はじめに
sattoの既存スキルはそのままでは用途に合わなかったので、プロンプトを修正して使用したり、新しくスキルを作成しました。
sattoの先行ユーザーになってスキル(の実行履歴を保存するロガー機能)を作ってみた記事は以下です。
商業誌を執筆
定期的に技術同人誌を執筆していますが、今年は技術同人誌と並行して商業誌を執筆したので、加筆・校正でてんやわんやしながら、泣きながらがんばった記事は以下です。
おおまかな流れ(前提知識)
商業誌を出版するまでのおおまかな流れは以下のとおりです(でした)。
- タイトル(仮)と概要を決める
- 章構成を決める
- 各章ごとに内容を決める(並行作業)
- 節・項構成を決める
- 節・項の概要を決める
- 執筆作業(メモを作成、文章を整える、図・表を作成)(並行作業)
- イメージに合う図・表を探す(並行作業)
- 図の作成(または、トレースし直し)
- 表の作成
- グラフの作成(ダミーデータ、テストを実行)
- 校閲(内容に間違いがないか)
- 校正(誤字・脱字・ゆらぎ)
- 編集作業(出版会社・編集者が行う)
- 全体校閲
- 全体校正
タイトル(仮)と概要を決める
2023年8月4日に案件がスタートしました。
最初に企画という形で「売れる」本の概要を決めます(決まっていました)。
■企画概要:
書名:図解即戦力 ITインフラ(仮)
シリーズ:図解即戦力
発行時期:2024年3月
予想制作部数:?部
予想定価:?円
■読者対象
ITインフラの基本を学ぶたい人。インフラエンジニアという職種に携わることになった初級者
■企画概要
ITインフラを支える技術的なトピック・動向などに焦点を当て、図解で解説する。
■目次
第1章 ITインフラとは
社会基盤(インフラストラクチャー)とIT
ITインフラに必要なもの(構成要素)
ITインフラを構成する要素
ITインフラエンジニアの仕事
第2章 ネットワークの基礎
ITインフラに必要なネットワークの知識
プロトコルとは(標準化、階層化)
Ethernet
TCP/UDP
IPとIPアドレス
アプリケーションプロトコル
ルーティング
ホスト名解決/DNS
ルーター
ロードバランサー
その他のネットワーク装置
第3章 サーバー/OS/ミドルウェアの基礎
サーバーとは
サーバーを構成する要素(1)CPU/GPU
サーバーを構成する要素(2)メモリ・ストレージ
サーバーを構成する要素(3)NIC・その他周辺機器
オンプレミス(物理)サーバー
クラウド(仮想)サーバー
コンテナー
サーバーレスアーキテクチャ
OSの役割(1)メモリー管理
OSの役割(2)I/O管理
OSの役割(3)UI
ミドルウェアの役割
Webサーバー
APサーバー
DBサーバー
第4章 Webシステム
Webシステム、Web技術とは
ITインフラとWebシステム
Webシステムの構成
Webシステムのプロトコル・HTTP/HTTPS
CDN(Content Delivery Network)
第5章 ITインフラの構築/運用/監視
ITインフラの要件定義
設計と構築
可用性と拡張性
デザインパターン
コードを使用したインフラの構築・Infrastructure as Code
自動化/構成管理ツール
DevOps/CI/CDへの実装
監視システム
稼働率の計算(MTBF/MTBF/MTTR)
運用体制
アップデートに備える
サービスの廃止
ログの管理
第6章 障害対策とセキュリティ
サービスを止めないために必要な対策
機器による冗長構成
耐障害性/高可用性
地域冗長
スケールアップ/スケールアウト
バックアップ計画
ITインフラを守る
攻撃手法と対策
暗号技術/認証技術
情報漏洩
インシデント対策
不正アクセスを検知するIDS/IPS
Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
セキュリティ機器とその機能
ゼロトラストネットワーク
第7章 ITインフラのクラウドサービス(AWS/GCP/Azure)
オンプレからクラウドへ
AWSの特徴
GCPの特徴
Microsoft Azureの特徴
クラウドサービス選択のポイント
マルチクラウド
記事構成を決める
章構成を決める(決めた)時の資料です。(オンラインホワイトボードのMiroを使用しました)
5章と6章を担当しました。(最終的には6章と7章になりました)
各章ごとに内容を決める(決めた)時の資料です。
執筆作業
図解即戦力シリーズはページ見開きに1つ以上図表を入れる執筆ルールがあります(ありました)ので、執筆(作文)と図表やグラフの作成を並行して進めます(進めました)。
イラスト作成
画像生成系AIをいくつか試しましたが、自分の頭の中のイメージに近いものにはなりませんでした。
イメージに合う図表やグラフを探し、自分で作成しました。
最終的にイラストレーターさんがトレースし直すことになっていたので、絵心が無くても大丈夫でした。
一方で、グラフや動作画面のスクリーンショットなどはイラストレーターさんが作成できないので、グラフを表示するためのダミーデータの用意や、簡易的なシステムを構築してテストを実行しながら動作画面を保存することに時間を割り当てました。
使ったsattoのスキル(既存)
使えたもの、使えなかったものを含めてメモに残しておきます。
自分が知っている情報をもとに文章を書く(書いた)ので、章構成をもとに記事の自動生成スキルは使用しませんでした。
要約(難解な図表の解説と示唆出し)
作成した図表やグラフを入力し、図解の説明文章を作成しました。
OCRの文字情報の抽出精度は高いと思いました。
説明文章は冗長で長い印象でした。
プロンプトの問題ですが、「上長に報告すべきこと」の出力結果は業務でレポートを求められている利用シーンが前提になっています。
4択問題作成スキル
今回の用途には合いませんでしたが、資格取得系の教科書や問題集の書籍には向いていると思いました。
資料の内容からトークスクリプトを作成
今回の用途には合いませんでしたが、技術イベントなどでプレゼン発表のトークスクリプトの作成に流用できると思いました。(商談の場に特化したスキルなので、プロンプトの修正は必要)
記事の構成・校閲
修正案について修正理由も出力されるのは良いが、SEO対策(ウェブページに掲載する記事)としての提案が前提となっているので、書籍の文章には不向きでした。(プロンプトの修正が必要)
誤字・脱字・稚拙表現チェック
誤字の指摘と重複表現の削除、表現の簡潔化は精度が高いが、不必要な日時の修正、スペースの削除、用語の強調表現、URL表示のリンク化(ウェブページに掲載する記事が前提となっている)、名前の読み仮名の間違い、半角・全角()の指摘、などは不要でした。(プロンプトの修正が必要)
作ったsattoのスキル(新規)
文章の文字数調整
スペースの空きを埋めるスキルです。(文字数を指定)
各章の扉文章の作成(要約)
各章の扉ページに掲載する紹介文章を作成するスキルです。(文字数を指定)
CSVデータの作成
グラフからCSVデータを作成するスキルです。ChatGPTはダウンロードリンクの形式でCSVデータをダウンロードできますが、sattoの場合はダウンロードリンクの形式にならないため、改善が必要と感じました。(CSVデータを文字列としてコピーして、ファイルにペーストして保存する手間が発生します)
sattoの場合
ChatGPTの場合
出版する書籍の紹介文章の作成
類似書籍の紹介文を参考にして、出版する書籍の紹介文書を作成するスキルです。(文字数を指定)
他の書籍との差別化表現や特徴のアピールは得意な印象です。