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新卒から8年間スタートアップにいた経営者が、上場企業の社員になってみて思ったこと5つ

Last updated at Posted at 2021-12-09

僕は新卒から8年間スタートアップにいました。
2013年から2017年までは、スタートアップにメンバーとして所属し、2017年からの4年間は、自分が代表として小さなベンチャー企業を経営してきました。
そして今は、クラウドワークスの社員として新規事業を作っています。
きっかけは、事業資金が底をつきそうになった時、ふとしたご縁で代表の吉田さんから声をかけてもらったことです。迷いもありましたが、最終的に入社を決めました。

上場企業であるクラウドワークスは、総勢200名ほど。5,6人で仕事していた僕にとっては大企業に入社したような気分でした。

小さなスタートアップから大きな組織体への就職。
僕がこのようにフォーマルに就職したのは、31歳にもなって今回が初めてです。これまでは「自分たちでやる」ということにこだわりがあり、他の誰かが経営する大きめの組織に所属することには長年ちょっとした抵抗感があったように思います。自分の個性が欲しかったのかもしれません。でも、「就職する」ということは僕が思っていたのと違いました。それはクラウドワークスだったからかもしれないし、どの組織にも一概に言えることかもしれません。そうした気づきを、アドベントカレンダーをきっかけにここに記録しておきます。

略歴

2013年 大学卒業

2013年 上京して日雇い労働とニート(起業して人生共有サイトを作りたかった)

2013年 人生共有サイトSTORYS.JPを運営していたレジュプレスに参画(現:コインチェック社)

2017年 STORYS.JP事業をコインチェック社から継承し、1010株式会社を設立
↓ 
2020年 コロナ禍をうけてオンライン飲み会サービス『たくのむ』をリリース

2021年 クラウドワークス入社、社長室所属、新規事業開発

詳細はこちら

誰を対象としているか

  • 挑戦を続けたいものの会社の経営が芳しくなく、就職しようかどうか迷っている経営者の方
  • 会社勤めの意義に疑問を感じ始めている会社員の方
  • スタートアップに挑戦したい会社員の方
  • 1人で仕事を続けるか、就職するか迷っているフリーランスの方

以上の人には、すこしはプラスになるかもしれません。
ならなかったらごめんなさい。

それでは、これまで小さなスタートアップをやってきた僕が上場企業に社員として入社して思ったことです。

1. 上場企業でも、スタートアップ感があった

いつも5人前後で働いていた僕にとって、クラウドワークスは大きな組織体でしたが、意外にもスタートアップな形ではじまりました。

僕が関わらせてもらったのは新規事業開発。本プロジェクトに関わるメンバーは3人で、代表の吉田さん、取締役の野村さん、僕でした。取締役の野村さんは、現在は広報やブランディング、カルチャーなどを統括するマネージャーですが、元々はクラウドワークス初期のプロダクトを全て一人で開発したエンジニア。僕もエンジニア、といっても、スキルセットはフロントとバックエンドを全体的に浅く触れるような感じで、野村さんのようなフルスタックエンジニアを100倍希釈して、申し訳程度にディレクターの要素を少し足したようなスキルセットです。つまり、チームにデザイナーはおらず、でもデザイナーをあてがう予算もないので、僕がデザイナーを兼務することに。デザインツールとして利用したFigmaもずっと無料プランで使い倒しました。(Figmaは偉大)

なんで上場企業なのに予算をかけなかったかというと、それは過去の失敗事例から学習した結果とのこと。

過去にあった新規事業では、最初から予算を大きく使って10人以上のチームを組成して開始したことで、結果が出る前に赤字が続いて終了となったことがあったそうです。でも、その後そのプロダクトで狙っていた市場がかなり盛り上がり、結果論で言えば機会損失になったとのことでした。

事業は、ニーズの検証やそのニーズを明快に解決するソリューションを構築するまでにやはり時間がかかるものです。作った新規事業に市場が追いついてくるまでに時間が必要となる場合もあります。

クラウドワークスには代表の吉田さんを筆頭に学習して向上していく文化が色濃くあり、上記の失敗を受けて力を入れたい新規事業も最初は我慢して小さく小さく始めることにしたそうです。小さく始めて、検証し、成果が出てきたら大きく投資をする。ケースバイケースでもあるでしょうが、そんなスタイルを大切にされるようになったとのことでした。

そうして始まったプロジェクト、
事業コンセプトを固めていく最初の頃は、土日も使ってオフィスや近くの貸し会議室に籠り、あれやこれやと話し合っていました。描くビジョンは、向こう何年も見据えた大きな絵。でも、現場はそのプロジェクトのために構成された少数のチーム、リソースも限られているから手弁当でみんなが必死に手を動かす。まさにスタートアップの立ち上げのような、”前夜感”がむんむんと漂っていました。

