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ネットワーク攻略への道 Part6 HSRP

Last updated at Posted at 2025-08-27

はじめに

前回は、異なるNW間での通信を可能にするための技術としてルーティングプロトコルであるOSPFを扱いました。今回は、そのようなルーティングプロトコルを内蔵するルータのなかでも、特にファーストホップルータ(デフォルトゲートウェイ)の冗長化技術であるHSRPについて解説したいと思います!

HSRPとは

端的に言えば、物理的に複数台存在するファーストホップルータを論理的に1台に見せることで、L3機器の冗長化を行う技術です。前回解説したダイナミックルーティングであるOSPFも、経路を自動で切り替えられるためL3機器の冗長化を行うことができる技術ですが、これらが異なるのは対象とする機器がファーストホップルータかその先に存在するルータかという部分です。

NW6-1.png

イメージとしては一般的なルータの冗長化にはOSPF、ファーストホップルータの部分だけにHSRPを使うような形になると思います。では、HSRPがどのような動作をするかについてより詳しく見ていきましょう!

HSRPの肝はIP/MACアドレスの仮想化!

先ほど、HSRPは「物理的に複数存在するファーストホップルータを論理的に1台に見せる」ものだと説明しましたが、より正確に表現すると「同一ネットワーク上に存在する複数の異なるL3インターフェースを仮想的に1つに見せることでデフォルトゲートウェイを冗長化する」技術です。つまり、複数の異なるインターフェースに同じ仮想IPアドレスや仮想MACアドレスを割り当てることが可能です。

NW6-2.png

では、このような技術があるとゲートウェイに対してどのようなメリットがあるのでしょうか?その答えは、各エンドポイントのデフォルトゲートウェイのIPアドレス設定を変更せずに、冗長化が可能になるということです!このことについて、HSRPを設定しないケースと設定するケースを通して見ていきましょう!

HSRPを設定しない場合

私たちが扱うエンドデバイス(PCやサーバなど)では、あらかじめデフォルトゲートウェイのIPアドレス設定を行っています。

NW6-3.png

このような状況下で、もしそのゲートウェイが壊れてしまったらどうなるでしょうか?

NW6-4.png

冗長化ルータ(Router 1)が存在していても、そのルータがデフォルトゲートウェイとして設定されていないため、NW外部との通信ができなくなってしまいます。もしも、NW外部と通信したい場合はエンドデバイスのデートウェイ設定を変更しなければいけません。これでは面倒です!

HSRPを設定する場合

では、HSRPを用いて、2つのルータのインターフェースに同じ仮想IPアドレスを割り当てた場合はどうでしょうか?

NW6-5.png

この場合片方のゲートウェイが壊れたとしても、元の設定を引き継ぎつつ、もう片方のルータを用いてNW外部と通信することが可能となります。このことがHSRPの最大のメリットとなるわけです!

NW6-6.png

HSRPの中身を見てみよう!

ここまでで、HSRPを用いる利点についてはわかりました。ここからは、どのように本機能が動いているかを確認してみましょう!動作の大まかな流れは以下のようになります。

  1. ルータ間でHelloパケットを交換する
  2. ActiveルータとStandbyルータを決める
  3. 個々のルータが役割を全うする

それぞれについて、以下から簡単に説明します。

1. ルータ間でHelloパケットを交換する

LAN内のルータ間でHelloパケットの交換を行います。この時の宛先アドレスはマルチキャストアドレスである224.0.0.2となります。このHelloパケットの送受信を行うことによってLAN内の他のルータを検知します。

2. ActiveルータとStandbyルータを決める

LAN内で複数のルータが見つかったら、その中からActiveルータStandbyルータを選出します。これらの選出方法は以下のようになります。

  1. HSRPプライオリティの値が最も大きいルータをActiveルータにする
  2. HSRPプライオリティの値が2番目に大きいルータをStandbyルータにする
  3. HSRPプライオリティが同一の場合、HSRPが動作しているインターフェースのIPアドレスをもとにして選出される

3. 個々のルータが役割を全うする

ここまでで、ActiveルータとStandbyルータが決まりました。そうすると、それぞれのルータは自身に与えられた役割を全うします。特にActiveルータが、ARP応答やパケット転送を行います。このときに用いるアドレスは仮想IPアドレス・仮想MACアドレスです。、また、StandbyルータがActiveルータの障害検知や役割、仮想アドレスの引き継ぎを行います。このようにしてゲートウェイ冗長化を可能にします。

NW6-7.png

ここまでがHSRP内部動作の概説になります!

これまで出てきた冗長化プロトコルを整理しよう!

本パートまでで、冗長化を可能とするプロトコルとしてSTP、OSPF、HSRPの3つを紹介しました。これらがごちゃごちゃにならないように、特徴をまとめておきます!

NW6-8.png

まとめ

今回の内容をまとめると以下のようになります。

  • HSRPはファーストホップルータの冗長化技術である
  • HSRPでは、同一ネットワーク上に存在する複数の異なるL3インターフェースを仮想的に1つに見せる
  • HSRPでは、複数の異なるインターフェースに同じ仮想IPアドレスや仮想MACアドレスを割り当てる
  • 冗長化する対象によって用いるプロトコルが異なる
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