1.はじめに
初めまして、弁護士の前田です。現在データサイエンスや画像生成、文章や動画の編集まで生成AIの利用が様々なところで促進されています。
その一方で生成AIの利用が様々な場面で問題視されており、現在決まった実務上の解釈が一致していないケースも存在するなど様々な議論を呼んでおります。
そこで、生成AIにまつわる法律上の問題点や注意点、どういうときに生成AIの開発や学習、違法になりうるのか、データサイエンスやAIに関する法務を扱う弁護士である私が、その勘所を事例やジャンルごとに即して不定期に発信していくシリーズを始めました。
本サイトをご覧いただく方々は主にITやデータサイエンスなどを通じてAIの開発はもちろん生成AIツールを日常的に使う方も多いと考えられます。そうした方々が気軽にAIに関する法律知識や考え方を知ることができるコーナーを目指してまいりますので皆様よろしくお願いいたします。
また、ご質問も歓迎します。 当記事のスレッドにてご質問をご記入いただければ、リサーチの必要ない範囲での回答であれば任意に回答します。(リサーチが必要な内容や事件相談は有料(1回2時間まで、33,000円)で対応いたしますので、その場合は弊所アドレス(maeda@kittenlawoffice.com)までご連絡ください。)
2.生成AI・AIと法律
生成AIの開発や利用、生成AIの生成物に関しては主に以下の点について関係法律が問題になります。
(1)学習データの収集の問題:収集するデータが個人情報であったり著作物である場合に収集が適法になるのかどうかという問題
→個人情報保護法や著作権法、不正競争防止法の規定の問題
(2)学習データによるAIモデルへの学習行為
→個人情報保護法の情報提供の成否、著作権法第30条の4における非享受利用の規定の適否の問題
(3)AIツールによる生成物の権利関係
→著作物にあたりうるのか、プロンプトの内容の情報管理体制の問題、プロンプトによる創作的寄与の有無の問題など主に著作権法上の問題が多く関係する
(4)学習済みAIモデルの保護問題
→モデル自体を特許などで保護する方法や営業秘密として不正競争防止法上の仕組みで保護する方法、さらなるチューニングをするにあたり実装やモデル開発に関する情報やリソースのオープン・クローズ戦略の問題
(5)AIツール利用者が著作権侵害を行った場合におけるAI開発者、AIツール提供者の責任問題
→著作権侵害の主体の判断、著作権侵害の幇助責任を負うリスクはどこまであるのかの検討
以上の各論点それぞれの一つをとっても簡単には解決する方法論を用意することは難しい論点です。
さしあたりまずは、
(1)AIに個人情報を入れるときの個人情報保護法周りのリスク
(2)生成AIと著作権法との関係性と生成モデルごとの考察に関する議論の進捗
(3)個別の法律を踏まえた御社及び各フリーランスの皆様のIPとの付き合い方・戦略論に分けて順次説明していく予定です。
難しい論点も含みますので必要があれば補足も随時改定しながら加筆しますし、弊所HPにて私のコラムがありますのでそちらも随時ご参照いただけますと幸いです。
これからも皆様と懇意にコミュニケーションが取れれば幸いです。よろしくお願いいたします。
3.弁護士前田拓郎のプロフィール
経歴
2005年3月 早稲田大学法学部卒
2007年以降 都内出版社編集部数社に勤務
2015年3月 東京大学法学政治学研究科 法曹養成専攻(法科大学院)卒
2017年12月 司法研修所入所(71期)
2019年1月 都内法律事務所勤務
2022年1月 前田拓郎法律事務所設立
主な取扱分野
知的財産法(著作権・商標・特許)・AI/Iot・VR/AR/XR・メタバース関連事業・漫画(二次創作含む)イラスト・出版・動画制作などのコンテンツビジネス・一般企業法務(会社法)・個人情報関連事業ほか
所属学会
著作権法学会
日本商標協会
人工知能学会
デジタルアーカイブ学会 ほか
事務所の詳細
前田拓郎法律事務所の資料はこちらからダウンロードいただけます。
HPに記載されていない情報も、掲載しておりますのでぜひご覧くださいませ。
活動実績はこちらを参照くださいURL:https://www.kittenlawoffice.com/lawyer/