僕は勝手な想像で、上場企業なら予算をジャブジャブと使って新規事業を作っていくように思っていたのですが、会社によってはこうしてヒリヒリ感と疾走感をもって、汗をかきながら進んでいくんだなと思いました。

2. 全く経験したことがなかった事業の規模感と複雑性

そうとはいっても、やはり上場企業。目指している最終的な事業スケールや許容する事業構造の複雑性は高いです。それに気が重くなる時もありますが、今まで通り自分の会社を経営しているだけだと得られなかった貴重な経験だと考えています。

というのも、僕がこれまで自分の会社で扱ってきた事業は、どちらかというとアイディア勝負でした。リソースが少ない会社でもアイディア勝負で一本取れるようなサービス。オンライン飲み会サービス『たくのむ』は、合計3,4日ぐらいの時間でリリースして、1ヶ月後にはDAU30万人に到達しました。(※この後調子にのって痛い目を見ました。この話はまた別の機会に) 今では頼もしい仲間がビデオチャットのシステムを全て内製化してくれていますが、リリース初期の頃は外部apiを使ってビデオチャットシステムを提供しており、要はガワだけを当てていまいた。プログラミング初学者でも1ヶ月もあればラクに作れるようなサービスです。

僕は、無意識的に簡単に作れるサービスを狙っていたと思います。個人情報を取得したり、堅牢なセキュリティが求められるサービスを作りにいったりはしませんでした。例えば、膨大な種類の商品在庫を扱うECもそうです。複雑性が高く、システムエラーが致命的なユーザー体験の損失に繋がるような事業は今まで選んできませんでした。もちろん技術的にはそれが可能なメンバーが揃っていますが、だからこそ慎重にもなり、さらに僕以外のメンバーはダブルワーカーでしたので、自分たちのリソースキャパシティー的にそれらを避けていました。自分たちが扱いやすいような事業を無意識的に選択していたように思います。(キツくない部活を選ぶような感覚で)

ただ、今回入社したクラウドワークスは上場企業であり、そうではありませんでした。
これまで培ってきた組織としての磐石な体制基盤と豊富なリソースがあるために僕らが無意識的に避けていたような事業でも対応ができます。そのため、僕が担当を任された新規事業は、(その事業自体のコンセプトもあるけれど)僕が自分の会社で経営してきた事業とは性質が異なっていました。

ターゲットとするユーザーのボリュームも大きく、複雑なユースケースにも高度に対応するような要件でした。僕らが行ってきたようにアイディア勝負で短期間で作るようなものと違って、規模感のあるベンチャー企業が腰を据えてしっかりと時間をかけて行おうとしている事業。要求される社会的責任も違います。

もちろん、小さなスタートアップでも同様な性質のサービスに挑戦する企業はザラにいるので、単にこれは僕個人の癖だったんだと思いますが、多分自分の会社のままやってたら、こんなにも複雑性や社会的責任の大きなサービスは作らなかったと思います。

3. 社内にプロが多く、相談できるので成長しやすい

そんなチャレンジングな事業のPdMを任せてもらったはいいものの、その難解さから一時茫然自失として、恥ずかしながらプロジェクトを全然進められない時期もありました。今までの知見では全然歯が立たなかったというか、環境が変わり命題が難しくなったことで、ようやく自分の実力が試されたんだと思います。

ここで知恵を貸してくれたのが社内にいた優れたUX/UIデザイナーの方たちでした。その方たちは普段は社内で他のプロジェクトを担当しています。200人ほどの組織体だから、そうした方がいるんですね。こういうのも大きな企業のいいところだなと感じました。僕はデザイナー未経験だったので悩みの相談に乗ってもらったり、教えて導いてくれたり、UX5段階モデルを教わったりもしました。(UX5段階モデルも恥ずかしながら知りませんでした...)

(余談ですが)
*UX5段階モデルの説明は、Goodpatchさんの記事が参考になります
*いろいろググってるうちに見つけたはじめてのUIデザインも本当に助かりました(著者の方のご好意で100円で読めます。ありがたすぎる・・・。非デザイナーさんにも本当にオススメ)

あとは、CONCENTさんのデザイナーの勉強会にも参加して、こちらもかなり知見になりました。CONCENTさんのイベントは、社内Slackのデザイナーチャネルで回ってきました。こういう情報が自然に入ってくるのも組織に属するメリットだなと思います。

こうして相談に乗ってもらったり、他メンバーのおかげで知り得た情報をインプットしたりしながらデザインを作っていきました。さらには、自分が作ったデザインを社内のデザイナーの方に見ていただいてフィードバックしてもらったりと、非常に成長できました。

