのように考えることもできそうです。
同様に、テストレベルみたいなものも想像できますね。製造におけるそれぞれの工程でのテストがあり、やはりというか当然ながら、より上流でテストを行なっていけるのが良いのだろうなあと月並みに思ったりします。
ソフトウェアではないもののテストを考えること
「Test cases for pen」と検索すると、ペンについてのテストを考えた記事が他にもたくさん出てきます。より詳細にテストを考えているサイトもありました。
さらに今回紹介したサイトにも、キーボードやドアのようなソフトウェアではないプロダクトから、病院の経営(!)のような物ですらないものについて書かれた簡単なテストが紹介されていて面白いです。
日本でも「政策」に対するテストを考える、というのをやってみた方がおられますね。
政府が昨年12月11日に発表した「こども未来戦略」案に対して、要件定義のレビューからテスト分析、テスト設計までを行うなど、今回紹介した記事より詳細なレベルでテストを考えていて大変面白かったので、こちらの記事も大変おすすめです。
「ソフトウェアテスト」という専門職、あるいは専門技術に馴染みがあると、ついついその範疇でものを考えてしまいます。
しかし「テスト」という言葉だけを聞けば、想像するのはどちらかというと、学校での学力試験なんかだったりします。本来的には、テストというものは何もソフトウェアに限ったものではなく、この世界のあらゆる場所で、さまざまな形で行われていて、もっと普遍的な活動のはずです。
たまには「ソフトウェアの」という冠を外して、「なんらかの価値を、なんらかの方法によって確かめる技術」としてテストのことを考えてみると、より理解が深まって良いなあと思いました。
面接での簡単な試験としても、こうしたお題は確かに良いかもしれませんね。日本でもこうしたお題が出されると良いんじゃないでしょうか。(とかいって、自分が面接でこれを訊かれたら絶対に嫌ですけど)