他にも、サービスの利用規約や会計構造についての正当性を法務や経理の方が入念にチェックしてくれたり、広報チームがPRをすべて担ってくれてメディアの方に心を乗せてアピールしてくれたり、こうした連携も感動でした。自分たちの会社では、なんでも自分たちでやるしかないので自分の専門分野でないことも模索して試しにやってみることが多かったのすが、クラウドワークスほどの組織体に属していると、やはりそれぞれの道のプロがいて、その人たちとのすり合わせながら進行していく中で高度な知見に触れられたり、自分にはなかった観点に気付いたり、そうした意味合いでは自分自身がより成長していけるなと感じました。

クラウドワークスはOne CrowdWorksという一致団結性をバリューの1つに置いていて、多分それもあって他の部署の方とも結構相談しやすいのかなとも思ったりします。

4. コミュニケーションの自由度が良くも悪くも違う

そうして、なんとか制作したものを実際に提案する訳ですが、その時も大変でした。僕の提案の仕方、コミュニケーションの仕方がイケてなくてボコボコになりました。コミュニケーションの取り方が雑すぎる、説明が不明瞭だと。

これまで自分の会社では余りそんな指摘を受けたことがなかったのですが、そうした指摘を厳しく受けてようやく、今まで僕は説明力のなさを会社のメンバーの読解力とやさしさにカバーしてもらっていたんだなと自覚しました。説明が理路整然としていなくても、多少冗長であっても、個性の範疇として許してもらっていたんだなと。

でも、数百人もメンバーがいる組織であれば組織が個人に合わせるのではなく、個人が組織に合わせ相手が誰であっても理解してもらえるような説明をすべきでした。当たり前すぎる話なんですが。

「提案は◯◯です。根拠はxxです。」 
端的に、明快に。

もちろん、小さなチームでもこれは求められるし、できている人はできていると思うんですが僕はできていなかったです。

性格が違う人間が数百人も集まって1つの物事を力を合わせて行っているので、
コミュニケーションのあるべき姿がより明確に存在する。
小さなチームで、僕は仲間が理解してくれることに甘えたコミュニケーションを取っていたんだなと思いました。僕の会社にはルールがなく、僕は自由でした。自由に甘えていたんだなと、そんな風に思いました。

5. 培われてきたカルチャー、行動指針が存在する

クラウドワークスには「カルチャーブック」というものがあります。
入社すると、代表の吉田さん直々に3時間ほどカルチャーブックの共有説明を受けます。

こちらがそのカルチャーブック

カルチャーブックとは
クラウドワークスという会社が、どんな思いを軸に、どんなことを目指しているのか。
そのために、どんな価値観を重視し、どんな行動を基本としているのか。
これらをまとめたものが、カルチャーブックです。

それぞれの想いを胸に、クラウドワークスという同じ会社に集まった多様なメンバーが、
会社を、事業を、ともに前へ進めていく。カルチャーブックが、その手助けになることを願っています。

これ驚きだったのが、このカルチャーブックは上層部がパパッと作ってトップダウンで現場に適用したものではなく、時間をかけて少しずつボトムアップ的に現場の声から構築されていったものということ。さらに、どんどん更新されていく性質を持っているということ。

例えば、クラウドワークスは創業以来ずっと「『働く』を通して、人々に笑顔を」というミッションステートメントを持っていました。社内に浸透して、みんなの合言葉になっているようでした。しかし昨今、「働く」が多様化し、人は必ずしも対価を得る行為を「働く」だと捉えていない側面があることを踏まえて、今年になってそのミッションを「個のためのインフラになる」と更新し、「『働く』を通して、人々に笑顔を」はバリューに変更しました。

時代の流れとともに、カルチャーは「らしさ」を保ったまま更新される。
言語化されたカルチャーを社員が改めて咀嚼し身にしていく。
そうした大きな流れがありました。

この他にもソリューションブックという、「良い仕事」を行うための行動規範を定義したものもあります。クラウドワークスが創業からの10年間を通じて、トライアンドエラーを重ねながら積み上げてきた、「いい仕事」をするための知恵を集約したものです。

僕はずっと小さなスタートアップに身を置いてきました。コインチェック時代にも本当に温かな上司に恵まれましたが、基本の合言葉は「ググろう」で、仕事におけるあるべき姿というものは自分なりに模索しながら仕事していたように思っています。それはそれで凄く良い経験となりましたが、

所属する組織体が歴史の中で培った知見を言語化して、社員に1つのこととして共有しているのは凄いなと思いました。

迷った時はここに立ち帰ればいいと、
知恵の集合体が言語化されているのは大きな安心感を与え、自分が仕事人として成長すべき方向を示してくれる。時に成長痛を感じながらも、僕は成長する機会を与えてもらっていると感じています。

最後に

以上、新卒から8年間スタートアップにいた自分が、上場企業の社員になってみて思ったこと5つを綴りました。
最後になりますが、クラウドワークスには経営陣と肩を並べて食事をしながら、いろいろぶっちゃけた質問ができる会があります。先月11月の末頃にその会があり、社員の質問に応じて、取締役の方が自らの課題感や目標、過去の失敗談や将来の展望を教えてくれました。そのとき僕の隣に代表の吉田さんがいて、さらっと

「清瀬はよく日報で、クラウドワークスは大きな企業で自分がやってきた会社では学べなかったことが学べるって書いてくれてるけど、うちの会社はまだまだ全然大きくないんだよ」と一言。

吉田さんのその言葉に自分はハッとしました。点でみれば、クラウドワークスは上場企業で総勢200人を超える規模、自分にとっては大きな会社でした。カルチャーも整っていて、優秀な人材も集まっている。完成された会社のように映っていたんですが、役員の方の視点にたてば10年前に始まった会社で、上場したとしてもまだまだ通過点なんだなと。試行錯誤をしながら、まだまだみんな、夢を見ているんだと思いました。

クラウドワークスに入社したことで、
僕は、僕の先を行く人たちの背中を見せてもらっているんだと思うようになりました。

正直言うと僕は入社してよかったのかなと思うこともありました。社長という立場でありながら就職したことは、苦しい環境下の中で、挑戦をし続けることが怖くなってしまったんじゃないかと。23歳の頃、失敗しても前へ倒れるような前のめりな生き方がしたいと思い、描いていた事業構想のため起業を決意し上京してきたのに、これでよかったのかなと思っていました。借金まみれでもいいから、就職せずに自分のやりたかったことをやりたいようにやるべきだったんじゃないかと思うこともあります。就職して株主やメンバーにも心配をかけたと思います。

でも、今の自分は1年前の自分より確実に成長していて、当時の自分ができなかったこと、見えていなかった景色があります。嗅覚もついたように思います。あと、クラウドワークスで自分が今関わっている事業は、自分が個人的に描いていた夢の1つにたしかに繋がってもいます。自分の会社の株主の方々やメンバーも応援してくれています。

「おれがクラウドワークスを創業した時も36歳だった。清瀬はまだ数年ある。数年して成長して、また挑戦したらいい」と吉田社長は言ってくださいました。 

ごく少ないメンバーの人件費もまともに稼ぐことができなかった僕と違って、
数百人もの人件費を捻出し、さらに利益をあげる。
会社の内部では各分野のプロが相互に連携しながら、
上場企業として社会との約束を果たすため、日々邁進している。
10年間の歴史があり、知名度もあり、利用者からの信頼もあり、その期待にも応え続けていく。
でも、まだまだ夢半ばで、その実現のために走っている。

この環境に身を置けたのは、僕にとってはチャンスだったと思っています。
この成長機会を生かすも殺すも自分次第なので、しっかりやり切って次のステージに繋げていきたいと思います。多様な働き方を受け入れてくれた、クラウドワークスに感謝しています。

起業は崖から飛び降りながら飛行機を組み立てるものだ、という言葉があります。
でも、僕は、バンジージャンプは命綱があるから飛び降りれるのだとも思います。

1人で0からの挑戦、全てをかける。
そうした言葉は格好いいですが、
大事なのは血を流すことではなく、生き延びて結果を出すことじゃないかと最近思います。

会社にいながら自分のやりたい事業を新たに始めてみたり、
自分の会社を経営しながら他の会社に身を置いて修行したり。
中途半端だと言われてしまうような働き方かもしれませんが、
僕はそれで、たしかに視野が広がりました。新しい人たちにも出逢えました。

働き方が多様化するこの世界です。
自分が一度選んだ選択肢やこだわりに縛られてしまって
心が詰まってしまっている方がいたら、
こうした選択肢もあります。
そんな方にこの記事が少しでも何かの足しになればうれしいです。

ということで、僕がクラウドワークスで作ってきた新サービス『PARK』がはじまりますので、ぜひ皆さんご登録いただけたら幸いです。(最後に宣伝w)

いろんな人がストーリーを持って生きています。一人一人が自分のストーリーに合った「はたらく」ができる、そんな世界への一歩になればと思っています。

12月31日まで申し込んでくださった方は、最低1年間 販売手数料無料になるキャンペーンも行ってます。まだまだこれからなサービスですが、頑張って参りますのでよろしくお願いします! 
追記: 2022年9月25日時点、すでにオープンされています! ぜひ利用なさってみてください

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